2024年6月5日水曜日

漢字「鼓」の成り立ちと由来:人類がこの地上に生まれてから最も早く出現した楽器ではなかったろうか。


漢字「鼓」の成り立ちと由来:人類がこの地上に生まれてから最も早く出現した楽器ではなかったろうか。


 太鼓の音は、昔から人の体に宿る情感を無条件に呼び覚ますものがある。
 従って祭りや祀りなどで神々の降臨を人々に告げたり、人々の体に宿る或る種の野生を呼び起こす。これは人間の性である。

導入

このページから分かること:
「漢字『鼓』の意味、使い方、語源、関連熟語について詳しい解説。」
  漢字の意味と成り立ち: 「鼓」という漢字の基本的な意味、
     使い方と例文: 現代日本語での使用例、典型的な文脈での使い方、例文。
  関連熟語:
  文化的・歴史的背景: 漢字の歴史的な背景や文化的な意味について

前書き

目次




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漢字「鼓」の今

漢字「鼓」の解体新書


 
鼓_楷書
漢字「鼓」の楷書で、常用漢字
 両側に皮などを張った楽器または楽器を打ち鳴らすこと。
鼓・楷書


鼓・甲骨文字
鼓・金文
鼓・小篆
  
鼓・甲骨文字
鼓・金文
鼓・小篆


 

「鼓」の漢字データ

漢字の読み
  • 音読み   コ 訓読み  つづみ、つづむ

意味
  • つづみ(太鼓。楽器の1つ。木または土の胴の両面に革を張り、打ち鳴らすもの
  •  
  • つづみ打つ(太鼓をたたく)」
  • 打ち鳴らす、たたく
  • 励ます、元気づける

同じ部首を持つ漢字     喜、
漢字「鼓」を持つ熟語    鼓、太鼓、鼓舞、


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漢字「鼓」成立ちと由来

引用:「汉字密码」(P805、唐汉著,学林出版社)
鼓・4款

「汉字密码」の解釈

 「鼓」会意文字である。甲骨文字の鼓の字は左辺は古代の立鼓の象形デッサンで右辺は鼓のばちを持つ手。まさに鼓をたたいているかのようだ。金文の鼓の字は甲骨とよく似ていて、形態はさらに美しく滑らかになっている。小篆と楷書は一脈相通じており鼓全体の形象が分かれて分体の文字に成って象形持ち味が少し少なくなっている。


漢字「鼓」の字統の解釈

鼓・4款(字統)

鼓 字統P276
 会意 の象形。鼓は直を 正字は鼓に作り、壷と攴とに従う。壺は鼓の象形。






漢字「鼓」の変遷の史観

文字学上の解釈

南太平洋のの伝達用太鼓

太鼓は非常に古くから使われてきた打楽器であろう。恐らく人類の誕生とともに生れ、使われてきたのではないだろうか。
 左の画像は、楽器ではなく、南太平洋の島で比較的最近まで通信手段として使われていたものである。このトーテム像は島のおあちこちに作られている。この像の下部は空洞になっており叩くとわりに高い乾いた音がする。恐らくリズムやばちで音を変え、敵の襲撃や、通信、指令に使っていたのであろう。電気も何もないところでは有効な手段だったろう。





太鼓の起源
太鼓の起源は、明確には分かっていない。しかし、考古学的な調査から、数千年前から太鼓のような楽器が存在していたことが分かっている。初期の太鼓は、動物の皮や木をくり抜いたものなどで作られていたと考えられている。 太鼓の伝播 太鼓は、交易や文化交流を通じて世界各地に伝播した。特に、シルクロードは太鼓の伝播において重要な役割を果たした。

太鼓の文化
太鼓は、世界各地の文化の中で様々な役割を果たしてきた。宗教儀式、祭り、音楽、戦争など、様々な場面で太鼓が使われてきた。 ま 太鼓は、人々を鼓舞し、勇気づける力を持っている。これからも、太鼓は世界中の人々を魅了し続けることだろう。



世界の太鼓
      アフリカ大陸
    1.  ジャンベ: 西アフリカ発祥の両面太鼓です。皮膜の素材や形状によって様々な種類があり、力強い低音から高音まで幅広い音色を奏でることができます 
    2.  ドゥンドゥン: 西アフリカのガーナなどに伝わる太鼓です。ジャンベよりも大きく、低音を担当することが多いです。 
    3. タブラ: インド北西部やパキスタンなどで使われる両面太鼓です。皮膜には動物の皮が使われ、金属製のディスクを打ち付けることで独特な音色を奏でます。

    ヨーロッパ大陸:華麗な音色を奏でる太鼓
    1.  ティンパニ: オーケストラでよく使われる大型の両面太鼓です。ペダルで皮膜の張りを調整することで、音程を変えることができます。 
    2.  ドラムセット: スネアードラム、バスドラム、シンバルなどを組み合わせた打楽器セットです。ロックやジャズなど様々なジャンルの音楽で演奏されます。



    アジア・大陸:多彩な音色で彩る太鼓 
    1. 和太鼓: 日本で広く親しまれている太鼓です。様々な大きさや形状の太鼓があり、力強い音色から繊細な音色まで幅広い表現が可能です。 
    2.  ダマル: チベットで使われる太鼓です。宗教儀式などで使われることが多く、低く深い音色が特徴です。 
    3.  コンガ: キューバ発祥の両面太鼓です。様々な音楽ジャンルで演奏され、特にラテン音楽では欠かせない楽器です。 

まとめ

太鼓は、世界中で人々を魅了してきた打楽器です。その種類、歴史、文化は実に奥深く、興味深いものです。太鼓の音色に耳を傾け、その力強さや繊細さに触れることで、私たちは世界各地の文化をより深く理解することができます。



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2024年5月31日金曜日

漢字 「集」の成立ち:「隹」(鳥)+「木」からなり、鳥が木に集まることを意味します!!


漢字『集』の成立ち:「隹」(鳥)+「木」からなり、鳥が木に集まることを意味します!!

漢字「集」の古代文字を見ると、古代人も私たちと全く同じように考えていたことが分かります

導入

このページから分かること:
「漢字『集』の意味、使い方、語源、関連熟語について詳しい解説。」
  漢字の意味と成り立ち: 「集」という漢字の基本的な意味、
  象形文字としての成り立ち、古代中国での使用例など。
  使い方と例文: 現代日本語での使用例、典型的な文脈での使い方、例文。
  関連熟語: 「集合」「集積」「参集」など、関連する熟語とその意味を解説。
  文化的・歴史的背景: 漢字の歴史的な背景や文化的な意味について

前書き

目次




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漢字「集」の今

象形文字としての成り立ち、古代中国での使用例など

漢字「集」の楷書で、常用漢字
 左に集の楷書を示す。そして右に「集」の古代文字を掲げる。これは古代人の見たそのままを字にしたものだ。
 これは今、夕暮れ時にスズメや椋鳥がねぐらを求め、街路樹などに多く集まり、時にはやかましい程さえずっているのを我々が見るのとまったく同じではないか。

 3500年前の古代人が見たと全く同じ光景を見ていることをに、感慨を覚えるのは私だけだろうか?
集・楷書 集・小篆


  
集・甲骨文字

集・金文

集・小篆



 

使い方と例文: 現代日本語での使用例、典型的な文脈での使い方、例文。

漢字の読み
  • 音読み  シュウ
  • 訓読み  つど(う)

意味
  • 一か所にあつまる、あつめる、つどう、群がる。
  •  
  • あつまり。つどい。
  • 写真・作品などをあつめた出版物。
  •  
  • なる。なす。成し遂げる。

同じ部首を持つ漢字     集、焦、樵
漢字「集」を持つ熟語    集
 集合:一か所に集まること、統計上のデータの集まり
 集積:ICチップや回路などを一まとめにしたもの
 参集:ある目的のために各地から集まる
 集落:一定の家屋の集まり、部落、村
  集中:注意などを一点に集めること


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漢字「集」の漢字の由来

象形文字としての成り立ち、古代中国での使用例など。

引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
漢字「集」古文
甲骨にしろ金文にしろいくつかの款が存在

漢字「集」の中に埋められていた「漢字の暗号」は何?

古代文字では、「集」と「焦」は、物体に止まっている 1 羽または 3 羽の鳥の形を表す。ただし、「焦」は火で鳥を焼く様子を表し、「集」は鳥が群れで木に止まる様子を表し、集まることを意味する。図のように「集合」の形と意味がつながっており、実際には「鳥が枝に集まる」という意味になる。 「詩・周南・格草」:「黄色い鳥が飛んで藪に集まっている。」 「集」という言葉は本来の意味を使用している。 現代中国語には「収集、集合、集合、集中」などの言葉がある。

漢字「集」の字統の解釈

 会意 正字は、群鳥が木に集まって、その枝に止まる形。〔説文〕「群鳥木上に在るなり」とあり、集の字を用いる。ト文・金文もみなその形である。


漢字「集」の漢字源の解釈

 三つの「隹」+木の会意文字でたくさんの鳥が木の上に集まることを表す。



漢字「集」の歴史的変遷

「集」の変遷

文字学上の解釈

集の原字である「隹」。字の変遷を見る限り、隹がべースになっているようだ。右の漢字「隹」はフルトリと読むが、「隹」は短尾系のものを表すといわれる。  尚漢字源によると「隹」はずんぐりとした鳥のことをいうとしている。  


「鳥」の変遷

右の漢字「鳥」は長尾系の鳥を表すといわれる。

鳥に関する詳しい記述は『漢字・鳥の由来と成立ち:文字に見る鳥と人類の濃密な関係』を参照ください。


こちらは鷹や鷲などの猛禽類

同じ鳥でも猛禽類を表す「禽」とは成立ちも由来も全く異なるのが面白い。「禽」は網でとらえて飼う鳥のことをいうとのこと







まとめ

我々は、「集」という漢字の古代文字を通して、3500年前の光景を目の当たりにすることができた。いわば、3500年前の写真を見ることができた感激はひとしおである。

 逆に、これから3500年後、我々は後世の人々に何を残すことができるのか。鳥は3億年前の恐竜が変化して、現在にある。そして数万年前に現れた「人」は数千年かけて地球を征服?した。それも産業革命以降わずか200年ほどで、地球を破壊しつくすところにまで至っている。これから先、人類が地球を道連れに滅びるとすれば、残された時間はあまりない。何光年あるいは遠く離れた地球外生物は今の我々をどう見るのだろう・・?

  

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