2021年5月15日土曜日

漢字「筆」の成り立ちを由来は何を語るか:道具の「筆」の発達史が文字「筆」の中に刻み込まれている


漢字「筆」の成り立ちを由来は何を語るか:道具の発達史が文字の中に刻み込まれている
漢字「筆」の成り立ちを由来はから何を知るのか:道具の「筆」の発達史が文字「筆」の中に刻み込まれている。文字のそのものの研究は、文化の発展史に即直結する。このような文字体系は他に例を見ない。

 たかが筆という莫れ。たかが道具という莫れ! 「筆は剣より強し」をそのまま体現するものだ。


漢字「即」の楷書で、常用漢字です。「竹」+「聿」からなる。「聿」は筆を表す。
「述べる/修める/ここに/発語の助字」の意味を持つ。

 「筆」は古く甲骨の時代からあったということですが、甲骨の時代は、筆で文を墨書し、その上から刻画したもので、時々刻し残された文字があるとのことです。
 しかし筆が本格的に使われるようになったのは、秦の時代に入ってからの様で、獣の毛を使った筆が使われ出したのは秦に入ってからということです。
筆・楷書


 甲骨文字、金文、小篆の文字には、筆が道具として発展した過程が明瞭に見て取る事が出来ます。同時に文字そのものも、小篆の時代には毛筆を用いなければ決して書けないような文字にもなっており、道具と道具を使った結果が、キチンを整合性がとれるようになっています。  
「筆」・甲骨文字
見るからに固いもので書いているような象形です
「筆」・金文
甲骨文字を引き継いでおり、筆が少し発達したかのような感じを与えます
「筆」・小篆
竹+聿ですが、聿は毛を束ねたような形になっており、道具の発展が見られます


    



「筆」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   ヒツ
  • 訓読み   ふで

意味
  • ふで    硬筆、毛筆
  • かく、かきしるす   筆算、代筆
  • かいた文字や絵。   筆跡、肉筆
  • 土地の区画   分筆

同じ部首を持つ漢字     建、律、津、肇
漢字「筆」を持つ熟語    筆記、達筆、一筆、土筆、乱筆、鉛筆




引用:「汉字密码」(P201、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 象形文字である。手で細長いものを握り(刀やこん棒)丁度絵や字を刻む様子である。小篆の筆の字は、聿の下に横線を一本加え笔毛を表した、その上にまた竹カンムリを加えた。

 笔のカンムリは竹です。明らかに筆の材料を示しています。史記の中で言うには、蒙恬が長城を築いたとき、彼は取中山(今河北北部)でウサギの毛で筆を作った。もしかしたら、人々は古くから契約書を作るのに筆が使われていた、どうして秦代の蒙恬が初めて筆を作り出すことができたのか。《説文》では「聿」は、「秦、これを筆という。竹+聿にしたがう」とある。繁体字の筆は、会意兼形声文字である。"笔"の本義は書くための道具である。

 


漢字「筆」の字統の解釈
形声文字 竹と聿に従う。聿は筆を手に持つ形。筆は蒙恬により初めて作られたという説もあるが、甲骨時代には既に朱墨で加えられた筆跡が残っている。


まとめ
 筆という漢字を見ると道具の発達史をそのまま描いているかのような錯覚さえ覚えます。こうした文字そのものの研究は、漢字以外の文字体系では得ることができない面白さを持っているといえます。



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

2021年5月14日金曜日

漢字「篆」の成り立ちの意味するもの:輝かしい文字の歴史を物語る


漢字「篆」の成り立ちの意味するもの:輝かしい文字の歴史を物語る。「篆」は「竹カンムリは竹の片の上の文字であること表し、竹簡が文化の担い手であったことを示している。
 そして、その後さらに使い易い「紙」の発明と文化の発展につながっていく

 小篆は秦の始皇帝が紀元前220年に、全国統一したときに全国での書写の標準字体として確定したものです。

 それ以降、隷書、楷書、簡体字など様々な様式が使われていますが、基本的な文字の構成は始皇帝の定めたときのまま踏襲されています。


漢字「篆」の楷書です。中国の古代文字で、秦の始皇帝が中国統一後、李斯に命じて、それまで全国でバラバラになっていた漢字の全国の統一の標準の書き方を定めたものが小篆です。小篆の基礎になったのが大篆といわれるものです。これにより、中国では、全国で文字は単一の形式で書かれることになり、文化の発展に大きく寄与したことになります。
篆・楷書




 「篆」は一般的に小篆を指す。即ち秦始皇帝が統一した文字の書体を標準書体して定めたものである。大篆は秦の統一後は周代の書文の一種の指標とし、この種の呼称は籍分とし、小篆に相対させた。

 紀元前221年に始皇帝は六各国を統一し、建立した中国史上初めてなのは封建王朝がこの時であった。彼は李斯の建議を受け、共通文字の政策を実行した。これより漢民族は2000年以上にわたり同一の規範の文字を使うことになる。文字は中国文化のは遺骨であるから、古今東西異なる方言の人も一致して、政治、文化、民族的、心理的な大統一を作り上げることになる。
「篆」・小篆


    


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引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「篆」は「竹と彖の発声である。竹はここでは竹片の上の文字であることに適合し、彖"の本義は豕の丸くになってゆくことから出ている。この為毛筆独特の滑らかさや、曲がりの意味を説明するのに用いる。

 

漢字「篆」漢字源の解釈
 会意兼形声 篆:竹+「彖」(音符・タン)に準ずる。下に垂れる形の筆法で書かれた字




まとめ
 篆自体は単なる書き方に過ぎないが、紀元前2世紀に全国の文字の書き方が統一された意義は計り知れない。



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