漢字「良」の成り立ちと由来が意味するもの:両端に口のある穀物を入れる袋・器を表し、貯蓄できるものから「いい、良い」という字義がうまれた。つまりそれだけの生産力の発展があったのでは?
漢字「良」の楷書で、常用漢字です。漢字「良」の成り立ちには、諸説ありますが、今のところは白川博士の説が最も科学的であるように思います。 ただ、藤堂博士にしろ、唐漢氏の説にしろ、それぞれに論拠があるので悩ましいところです。ここは考古学の出番となるのでしょうね。今後の研究の成果に期待がかかります。 しかし前にお話しましたように、このブログは学説の是非を議論するところではなく、単に文字学ということではなく、文字を通して、社会的、歴史的な発展を推し測ることを使命と考えますので、今後も自分の立場をわきまえたいと思っています。 | |
良・楷書 |
「良」甲骨文字 真ん中の□は穀物を入れる袋、 壁に開けた穴即ち窓、穀洗の噐の説で、 3説共通するのは、比較出入りの頻繁な空間だということだ。 |
「良」・金文 字形を見ていると、入れ物の使い道が はっきりしてきたようで、上から注いで、下に排出する器に関係しているように思える |
「良」・小篆 金文を受け継いで、文字としての体裁が整えられ、文字として進化を遂げている。 ただ、象形から「よし」という抽象的な概念に行きつくには、そのような容器の更なる使い込みがなくてはならないと思う |
「良」の漢字データ
漢字の読み
意味
使い方(要素) 娘、浪、郞、朗、狼
熟語 良案、良貨、良好、良港、良妻、良才、良策、良識、良質
- 音読み リョウ
- 訓読み よ(い)
意味
- 「よい」、「いい」(反意語:悪い)
優れている、まさっている
富んでいる(金持ちである)、豊かである
めでたい(喜ばしい)
やすらか、おだやか
素直、おとなしい
- 形容詞 よく(同意語:善)、 正しく、上手に、立派に(例:良くできました)
- 親切に、丁寧に
- 多く、しばしば、~しがち
- 十分に、非常に
- できる、まことに(本当に、実に)、やや(少し、しばらくして)
- すぐれた人・馬
使い方(要素) 娘、浪、郞、朗、狼
熟語 良案、良貨、良好、良港、良妻、良才、良策、良識、良質
漢字「良」の字統の解釈
象形。袋の上下に流し口を付けて、穀物などを入れその量を測るものをいう漢字「量」も袋の上に流し口のある形で、穀物を入れその量をはかるものであるから、良・量その字形と声義に通ずるところがある。良は上下に口があり、上下に打ち返すことができるものである。
良は穀量の器であるが、その良善なるものを選ぶ意があり良穀の義から物の良しあしをいう言葉となったのだろう。
象形。袋の上下に流し口を付けて、穀物などを入れその量を測るものをいう漢字「量」も袋の上に流し口のある形で、穀物を入れその量をはかるものであるから、良・量その字形と声義に通ずるところがある。良は上下に口があり、上下に打ち返すことができるものである。
良は穀量の器であるが、その良善なるものを選ぶ意があり良穀の義から物の良しあしをいう言葉となったのだろう。
漢字「良」の漢字源の解釈
良は粮(きれいにした穀物・糧の簡体字)の原字
良は粮(きれいにした穀物・糧の簡体字)の原字
まとめ
漢字「良」はその意味するところは、そもそもは穀物を入れる容器だった。単なる容器の呼び名が、「良きこと」という概念に発展する。その背景には、その容器を生み出し、使い込むだけの社会の生産力の発展があったのではないか。また「良」は、穀物の良を計る袋にその由来を持ち、穀物の中身の良善を選ぶという現実的なことから生まれている。その関係か、「良」はいかにも平易な優しい雰囲気と趣を持っている。おもしろいものだ。
漢字「良」はその意味するところは、そもそもは穀物を入れる容器だった。単なる容器の呼び名が、「良きこと」という概念に発展する。その背景には、その容器を生み出し、使い込むだけの社会の生産力の発展があったのではないか。また「良」は、穀物の良を計る袋にその由来を持ち、穀物の中身の良善を選ぶという現実的なことから生まれている。その関係か、「良」はいかにも平易な優しい雰囲気と趣を持っている。おもしろいものだ。
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