ラベル の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年8月19日土曜日

漢字「字」の由来:子供が生まれた時に家の廟に出生の報告をし、つけた「字」(あざな)に由来する


漢字「字」の由来:子供が生まれた時に家の廟に出生の報告をし、名を子供に与える風習から生まれた字:人々が子供を如何に慈しんで来たかが分かる





**********************

漢字「字」の今

 「字」の楷書で、常用漢字です。
 私たちが日常的に使っている最もポピュラーな漢字「字」です。今まで気にもかけずに使ってきたこの漢字の生まれ・由来について、考えた方は数少ないのではないでしょうか。そうです、あまりに身近すぎる字ですから。

 見て直感的に分かる「ウ-カンムリ」と子供を表す記号から成り立っています。




漢字「字」の解体新書


  
字・金文
屋根+子供で子供が生まれたことを表現している。
字・小篆
基本的に金文を受け継いでいるが、書きやすいように簡略化されている
「字」は子供の養育をも表しており、成人したときに付ける字名(あざな)のことを表すようになった
字・楷書
小篆からさらに隷書化の過程で簡単化され、且つ字として整理された
字・甲骨文字
字・金文
字・小篆




 

「字」の漢字データ

漢字の読み
  • 音読み   ジ
  • 訓読み   あざ

意味  子供の出生から、養育をも表す

成り立ち   宀と子に従う。宀は家を表し、子は子供を表す。両形の会意で、家で子供を育てるという意。

使い方
  • 「言葉を表す記号(文字)」・・漢字、文字
  • 「アザ」        ・・源九郎義経
  • 「音を表す 表音」   ・・特朗普



**********************

漢字「字」成立ちと由来

引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)

唐漢氏の解釈

 漢字「字」は会意文字です。金文の「字」は上部は屋舎のデッサンで、その中は嬰児の素描です。両形の会意文字で、家の中に子供を追加して俗にいう「男の子が生まれ、口が増える」。小篆と楷書は、金文を継承し、脈絡は十分明らかです。「字」は説文では「乳」なりとしている。「すなわち子供を産み育てることをいう。」
 現代では「字」は3つの意味を持っているといわれており、その一つは文字で漢字、常用字などです。その二は字音です(音を表現する「字」)。第三には「字」(あざ)です。人名の中の字義に基づいて別名をとります、「諸葛亮」字「孔明」のようなものです。




漢字「字」の字統の解釈

  会意兼。宀と子に従う。宀は家廟。に子の出生を報告する儀礼で、これによって養育・字養のことが定まり、またその時「字」(あざな)を付ける。これを字乳という。




漢字「字」の漢字源の解釈

 会意兼形声:屋根+子で、屋根の下で大切に子供を育てることを表す



漢字「字」の変遷の史観

文字学上の解釈

 漢字の「字」の3つ目の意味に字(あざ)あります。
 ただしこのあざなは子供が生まれた時に家の廟に出生の報告をし、同時に字名を子供に与えるという習慣が本来あったもののようです。
 従って漢字「字」は氏姓制度の確立と共に生み出されたといえましょう。しかし、時代が下り、特に成人した後、親がつけた名前だけでなく、自分自身で名乗るようにもなった。
 このようなしきたりが横行した背景は、中国では名前が一字の場合は多く混乱を招くことがあったことと、世の中は複雑になり、氏姓制度のみでは成り立たなくなったこともあるようです。

まとめ

 漢字「字」には、古代人が子供の出生を喜び、子供を大切に育ててきたかが込められている。
  


「漢字考古学の道」のホームページに戻ります。   

2023年8月12日土曜日

漢字 学の成立ち:「宀+ 攴+手」からなる。漢字・学から先人たちの知恵を学ぶ


漢字の成り立の意味するもの:漢字 学は「宀と爻、子、臼」からなる。千木(チギ)のある建屋の若者(子)の教育の場を表す


漢字の成り立の意味するもの:漢字「学」は「宀と爻、子、臼」からなる。千木(チギ)のある建屋の若者(子)の教育の場を表す




**********************


漢字「学」の今

漢字「学」の楷書で、常用漢字です。
漢字の成り立ちと由来:漢字「学」から学ぶ古代から続く学びの大切さ。

 漢字「学」の旧字体です。この漢字を構成する要素は、「宀、爻、子、臼」の4つの要素から成り立っています。それとは逆に、女は成長すると、家を持つことができ、男たちは女の下に通っていたようです。
 この要素の内、「宀と爻」は屋根に千木(チギ)のある建屋を表しています。

 この当時の部落では、若い男たちは家を持たされず、集団で生活をしていました。
 この建屋は、メンズハウス的な役割を果たしていて、若者の教育、訓練などが行われていたようです
学・楷書学・旧字体


漢字「学」の解体新書


  
学・甲骨文字
屋根の上に千木(チギ)のある建屋を表している
学・甲骨文字
甲骨文字「学」の異体字で、両手を示す「臼」で、中に滞在する子弟のケアに当たっていたことを示している。
学・金文
金文には建屋だけではなく、中で教育を受ける子弟を明示的に表す「子」が建屋の中に表示されている。




 

**********************

「学」の漢字データ

漢字の読み
  • 音読み   ガク
  • 訓読み   まな(ぶ)・

意味  教えを受ける。経験によって知る。先人を模倣して、会得する

成り立ち   両手で引き上げる状態と、建物と物を組み合わせた状態の絵が組み合わさって生まれた漢字。

使い方
  • 「まなぶ・がく」 
  • 「教えを受ける」・・学校で学ぶ) 
  • 「経験することによって知る」・・生き方を学ぶ 
  • 「悟る(理解する)」・・仏教の教義を学んだ 
  • 「習う・・教わったことを繰り返し練習して身につける
  • 「見習う・・人のする事を見て覚えたり・見て真似をしたりする。
  • 「学ぶ事」・・学問  「学ぶ人」・・先学
  • 「学ぶ所」・・学校

熟語   学校 学問 学派 先学 地学 共学

**********************

漢字「学」成立ちと由来

引用:「汉字密码」(Page、唐漢著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「学」は会意文字です。甲骨文の学の字はと臼と宀からなる。宀は屋室の象形で、爻は  両手の形は手で演算を示している。3形の会意で、部屋の中で人に演算を教えている。金文の学の字は部屋の下に「子」を追加して、明確にこれは子供を教育する場所であることを示している。小篆と楷書は金文を受け継ぎ、一脈通じている。漢字は簡体化の後『学』となった。

 《孟子》は「夏は曰く校、殷は曰く序、周は曰く庫と、学は即ち三代とも之なり。《左传·襄公十一年》で、陆德明は《释文》で、いわく、郑の人はいわゆる学を校という。説文に、校の字に対して「校」を解釈して「木囚」なりとしている。校の本義は柵欄である。個人はいわゆる学校を固定的な場所で子供に強制的に読書を教えたところとした。垣根や柵で自由を制限したようです。この為に読書の場所は「校」と称しました。また学とも言えます。


漢字「学」の字統の解釈

 旧字は學、爻,臼,宀,子の4字からなる会意文字。元はメンズハウスを意味する建物の形が学の初文で、両手を示す「臼」、「子」はそこに入る子弟をしめす。


漢字「学」の漢字源の解釈

 会意兼形声。は交差する様を示す。先生が知恵を授け弟子がそれを受け取って習うところに伝授の交流が行われる。宀は屋根のある家を示す。學は「両手+宀+子+音符爻」でもと伝授の行われる所つまり学校のこと。

漢字「学」の変遷の史観

文字学上の解釈

   甲骨文字の時代は、男子は、集落の中の寄宿舎で、集団で生活していた。彼らは集団生活の中で、ありとあらゆることを教え込まれ、一人前の成人になる素養を身に着けていった。そして成人になると、一家を構えた女性の家に入り、家庭を持つことを許された。この学という字は、寄宿舎の中で手厚く教育されることを示している。



金文の時代になると、社会の発展に伴い、規模も大きくなり、寄宿制度のシステムは高度なものとなっていった。そして教育も厳しさを増し、それまでの養育だけではなく、こん棒で叩き込まれるようになっていった。そして、彼らは団体の中で指導的な地位を占めるようになる。


  小篆の学の字は、金文を踏襲している。この時代はそれまでの社会と大きな変革が起こった。つまり母系制社会から、父系制社会となり、国家も統一され、秦朝のような強大な統一国家が成立する。この時代では、生産力は大きくなり、貧富の差が生じ、階級が出現する。




 秦の時代から、封建社会に入り、隋、唐・・・と社会は発展していくが、文字は楷書(繁体字)が長く使われる。簡体字が出現するのは、実に20世紀に入ってからで、中国革命がおこり、新しい社会の時代的要求に応える必要に迫られたからである。





まとめ

 漢字ができた当初、学校ができたとは思われないが、氏族共同体の中心的役割を担っていたことが漢字「学」から分かる。
 「学」は会意文字で、屋根のある場所で、教師の指導を受けながら、子供が学ぶ様子を表している。 
 男の若者は共同で村の防衛にあたり、共同で狩りなど作業し、共同で生活をする中で、様々な教育が施されていったのだろう。
  


「漢字考古学の道」のホームページに戻ります。   

2012年1月12日木曜日

漢字「子」の起源と由来:上古先人は年代を数えることを人間の一生に込めた

十二支:上古古代先人は年代を数えることを人間の一生に込めて考えた
 「子」は十二支の中でも、最初に現れる干支である。唐漢氏はこの理由を「上古古代先人は年代を数えることを人間の一生に込めて考えた」と説明している。「子」に今日でいう「ネズミ」という意味がどこから出てくるのか、唐漢氏の説明の中にもない。今後の研究課題ともいえよう。

十二支の最初の「子」には、人間が
初めて生まれる姿を見た
「子」:象形文字だ
  「子」これは象形文字だ。甲骨文字の「子」は二つの書き方がある。 第一の文字は胎児が正に母体から生まれ出る時を表したものである。

  甲骨文字の第二の「子」の字は、会意文字である。甲骨文字中で肛門の象形文字である。これは借用で産門を表したものだ。上辺の短い縦線は胎児の産出を表す。

 金文の「子」字には2つの書き方がある。その一つは甲骨文字を受け継いでおり胎児の象形で、他のは胎児の振り回した両手と大きな脳みそを示している。既に胎嚢の中の胎児の形である。金文の構形はよく似ているが、但し降りてくるの意味は却って失われているが後の時代の人が上古の先民作字の意図が分からないままの一種の模写かもしれない。小篆の「子」は甲骨文字の第2の書き方を受け継いでおり、楷書ではこの関係から「子」と書く。

「子」の本義は子を産むこと
 「子」の本義は子を産む、即ち嬰児が産道から出生することだ。上古の先民は生れた子供に対し、十分観察し、当時の育産習俗に端を発し、男女が分け隔てなく等しく助け合える。そこで人の初めは、仮借を用いて、干支の第一番目で、上古の先民の育産生殖崇拝に対し顕示するばかりではなく、明らかに育産はこの過程は上古先民の心の投影である。その中で畏敬や切望の情は乏しくはなかった。


「漢字の起源と由来ホームページ」に戻ります。