漢字 罷の意味と使われ方。 罷の成立ちから、罷免から免れる方法が分かる
漢字「罷」は网と能からなる。
网は網、能は大型の熊を表す漢字であったが、後に「網で動物を捕まえる」という意味から、「追い払う」「やめる」という意味に転用された。
今では、罷という漢字は、日本の「労働組合法 第5条2項 8号」等に、ストライキを規定する用語『同盟罷業』に見られるのみで、殆ど死語となっている。しかし、罷免、罷業などは、時々マスコミにも登場する非常な重要な概念ですので、ここでしっかり把握しておけば、理不尽な「罷免」などに対応するヒントが得られるかも知れない。
このブログの性質上、個々の問題に対応する役割を担っていないので、せめて心構えはどうあるべきかヒントでも出せれば幸いだ。
導入
前書き
目次
**********************
漢字「罷」の今
「罷」を含む熟語- 罷業 同盟罷業 、罷工(罷業と同じ意味) 工事をわざとやめること。また、業務をやめること。ストライキ。「同盟罷工」
- 罷弊(現在では疲弊という用語のほうが多用される)
- 罷免 職務を強制的にやめさせること、もしくは職務上の地位を解任すること。免職。特に罷免は公務員、それも一般の公務員ではなく、主に国務大臣や裁判官、検察官など特別な任用の公務員に対して使われる表現となっている。公務員の地位・選挙権・投票の秘密について規定している日本国憲法の第15条には、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と書かれている。つまり、公務員を罷免することは、憲法によって保障された国民の権利であることが明示されいる。これに対し、一般の公務員は、労働契約上の話とみなされるので、「罷免」とは範疇が異なる。
一方同じような意味の言葉に「解雇」があるが、解雇は、労働契約に基づく用語で、罷免とは意味合いが異なるので、注意が必要だ。
漢字「罷」の解体新書
漢字「罷」の楷書で、常用漢字である。 罷の簡体字は、罢と書くが、「能」の字の代わりに「去」を当てた理由は、意味的な関連性という説もある。 罷:やめる、止める 去:去る、離れる 「罷」の持つ「やめる、止める」という意味合いと、「去」の持つ「去る、離れる」という意味合いは、確かに関連している。 さらに、簡体字化が推進された1950年代から1960年代にかけての中国では、政治的なイデオロギーに基づいて漢字の簡体字化が行われていました。当時、簡素化や画数の削減だけでなく、封建的な思想や古い文化を象徴する漢字を排除する動きも影響したと考えられる。 「罷」は、古代中国の官職制度に関連する漢字であり、封建的な社会制度を連想させる側面があったが、「去」は、より汎用的な意味を持つ漢字であり、封建的な思想とは結びつきにくいと考えられた。 | ||
罷・繁体字_楷書 | 罷・簡体字_楷書 |
罷・小篆 |
「罷」の甲骨文字、金文は見当たらない。漢字「罷」は网と能からなる事から考えると、狩猟技術の発達の進んだもっと早い時期に文字の発達もあってもいいようだと思うが、現実に狩猟技術と「罷」という認識にまでは至らなかったようだ。
**********************
「罷」の漢字データ
- 音読み ヒ・ハイ
- 訓読み つかれる・やむ・よわい・ゆるす
意味
- つかれる
- やめる
- 役目を辞めさせる
同じ部首を持つ漢字 罷、羅、罹、態、熊
漢字「罷」を持つ熟語 罷免、罷業、罷兵、罷工
**********************
漢字「罷」成立ちと由来
参考書紹介:「落合淳氏の『漢字の成立ち図解』」
唐漢氏の解釈
「罷」は、会意文字で、下の「能」は熊の初字である。上の部分は冠から垂れ下がった「網」であり、古代人が網を使って熊を捕まえた姿を忠実に表現している。
簡体字では「罢」と書く。
「クマ」は動物の中でも強い動物であり、力が強く、凶暴で、多くの能力を持っているため、このような猛獣を狩るには「網」だけが用いられる。 「罷」の本意はクマを網で捕まえることである。 クマが網にかかると、本来の能力を発揮できなくなります。やがて諦め暴れることを辞めてしまう。 「罷」にはやめるという意味があるのは、ここから派生した意味ともいわれている。
漢字「罷」の字統の解釈
罷は 獣に網する形。その罷れる(つかれる)のを待って、これを捕えるのである。ト文には鹿・豕・雉・免の属に网する形の字がある。能も獣畜の形で、獣がそれを擺脱しようとして、労罷・困憊の状に達するのを罷という。
漢字「罷」の漢字源の解釈
会意文字。「网+能(力の強いもの)」で、力のあるものが網にかかったように動けなくなる、力尽きて疲れるなどの意を表す。
漢字「罷」の変遷の史観
文字学上の解釈
漢字「罷」は网と能からなる。
网は網、能は大型の熊を表す漢字であったということから、ここに熊の各種古文字を列挙した。甲骨文字、金文に至る「熊」の文字は実に生き生きと描かれ、古代人の観察力と描写力には今更ながら驚かされる。説文などでは、「罷」の下部が必ずしも「熊」であったとは断じていないが、古代中国の夏や殷のあった地方では、熊は生態系の頂点に君臨していたであろうし、その熊をターゲットとして、様々な狩猟技術が編み出されていたであろうことは容易に考えられる。少し北に移動すればアムール河の流域にはトナカイを狩猟するエバンキ族が棲息していたであろう。つまりこの地方では実に豊かな生活様式が繰り広げられていたであろうことは想像に難くない。
余談:罷免に対応するには、Chat GPTに丸投げしてみたときの回答が以下の通り
罷免はある日突然降りかかってくるかも知れない。この災難から逃れるすべを心構えとして持っておくのも悪くはない。
心構え
罷免から免れる方法は、状況によって異なります。以下に、いくつかの一般的な方法を紹介します。
罷免を避けるための最善の方法はあくまで一般論ではありますが、職務遂行能力を向上させ、職場規則を守り、職場での倫理に反する行為をしないことです。また、上司や同僚との良好な関係を築くことも重要です。言えることは、王道はないとこです。また全く自分に落ち度や非がない場合でも、突然降りかかってくることもあるでしょう。
一人で悩まず、周りの人の助けも得ながら、明るく・粘り強く頑張りぬくことが何より大切です。
一般論で役に立つかどうかは分からない
しかし基本は自分自身だ。周りに援助を期待するとしても、自分の代わりにやってくれることを期待してはだめ。1. 証拠を集める
罷免の理由が不当であると思われる場合は、証拠を集めること。これには、文書、電子メール、証言などがある。証拠は、罷免手続きにおいて、あなたの立場を擁護するのに役立つはず。
2. 弁護士に相談する
罷免手続きについて懸念がある場合は、弁護士に相談することも一法。弁護士は、あなたの権利を理解し、最善の行動方針を決定するのに役立だろう。
3. 上司または人事部に訴える
上司または人事部に、罷免が不当であると訴えることができる。彼らは、状況を調査し、あなたを助けることができるかもしれない。助けを得るというより、改めて自分の主張をする・確認することだ。
4. 労働組合に加入する
労働組合に加入していると、罷免手続きにおいて、組合から支援を受けることもある。組合は、弁護士の費用を負担したり、あなたを代表して交渉したりすることがある。
しかし、組合は便宜主義的に使うものではなく、あなたの代行を請け負うものでもない。あくまで共に闘うという覚悟が必要。
5. 辞職する
罷免される前に辞職することもできます。これは、あなたの評判を傷つけずに状況から抜け出す方法です。
これはあくまで最後の手段です。交渉の途中で、安易にこれを匂わせたり、チラつかせたりしてはならない。相手からは、弱点とみなされ、それまでの、すべてのことが水の泡になってしまう場合がある。
罷免を免れるためのその他のヒント
冷静沈着を保ち、礼儀正しく振る舞う。
正々堂々とし、姑息なことは絶対に考えない。
自分の主張はしっかり伝える。
自分の権利を理解する。
必要に応じて、専門家の助けを求める。
まとめ
「罷」とは力の強いものを、網にかけ諦めさせ、絡めとることだ。このことは「諦めたら終わりだ」ということを示している。混沌とした世の中で、人生、いろいろある。気持ちをしっかり持って、粘り強く闘い抜く決意がますます必要とされる。「漢字考古学の道」のホームページに戻ります。
|
1 件のコメント:
罷 の字が熊???!
古代人の想像力は凄い。
象形文字から書き込んだ 様々な字体は、活字と違い、手書き風で人間味があり、
いかにも古代人が書いた描いたようで、素晴らしいです。
話が、変わるが、今、石川九楊著 「近代書史」「悪筆論」を読んでいるが、著者は、漢字、仮名などの字にとりつかれて書き続けている。漢字の歴史があってこその著作であることは、
間違いない。 あらゆる形で漢字、文字に魂を傾けている人々が多数存在することに、
当然ながら、感動する。 たそがれ源氏
コメントを投稿