最近の宇宙工学の発展は、地球以外の天体に生命体が存在するかもしれない可能性を我々に示してくれる。最近発表された水星に極冠の地があり、水?が存在する可能性すら示唆している。このようなニュースに触れるにつれ、この生命という響き、中でも「命」という漢字をわれわれは特別の響きを以て捉えているように感じる。「生命、命ある限り」など、その言葉は何かしら聞く人にみずみずしい響きと感性を与える。しかしその漢字はもともと古代ではどのようにつかわれたのであろうか?探ってみたい。
引用 「汉字密码」(P650,唐汉,学林出版社)
「令」と「命」は同じ源
「令」と「命」は同じ源を持つ漢字である。甲骨文字の「命」の字は、上部は男の露出した生殖器であり、下部は一人の膝まづく人を表している。この命の字は令の字と完全に一緒のように見える。
金文の左下隅には口が一つ加えられているが、これは単に人を膝まづかせて臣服させている示しているにとどまらず、口を用いて命令を発布していることを表している。小篆の形は金文から直接変化し、楷書では命と書く。命の字の本義は口で命令を発している。即ち上級が下級に指示を発すること。
上古の統治者は臣下に命令を生命と同じに見ることを要求した
命令に従い君に利することを順というが、命令に従い君に利しないことを諂いという(へつらい)。この事は命令を聞いて国君に有利に働くことを忠順といい、命令を聞いて国君に不利に働くことを媚びへつらいという。
上古の統治者は臣下に命令を生命と同じに見ることを要求した。いわゆる「命」の字は拡張して生命或いは持ち前の生命を意味するようになった。《论语•雍也》の中の記載で顔淵が「不幸にして短命で死んだ」とある。
「命」の字は上級が下級に命令の下達、「令」は一般的に「させる」という意味
古人は社会の統治の乱れ国家の興衰が個人の幸せと禍失敗と成功が皆天意の采配によるところと認識していた。この為「天命、命運」等という言葉がある。
「命」と「令」の言葉には皆「使役」の意味がある。但しわずかな違いがある。「命」の字は専ら上級が下級に命令の下達の意味に用い、「令」は一般的に「させる」という意味に用い、動詞に用いる。「令」は時に目的語を伴わないこともある。「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。