漢字「秘」の出生の秘密に迫る。ノギ偏に「必」に隠された意味は??
導入
前書き
目次
漢字「秘」の今
漢字「秘」をばらしてみたら?「秘」の解体新書
漢字「秘」の楷書で、常用漢字です。 必は戈矛の柄部の形。「必」の字の本義は兵器の「柄」です。史書によれば、「必」は工芸を表し、作りは十分に複雑な作りで、 後に麻の糸の糸巻きが用いられた。こうして作られたものは柔軟で強度が非常に高く、兵器の柄の持ち手に用いられした。 言葉の意味を明確にするためにのちに「木」が加えられ、「秘」と書いて、兵器の柄の部分を指すようになった。 | |
秘・楷書 |
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漢字「必」は戈矛の柄の象形である。この柄を部族の守りの象徴として、神に祀り、大切に守り育ててきた。その儀式が部族の存続と共に定着し、やがて「祕」という言葉を産んだ。この儀式はおそらく部族の守りとして、他の部族には見せることのない神聖な部族の象徴になったであろう。その中で従来の「必」と「祕」との間に分化が起こり、必は「これを掲げたからには、必ず」という決意を折らわす副詞的に用いられるようになったのではないだろうか。 | |
必・武器の柄を示すものであたが、武運を願う秘密の儀式を示すようにもなった |
祕・武運を願う秘密の儀式を示す漢字「祕」が生まれて以降は、「必」は専ら副詞に用いられるようになった 秘・「示」偏が「禾」編になったのは古人のうっかりミス。つまり禾編である理由が見つからない |
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「秘」の漢字データ
- 音読み ヒ
- 訓読み ひ
意味
- 人に知られないようにする、隠す
- 奥深くて、人間では知る事ができない
- ひそかに
同じ部首を持つ漢字 泌、祕、秘、泌
漢字「秘」を持つ熟語 秘、秘密、秘宝、秘め事
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説文
祕、[兵媚切 ]、神也。从示必聲。
漢字「秘」の字統の解釈:必は戈矛の形。おそらく必を用いる呪儀が秘密とされたのであろう。但しノギ偏は古代人のミス
必は戈矛の秘部の形。おそらく必を用いる呪儀があり、 その呪儀が殊に神秘にして、秘密とされたのであろう。
〔説文〕 に「神なり」とし、神秘の意。[弊伝]に「必 の言たる、閉なり」とは、閉門の義があるとするものである。宮は媒神を祀るところで、 子を求める神、いわゆる郊禖。その幽暗なる宮で秘儀が行なわれたのであろう。それより祕奥・祕蘊 ひけつ 祕義・祕薬・祕訣・祕法など、容易に人に対して開示しないものの意となる。
漢字「秘」の漢字源P1151の解釈:棒に添え木を当てて絞めつける様を描いたもの
解字会意兼形声。必は、匕(棒)を両側からしめるさまを描いた象形文字で、両側からそえ木を当ててしめつけるゆだめ(秘)のこと。秘は「示(かみ)+音符必」で、入り口をしめつけて内容がわからないようにした神秘なこと。秘が本字、秘はそのへんが禾に変じた字。泌(しめつけて汁をしぼり出す)・密(入り口をしめてかくす)などと同系。
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漢字「秘」の変遷の史観
文字学上の解釈
必・武器の柄を示すものであたが、武運を願う秘密の儀式を示すようにもなった |
祕・武運を願う秘密の儀式を示す漢字「祕」が生まれて以降は、「必」は専ら副詞に用いられるようになった |
秘・「示」偏が「禾」編になったのは古人のうっかりミス。つまり禾編である理由が見つからない |
密・密は廟中において必に火を加えている形。それが密儀の方法であり、その密儀を秘という。 |
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まとめ
以上漢字「必」を基にしたいくつかの漢字を見たが、必の字義である戈矛の柄の部の意味を失うことなく、神の前で神格化し、大切に「必」に込められた精神を守り続けてきた。 そしてさらにその字義の概念をひき継ぎ、新しい概念「密」「泌」等などを発展させている。
この文化の発展は、漢字を基礎としているからこそなしえた技であると思う。この発展の過程を漢字を通して跡付けることは、漢字考古学の研究の冥利に尽きると考えている。
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