2021年12月22日水曜日

漢字「寅」の成り立ちと由来は如何に:そして来年は最強の金運「五黄の寅」に当たる


漢字「寅」は、現代では十二支や名前しか使われない。干支は干支でも最強の運勢「五黄の寅」を自分のものにせよ!!という説あり
「寅」という漢字は。現代では専ら十二支と名前にのみつかわれている。

 日本人に最もなじみが深いのは、言わずと知れた、`フウテンの寅さん」こと寅次郎である。この響きは、平成になった今も「昭和のノスタルジック」な郷愁をもって私らたちの頭の中に生きている。

 甲骨文字から見る原字からは、矢をまっすぐに伸ばす(直す)という意味が見て取れる。しかし、今やそのような原義は失われて、名前と十二支だけに用いられているのはなぜだろう。
 英語で、寅のことをTigerというが、その語源は、ペルシア語のthigra、ギリシア語でtigrisから英語・ドイツ語のtigerへと変化したとのこと。

   来年、令和四年は九星気学において、最強の運勢とされる五黄土星と十二支の中で最も金運が強いとされる「寅年」が重なる36年に一度の貴重な年だそうです。『五黄の寅』と呼ばれ、とりわけ強い運気を持つとされる年だそうですです。
 さらに干支では壬寅と表記し、壬(みずのえ)は五行説で水の流れるが如く金回りがよくなる年とされています。
 しかも、今年の漢字は『金』でした。これぞ最強の舞台設定です

 当たらぬの八卦、当たるも八卦、信じるか信じないかはあなた次第。しかし、信じて待つのではなく、【自分も豊かになるのだ】という前向きの気持ちで事に当たれば、道は開ける。これが運勢学で最も肝要なこと。
漢字「寅」の楷書で、常用漢字です。
 矢と両手に従う。 両手を持って 矢柄を治す形である。
 矢が曲がりなくまっすぐになるということから、物事が滞りなく進むという意味に拡張され、「演」という漢字ができたと伝えられる。
寅・楷書


  
寅・甲骨文字
別の一款からは、もう少し矢の曲直を治すことが明示されたように見えるものもある
寅・金文
甲骨文を基本的に引き継いでいる
寅・小篆
唐漢氏は寅の本義は、胎盤が引き落とす導引を示すとするが、どこからそのような解釈が生まれるのかよく分からない


    


「寅」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   イン
  • 訓読み   とら

意味
  • 十二支の第3番目の年
  •  
  • 名前・・・寅吉、寅雄、寅次
  •  

漢字「寅」を構成要素に持つ漢字    演、
漢字「寅」を持つ熟語    寅歳


引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 寅が十二支に占める位置は第3位である。これも会意文字である。
 甲骨文字の寅の字は繁簡両方の型式を持っている。その一は上部の矢の形に同じ符号である。これは臍の緒が繋がっている方向を示している。下部の符号「文(父)」は即ち母親の産門を示したものだ。そして中間の口は産門の内外を示したものである。三つの形の会意で、胎児が出産後、胎盤からまだ出ずに,臍帯がつながった状態を示している。

 その二は上部の三角は胎盤で、中間の左右両辺に手があり、そろそろと注意深く胎盤から引き下ろしている様を示している。したがって、寅の本義は、胎盤が引き落とす導引を示す。

 唐漢氏はこのように「寅」の字を十二支に由来するとして、一貫して縷々説明をするが、字形とその説明はどうも結びつかない。




漢字「寅」の漢字源の解釈
 原字は 矢+両手で矢をまっすぐ伸ばすを示す。寅はそれに宀を添えたもので家の中で体を伸ばし 居住まいを正すこと。

漢字「寅」の字統の解釈
 矢と両手に従う。 両手を持って 曲直を治す形である 篆書の字形は、その初形を失っており、説文、古文の字形も甚だしく形が変形しているが、卜文の字型にはその初意がなお 残されている。
 字統によると、十二支にこの字が用いられているのは仮借であるという。(発声が似ているため、別の漢字から持ってきて、青の漢字に当てた)


まとめ
 「寅」は今では人々の名前と十二支にしか使われない。使われなくなった理由は、使われる場面がなくなったということだろう。多くの字にも栄枯盛衰があるだろう。このブログはその人間の生活史を跡付けることも指名があると考えるので、追々考えていくことにしよう。

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2021年12月17日金曜日

漢字 金:昔から人々をとらえて離せないもの「金」それは羨望の果てに欲望がある


漢字「金」:今年の漢字に選ばれたには理由がある
 今年の漢字は「金」に決まった。 2000年、12年、16年に続き4回目。
 日本漢字能力検定協会は、応募者が「金」を選んだ理由の概要として、東京五輪で日本人選手が多数の「金」メダルを取ったことや、大谷翔平選手が大リーグでMVPを獲得、藤井聡太さんの最年少四冠達成など各界で「金」字塔を打ち立てたことなどを列挙。さらに給付「金」や新紙幣、新硬貨などお「金」にまつわる話も話題に上ったことを挙げている。
過去3回の「金」が選ばれた理由は、以下の通り

  1. 2000年・・・理解できない公的資金の使途、相次ぐ金融機関の破綻や再編成、品質管理を怠りその事実を隠してまで販売(金優先)を続けた大企業に憂いを感じたことなどから、“金に明け、金に暮れた年”“悲喜こもごもの一年”“嬉しい金と悲しい金”などという表現が多く見受けられました。

  2. 2012年・・・ 金環日食などの天体ショーが見られた、数々の金字塔が打ち立てられた。(東京スカイツリー、ロンドンオリンピックで史上最多のメダルなど等、政治で金の問題が表面化

  3. 2016年・・・リオオリンピックでの金メダルラッシュ、東京都知事選挙での選挙資金問題、イチロー選手の金字塔、スポーツ界に新たな金字塔、マイナス金利初導入、シンガーソングライターの金色衣装などにも注目が集まった。

  4.  こうしてみると世間の関心事は、実際の金そのものではなく、オリンピックでアスリートたちが勝ち取った栄冠の結果としての金メダルに集まり、片や自分たちの生活とはかけ離れた世界の金の流れに関心が集まるようである。
     漢字「金」とは、それを「キン」と呼ぼうが、「カネ」と呼ぼうが、そここから頭に浮かぶことは、自分の生活に関係のない物事を目に浮かべ、あこがれと蔑視を同時に感じるようである。

 


この記事は以前にアップしたものをリバイスしたものです。

漢字「金」の楷書で、常用漢字です。
 上部は「今」で、語義は、貴金属の金、貨幣の「かね」を表します。

 「金」という文字はやはり不思議な力を持つようで、片や多くの人々のあこがれであるし、方は底知れぬ力で、人々を支配するものです。

 しかしそういった力は「金」に最初からあったわけではなく、資本主義の世の中で、金本位体制が長く続き、金が資本として、世界を君臨してきたからでしょう。

 そして漸く資本主義の終焉が叫ばれてきてはいますが、さて「新しい資本主義」が岸田内閣のいうようにやすやす実現できる代物ではないことは、岸田首相やその他世の中のほとんどの人にはわかっている話ではないでしょうか。
金・楷書






  
金・甲骨文字
上部は銅液の流出を表し、下部は「火」を表し、全体として溶錬を示す
金・金文
下部は一つの書き方では土から出来ている。即ち土(鉱石のことを示しているが)の中から冶煉で出来たことを示している。
金・小篆
金文を受け継ぎ、「今」と「土」と二つの点から出来た会意文字


    
    


「金」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   キン・コン
  • 訓読み   かね・こがね

意味
     
  • 材質
  •  
  • 貨幣を表す
  •  
  • 反射光を持つ黄色 

同じ部首を持つ漢字     銅、鉄、
漢字「金」を持つ熟語    金色、金環、金字




引用:「汉字密码」(P774、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 金は古代にあっては銅のことを称していた。その後金属類の総称となり、最後にはやっと専ら黄金の名前となった。

 甲骨文字の「金」の字は上下部の繋がった構造となっている。下辺は「火」であり、火で熔煉を表した。「金」の字の本義は銅であり、青銅の銘文の中で「吉金、赤金、美金」などから分かる。この中の「金」は全て銅を指している。

 


漢字「金」の漢字源の解釈
 会意兼形声。今は「抑えた蓋+一」から成る会意文字で、何かを含んで抑えた形を表す。「金」は「点々のしるし+土+音符今」で土の中に点々と閉じこもって含まれた砂金を表す。


漢字「金」の字統の解釈
 象形文字:銅塊等鋳込んだ形。説文に「五色の金なり」とし、金の土中にある形に今声を加えた形とするが、字は今声に従うものではない。金文の字形は全形の左右に楕円形の小塊二を添えている。


まとめ
 近頃の金の高騰を受け、メルカリには金塊が多く出品されているそうだが。その殆どのものは「銅」の合金である「黄銅」だそうで、悪徳業者が世にはびこる世の中だ。十分注意あれ。



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