2012年8月31日金曜日

住まいの漢字 「寓」:漢字の起源と由来


男なら一度はあこがれる住まいではないか。この言葉からは、世の中の喧騒から離れ、花や草木、自然の風を愛し、何事にもつつましく、しかもよく弁え、それでいて世の中のことには通じているそんな優雅な少し「枯れた」文人を想像する。
「ラジオもない、テレビもない、何にもない」 それでいいではないか
引用 「汉字密码」(P721, 唐汉,学林出版社)


"寓 yi"は
手を使を用いてあるいは棍棒で蛇を追いかける意味。

"寓 yi" は、これは会意兼形声文字である。金文の "寓 " 文字、外部示す家屋の "屋根"の形、内里の古い文字の「禹」文字は、手を使を用いてあるいは棍棒で蛇を追いかける意味。小篆の "寓 "の字 は文字は繁化の規則通り、 "窝" (「巣」という意味)に移り変わった。楷書はこれを受けたが、基本は変化していない。

"寓" は日頃使われていない、もっぱら御客の為に準備した一時的な住い 

家の内に蛇がいる、無人居住のため、居住し入り込む内には、蛇を追い出して清掃しなければならない。だから、"寓 " は日頃使われていない、もっぱら御客様あるいは通行人の為に準備した一時的な住いと理解できる、即ち"客寓"。客がこのような家に住み、寄居することを示す。

《孟子・離委下》:"住む人のない私の室で。その中の "寓人 "の一詞は、人を寄居させるの意味。"寄居する " の義によって、また拡張して"寄託" となる。欧阳修の《酔翁亭日記》のように:"山水の楽、得心のいく心そして寓の酒。

哲理的な文学的体裁が包含した生活 

「寓言」 の言葉は、本来あるところに寄托するの意味だ。以降一種の哲理的な文学的体裁が包含した生活をいう。
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2012年8月29日水曜日

「罪と罰」: 漢字の起源と由来


ドストエフスキーの「罪と罰」という小説はあまりに有名である。人間の性とも言うべき心の内面をえぐり出したものとして、深く印象に残っている。
 人間は最初から誰でも悪人として生まれるわけではない。性善説というより人間が生まれ落ちた時は、善悪もない真っ白な状態で生れ落ちてくると考えている。つまり白紙の状態だ。結婚式の時花嫁が白無垢の振袖を着るのも「自分は白紙の状態で嫁に行きます。あなたの好きな色に染めてください」というのとよく似ている。
 しかし次第に世の中で色々揉まれているうちに、悪に手を染める人も出てくる。しかしいかなる人も、悪に手を染めるについても必ずと言っていいほど、自分なりに大義名分つまり言い訳をする。「自分は許される」、「上司に命令された」、「金が必要だった」などなどである。「罪と罰」主人公も老婆を殺して当然だという言い訳をして犯行に及んでいる。
 そして、この言い訳で自分の箍が外れてしまうとだんだん歯止めが利かなくなる。このことは犯罪でなくてもごく一般に見られることである。自分にいわけを探すのではなく、自分を律することが出来る人こそ真に立派な人と言えるのだろう。大概は「仕方がなかったんだ」と自分を正当化するようになる。これが恐ろしい。
 昨日「罪」という漢字の起源を明らかにしたので、今回は「罰」という漢字に焦点を当ててみよう。罰は古代の罰は非常に残虐なものであった。今ではこのような残虐なものはもちろん許されないが、罪を犯すことを予防する意味で罰は必要なものだと思う。しかし秦の「商鞅」と言う人は、あまりに厳しい信賞必罰を行ったがため人々の反感を買い、八つ裂きの刑に処せられている。ほどほどが肝心ということか。
引用 「汉字密码」(P652, 唐汉,学林出版社)

「罰」は三つの部位の会意文字で罪人を処罰することを余すところなく表現している


 ”罰fa”、これは三個の要素からなる会意字である。金文の”罰”の字、右辺は”刀”の形をしており、刑に用いることを表示している;左辺上部の”網”の形は、捕捉することを表示している。また捕捉のやり方を表示しているともいえる。下部は”言”の字で、判決を示す。三つの形の会意で、罪人を処罰することを余すところなく表現している。小篆は金文を受けて、ただ”網”の形はいっそう形を変え、楷書では”網”を「言と刀」の上に置き、かつ”小刀”形を”立刀”に変化させて、”罰”と書く。

「罰」の本義は処罰するため、即ち過ちを処罰するという意味を表す 


 ”罰”の本義は処罰するため、即ち過ちを処罰するの意味を表す。清代の徐濒は《説文解字注釈》は曰く”罰を網と言葉と小刀からなる。「網」は罪の省略形だ;「言」は罪を決定した意を書く;「刀」は死刑から鼻をそぐ(yI)手足を切断する、頭髪をそり落とす、顔に入れ墨をする等の刑に至るまで皆刑を示している。”


現代漢語中の意味も古代と変わらず 


  《三国志・蜀書・諸葛亮伝》:”法律違反怠慢者はみずから、必ず罰する。”その中の”罰”は即ち処罰するの意味。この意味は今に至るまでそのまま用いて、現代漢語中で”懲罰、過料、罰没、体罰”などの語彙がある。
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