漢字「卑」の成り立ちと由来:卑の原義は、柄杓を手に取るというものだった。しかも卑という漢字がなぜいやしいという意味を持ったのか納得ある説明は得られていない
漢字「卑」は「尊」の対極にある。成句「男尊女卑」という句の中でも昔から語り継がれてきた。
何故にこのようなことが言われなければならないのか。その根拠は何か。有史始まって以来女性を苦しめて来た。
何故女性は「卑」といわれなければならなかったか、甲骨文字に遡って迫る。 勿論漢字にその責任があるわけではない。漢字はその社会の反映であり、インフラ的な位置付けではあるが、一つの結果に過ぎない。
ここではっきり言えるのは、漢字「卑」は男性の発想から生まれた漢字であることは確かなようだ。
「卑」の漢字データ
引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
漢字「卑」は「尊」の対極にある。成句「男尊女卑」という句の中でも昔から語り継がれてきた。
何故にこのようなことが言われなければならないのか。その根拠は何か。有史始まって以来女性を苦しめて来た。
何故女性は「卑」といわれなければならなかったか、甲骨文字に遡って迫る。 勿論漢字にその責任があるわけではない。漢字はその社会の反映であり、インフラ的な位置付けではあるが、一つの結果に過ぎない。
ここではっきり言えるのは、漢字「卑」は男性の発想から生まれた漢字であることは確かなようだ。
漢字「卑」の楷書で、常用漢字です。 上部は杯形の器の形。基部はその柄を手に取る形で、椑の初文。柄のある柄杓のような形で、酒を酌むのに用いる。 一方、漢字「尊」も酒を酌むための道具である。同じような酒に関わる道具・噐であるにもかかわらず、片や尊ばれ,片や蔑まれる。この違いは何であろうか? 漢字「卑」は「女性の性器を弄ぶ」という解釈もある。この解釈であれば、「尊」が男性を崇拝することを表すものだという考え方と同じレベルの対比ということになり整合性は成り立つ。 にもかかわらず「卑」を女性の性器を弄ぶという解釈には抵抗がある。漢字が造られた時代はそれほど発達しておらず、漢字に関わる世界はそこそこ知的なレベルの高い世界であったはずだ。その人々が、漢字を作るのにかくも低俗な発想をするのかという疑問は残る。 | |
卑・楷書 |
卑・甲骨文字 下辺は手の象形であり、上辺は女性の性器の内部の象形であるという説もあるが、え、どうしてそんな解釈が? |
卑・金文 小篆と金文の上部の記号は囟に変化した。 |
卑・小篆 金文と小篆を引き継ぎ、漢字化の過程で文字らしく記号化されている |
「卑」の漢字データ
漢字の読み
意味
「卑」を部首とする漢字 俾(にらむ)、睥、脾
漢字「卑」を持つ熟語 卑下、卑近、卑猥、卑怯、卑屈
- 音読み ヒ
- 訓読み いや(しい)、いや(しむ)、いや(しめる) 《外》ひく(い)
意味
- いやしい 身分・社会的地位が低い 行動に品がない、服装が貧しい
欲が深い、貪欲である、能力が劣っている
つまらない - ひくい 位置が低い 盛んでない
- いやしむ・いやしめる 劣ったものとしてバカにする、軽蔑する
「卑」を部首とする漢字 俾(にらむ)、睥、脾
漢字「卑」を持つ熟語 卑下、卑近、卑猥、卑怯、卑屈
引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
小篆と金文の上部の記号は囟に変化し楷書の卑になった。掌握した造字の権利の男から見ると女の自慰や男が手で女の性器をもてあそぶことも生育の一つの目的からの逸脱を意味している。したがって男の見方からすると下品で低俗な行為であると見える。
しかし、甲骨文字そのものを女性の性器に手を付けるとみる発想そのものが卑猥であり、古代人は本当にこのような見方をしたのか疑わしい。
小篆と金文の上部の記号は囟に変化し楷書の卑になった。掌握した造字の権利の男から見ると女の自慰や男が手で女の性器をもてあそぶことも生育の一つの目的からの逸脱を意味している。したがって男の見方からすると下品で低俗な行為であると見える。
しかし、甲骨文字そのものを女性の性器に手を付けるとみる発想そのものが卑猥であり、古代人は本当にこのような見方をしたのか疑わしい。
漢字「卑」の漢字源の解釈
丈の低い平らなしゃもじを手に持つ様を示すもので、椑(平らで薄いしゃもじ)の原字。うすべったく暑さが乏しい意を含む。
丈の低い平らなしゃもじを手に持つ様を示すもので、椑(平らで薄いしゃもじ)の原字。うすべったく暑さが乏しい意を含む。
漢字「卑」の字統の解釈
上部は杯形の器の形。基部はその柄を手に取る形で、椑の初文。柄のある柄杓のような形で、酒を酌むのに用いる。「説文」いやしきもの也事を執るもの也とある
上部は杯形の器の形。基部はその柄を手に取る形で、椑の初文。柄のある柄杓のような形で、酒を酌むのに用いる。「説文」いやしきもの也事を執るもの也とある
まとめ
会意文字であるようだが、甲骨文字にせよ、金文にせよ、まるで象形文字であるかのように生き生きとした人々の姿が描写されている。漢字はその社会の反映であり、インフラ的な位置付けではあるが、一つの結果に過ぎない。時として社会に対し残酷な反作用も及ぼすこともある。
会意文字であるようだが、甲骨文字にせよ、金文にせよ、まるで象形文字であるかのように生き生きとした人々の姿が描写されている。漢字はその社会の反映であり、インフラ的な位置付けではあるが、一つの結果に過ぎない。時として社会に対し残酷な反作用も及ぼすこともある。
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