民主主義とはある個人について見たとき、身分、性別などによってその人の処遇、行動などが制約を受けないでおられる状態にあるときと言うことができるかもしれない。 線引きが不可能なら、その社会の成熟度を民主主義の度合いのような尺度と考える必要があるのかもしれない。 さて、そこで身分、身の程知らず、身を切る、身内、身体などで使われている「身」とはいったい何ぞや? その起源に迫ってみたい。
「身」の原義は妊娠である。この意味から「孕」の字形が 引き出され、後には「体躯」という意味にもっぱら 用いられるようになった。 |
「身」は象形文字である。甲骨字は人の字の腹に一つの孤線を付け加え、突出した女の人の身ごもった有様に似ている。第二の身の字は中間に一つの点を加え、さらにまるで身ごもった様子である。
金文の身の字は甲骨文字の同じ構造の形の下部に横棒を短く加えている。この事で女性が妊娠中は性交を行ってはならないことを示している。
小篆の字形は金文の基礎の上にさらに美観を整え、明確になっているがこの字形は身と孕の字形への分化を示し、字の意味が身の本義から変換が引き出されて、身の意味が孕という意味に代わって来ている。
これは人の身体をもっぱら指し、「身力強壮、身段、全身運動、獅子の身体で人面像等の言葉の身の字のように、みな人あるいは動物の体を示している。小篆はただ孕むという字に代わり赤ちゃんの為にもっぱら用いられるようになった。
体躯は人の肉体の根幹である。このため「身」の体躯の意味から自我の意味が引き出されてくる。"身先士卒、身体力行、以身作则"(「自分がまず兵士を率い、体が一生懸命行い、身を以て範を垂れる」の意味)この中で「身」は自分という意味である。自我の意味からは人の一生という意味も引き出されてくる。"献身、身后遗物"等である。又人の地位・品徳という意味も引き出される。"出身卑微、有失身份、身败名裂"等である。
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