2020年4月12日日曜日

漢字:免疫の『免』の意味するもの、コロナウイルスに対する人類の生き残りは?


コロナウイルスは人類の免疫を無きものにするかも知れない。人類の生態系を脅かすものになっている。
4月11日には、世界で170万人を超す感染者と、10万人を超す死者が確認された新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)。しかし、このウイルスの真の発生源はどこか、世界中の細菌学者や感染症学者が、『 新型コロナウイルスの「0号患者」を探せ!』と血眼になって探しているが未だ明らかになっていない。一方世界の5大陸に広がっているこのウイルスは、すでにアマゾンの奥地にも及んでいるようだ。
 栄養の偏りや貧血の問題を抱えている子供も多く、免疫系が脆弱でウイルスや細菌に弱いとされる先住民族たち。医療も行き届かないなか、共同生活のせいで病気があっという間に流行するため、はしかやマラリアと同様、呼吸器感染症の流行は部族の絶滅につながると恐れられている。いまやコロナウイルスは、人類自体の生態系に重大な影響を及ぼしつつあるといえる。 
 「疫」から免れる機能である、免疫に世界の注目が集まっている。

『免』という漢字
 ここでは、この「免疫」のキーワードの中の『免』という漢字に焦点を当ててみよう。
  [免]という漢字は、免疫という言葉以外に免職、罷免という言葉に使われている。いずれも、「免」という言葉は、脱離の意味に使われている。


引用:「汉字密码」(P709、唐汉著,学林出版社)
『免』という漢字の起源と成り立ち
 「免」、これは会意文字です。甲骨文字の「免」という言葉は、下の部分が直立した横から見た人間の姿で、その上は羊の角の装飾が施されている帽子を表しています。
 金文の下部の「免」という字は今でも「人間」の形をしていますが、帽子の飾りは「八」の字に略されています。
  小篆の「免」の字には上部に人間の形が追加され、下部の「人間」の形状はアール化しています。
 楷書ではこの関係から「免」と書くようになった。


『免』という漢字の原義は「被り物」
 「免」という言葉の本来の意味は、もともとは帽子やその類の装飾でした。部屋に入るときや客に会うとき、休憩するときにはすべて脱ぐ必要があるため、「取り除く、離脱」という意味に拡張されます。

 「左荘・哀公16年」の「乃免冑而进」とあるのは、ヘルメットを脱いで部屋に入るという意味です。


古代の皇帝の冠

 後の世代は「冕」という言葉を作成しました(上は冃です)。これは、専ら帽子をかぶるの意味を具体的に表しています。 「説文」には、「冕」を説明し、貴族と官僚の上の役人だけが王冠を着用できることを意味する。

 中国の時代劇に出てくる、あのすだれの付いた冠です。「ベンカン」と呼ぶらしいです。




結び
免という字は元々被り物や帽子を指す言葉だったのが、使われているうちに「被る」ではなしに[脱ぐ」という意味になって定着してしまったというのは面白いですね。



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

2020年4月1日水曜日

漢字・戈と止(歩く)から成立ち、武器を持って進める・制圧する意味


コロナで一躍クローズアップされた「武」の付く街・武漢は6000年の歴史を耐え抜いてきた街だった
黄鶴楼
コロナで一躍クローズアップされた都市だが、その歴史は古く6000年前の新石器時代に遡る。紀元前18世紀〜紀元前14世紀前期には殷・方国都邑が保存され、長江流域の唯一の殷代都市遺跡として知られる。
 そして前漢には正式に一行政単位となり、三国時代には、かの有名な黄鶴楼が建設されている。

 その後一貫して、全国有数の水陸交通要衝として、重要な役割を担ってきた。

 そして近代に至っては、1911年に武漢の中の武昌で武昌起義が発生し、辛亥革命が勃発した。



武漢長江大橋:
黄鶴楼から長江を渡る大橋を望む
全長1670m、道路部の幅22.5mの
2層桁橋である
諸元:
 面積 :総面積 8569.15 km² 市区 1557 km²
 海抜 23.3(平均) m 
 人口: 総人口(2017) 1089.29 万人
 人口密度: 1271.17 人/km²
 市区人口(2016) 858.82 万人
 市区人口密度 1万5170 人/km²
 経済 GDP(2017) 1兆3410億3400万元
 一人あたりGDP 12万3111元


引用:「汉字密码」(P603、唐汉著,学林出版社)
武は「戈」と[止」で構成され、武装示威の意
[武]は武器を以って制圧する意味
[武」の上部は「戈」(武器)、下部は「止」(足跡)の二つの部位から構成されます。戈止の会意は、討伐を意味し、武装示威の意味です。
 「戈」は武器を意味します。金文の[武]は 「戈」の下の「止」に移行しています。既に楷書の最初の形式です。 小篆は甲骨文字の上部と下部の構造に戻りましたが、ただし戈止の会意の基本構成は変更されていないため、楷書では「武」を使用しています。 

字統の解釈
戈と止(あし)に従うとあり、唐漢氏とほぼ同様の解釈であり、説文の中の許慎の解釈に異を唱えている。「止」を許慎は文字通り「止める」と解釈しているが、これは許慎の解釈の間違いで、止めるではなく、進めると解釈すべきであるとする。



漢字源の解釈
会意文字。「戈」(ほこ)と「止」(あし)で、戈を持って足で堂々と前進するさま



結び
 コロナで一躍有名となった武漢は、大きな汚名を着せられた。確かに初動の対応が遅れた部分はある。その謗りは免れないとしても、その一方で資本主義は、この世に資本主義が跋扈して未だ僅かに200年を経ずして、その富の追求は人々の生活を破壊し、地球までもグローバリズムの名の下に呑み込んでしまったこの惨状をもう一度考え直さざるを得ない時点に今我々は置かれている。
 片や6000年の歴史に耐え抜いてきた武漢は、非難の対象にさらされている。武漢は共産党の支配下にあるから誤ったのではない。事実資本主義の牙城ともいえるアメリカのニューヨークの惨状をどう見る?武漢の過ちは人間の過ち。ニューヨークの過ちも人間の過ち。
 ここで物事の本質を見失ってはならない。資本主義の持つ危うさを我々は今一度考え直すべきときではないだろうか。今まさに価値観の見直しを求められている。


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