来年の干支は「巳」年である。これは、蛇である。なぜ干支が、用いられるようになったのかはまだはっきりとしたことは分かっていない。
この見解は、未だ多くの支持を得られているわけではない。もちろん私も支持するしないという立場にはない。ただ唐漢氏がそう唱えるから、さもありなんと紹介するだけのことである。しかし今は仮説かもしれないが、彼の説は、説得力もあるし、また非常に面白いと思っている。
引用 「汉字密码」(唐汉,学林出版社)
巳これは会意文字である。甲骨文字では二つの書き方がある。図の上からは両方の書き方とも、嬰児がネンネコの中にくるまっている姿のデッサンである。区別は嬰児の手肘が胎嚢の中にあるか否かだけである。
将にこの字は、産育の第6段階(子、丑の順に6番目が巳)にあり、また生育の過程の最終の終結である。金文は甲骨文字を受け継ぎ、その手は外に動かした形である。但し金文中の「巳」の「子」の形が良く似ているので、両者混交され易い。だから小篆は甲骨の第一の書き方を受け継ぎ、「巳」という字を当てた。 楷書ではこの関係から形を整え、「巳」とした。
巳の構造的な変化は甲骨文字、金文、小篆に及び、多くの文字学の学者を混乱させた。例えば許慎は説文の中で「巳」は「已」なりとし、四月に陰気が出るのをやめ陽気が、蔵にいるのをやめるが故に「巳」は蛇の象形文字と考えていたろうという。
「巳」の本義はおくるみに包まれた嬰児である。仮借で地支の第6番目に来たが、巳干を用いて時を記す時、巳の時は即ち午前9時から11時までを示す。地支の「巳」と天干(甲乙丙丁戌己・・)の「己」とは形がよく似ていて、混同しやすい。しかしその形の来歴は巳は嬰児とは同じではない。上部口が閉じていれば、巳は頭を表し、上部の口が閉じていなければ荒縄のとぐろを巻いた状態を表す。
巳 へび 十二支の第6番目
已 止める、すでに あとで
己 おのれ、つちのと(天干の第6番)「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。