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2012年8月4日土曜日

住まいの漢字 「尚」:起源と由来



 家屋の建築技術は更に発展し、屋根の形も「片流れ屋根」からさらに高級感のある切妻方式が現れる。この形式は殷商の邑では、多く使われ、大邑(いわば首都に当たるような大都市)では、大分普及していたようである。今日の北京などにもみられる、さらに家と家を組み合わせたパッケージ住宅「四合式住宅」が見られている。この形式は日本の京都などにも見られる、「町家」の建築様式にも受け継がれているようで興味深い。筆者が中国の殷の都のあった安陽という街の博物館にもこの手の建築様式のモデルが展示されていた。
  この「尚」という言葉は、原義は切妻屋根のことであるが、そこから派生して、「高貴な」という意味にも用いられる。日本でも「高尚」などと品のいいことの形容に良く聞く言葉である。

引用 「汉字密码」(P717, 唐汉,学林出版社)

"尚 " はもともと八の形をした屋根の付いた屋舎という意味

  "尚 shang"、これは会意兼形声文字である。"尚" の字の甲骨文と金文共に皆は上下の結びついた構造になっている : 下部は"同" で、 "屋舎" の形を示している、上部は"八 "に似ている記号で、両方を切り放す意味を示す。ここで、両形の会意で、これは一種の屋根が両方に落ちた家を示す(日本では切妻という)。小篆の "尚" は変化して、屋根の頂部の一点が竖線になっている。楷書は将に違いも違い、 "尚"となった。

"尚 " 屋根の形から、高貴なという意味が派生した 

 "尚 " はもともと両方に下がった屋根(日本では切妻式という:筆者注)がある方形の大部屋をさす。円形の家及び片方に落ちた屋根(日本では「片流れ屋根」という:筆者注)と比べ、造形上で"増加 "があり、一つのランク上の尊貴なものであるはずだ。だから、"尚 "は尊崇という意味も持ち、重視するの意味にもなる。"尊さ " 意味から引き出されて、 "尚" の字はまた高く攀の意味がある。特に古代の同じ王帝の女性の結婚のことを指す。《史記李斯列伝》の如く:"もろもろ男すべて秦王女を賜り、女性全部秦の諸公子に嫁ぐ。

 "また延用され官位も表した。例えば "尚書"の如し。

"尚 " はさらに派生語を生み、「未だ」の意味を持つ。時期尚早

 "尚 " は副詞を作る時に、 "未だ"に相当して、これは"もう一面の屋根"があるの意味からの延用されたもの。 この詞義は、現代の漢語の中で存続して、例えば "時期尚早、まだ一息命がある " など。

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2012年7月27日金曜日

裳はスカート:「裳」の語源と由来



衣裳の「裳」はもともと「常」と書いていた。「常」の字から派生字の「裳」が出来たその秘密に迫る。そんな大層な問題ではないが・・。
衣裳の「裳」はもともとは「常」と書いていた。
「裳」は「常」の派生字である
引用 「汉字密码」(P697, 唐汉,学林出版社)


 「常」は会意文字。「尚」+「巾」

 「常」は会意文字である。原義は下衣のことである。即ち人が下半身に身につけるスカートのことである。金文の「常」の字は上部は「尚」で、元々は古代の家の屋根で両方に勾配が付いている家を指す。下部は「巾」の字で布を指す。両形の会意で、スカートの前と後ろを隠して遮蔽している様をよく現わしている。小篆の「常」の字は金文を受け継いで、基本形は同じである。「尚」の字はまた発声を表示することから、巾と尚の発声で、形声字にもなっている。楷書ではこの事から「常」と書く。 

 新しい意味の派生

 古人はすでに羞恥心が備わっていたことから見て、夏の炎天下で上着は脱ぎ捨てることはあっても。下着は脱ぐわけにはいかなかっただろう。この為に「常」の字から恒久とか常時という意味が引き出された。

 『苟子•荣辱』の「仁义德行,常安之术也」 仁義徳行は常に安らかなる為の術であるという意味。

 「常」は「裳」に庇を貸して母屋を取られた格好

 常の字は引き出された意味専用になり、古人は「裳」の字を作り、専ら下半身のスカートを指すようになった。これは、常の字の下の「巾」が「衣」に変化し、派生字を作り出した。衣と裳を同時に上げた時、衣は上着、裳は下着(スカート)をさす。
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