2011年12月9日金曜日

来年の干支は「龍」 龍の字の年賀

 来年の干支は「龍」。インターネットサイトや本屋さんには年賀状の素材が並び、どこを見ても「龍、龍、龍」である。来年になれば我が家の郵便箱は龍で溢れかえるであろう。この奇妙な社会現象は一体何だろう。おしなべて誰もかれも「龍」では面白くもなんともないだろう。と言いつつせっせと年賀状作りにいそしむ自分がそこにある。こうやって世間に何十年も流されてきたのかと思うとそろそろ終わりにしてもいいのではないかと思うのである。
 さて、この龍の字の起源は何だろう。あまり解説せずに、甲骨文字と金文文字を並べてみることとする。こうしても見ると結構味わい深い字になっている。

甲骨文字の龍、古代人は味わいがある
  龍、甲骨文字の中での表現は2種類の同じでない形態を持っている。専門学者たちは出土文物と文字形象とから、「龍」の字の原形を、あるものはかつて今日の内蒙古と東北国境内の草原にに生きていた蛇と考えたし、或るものは今日に至るまで長江の中の穴の中に生きていると考えた。前者は今から4000年前紅山文化の出土した玉龍をその証拠とした解釈であり、後者は商代の青銅器の爬行龍紋を支持する解釈である。

金文の「龍」甲骨文字に比べると、美的な視点が
加わり、洗練されてくるようになった。
 金文中の龍は同様な表現の二つの図形を持っている。一つは青銅器銘文上の図形文字で、芸術化の方向性が見えている。図案化の発展の傾向にあり、この種の龍の字は更に美的な側面を有している。 もう一つは白線条の図案にその特徴がある。

いずれにせよ、は中国人の心中、最も神聖な動物神である。又中華民族の象徴でもある。「龍文化」は漢字文化の中で長きにわたって源流であった。 継続時間は最も長く、かつ神秘的色彩を備えた文化現象の一つである。

ここでは理屈を抜きにして、古代の味わい深い字を味わってみたい。年賀状は偶にこのような味わいを楽しみながら作って見るのも一興かも知れない。


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