2012年9月6日木曜日

住まいの漢字 「宿」の起源と由来


今では死語となってしまったが、「宿場、宿六」などという言葉はなんとなく、鄙びた語感を持っている。今も宿屋と言えば基本的には、日本風の宿泊施設のことを言い、ここでは「女将」という主人がいるのが一般的である。あまり宿の亭主に男が出てくることはない。これは接待される方にとって、男の「主人」ではなんとなく、気づまりなところがある。

引用 「汉字密码」(P723, 唐汉,学林出版社)

 「宿」は会意文字である。甲骨文字の「宿」の字は外は家屋のデッサンである。家屋の中の右には蓆があり、蓆の上で仰向きに横になっている。金文の構造は甲骨文字と同じであるが、蓆の形が三角形に変わっていて、人と蓆の位置が入れ替わっている。小篆の「宿」は変化していく中で、蓆は「百」の字に変わって、楷書では「宿」となった。

 「宿」の本義は、住む宿のこと。《苟子・儒效》の様に、宿と百泉に暮らす。現代漢語では「宿営、風餐露宿」等の言葉もある。  名詞に変わって住む場所を表すようになった。《周礼・地官・遗人》の如く「十里行くと飲食できるところがあり、30里行くと食事のできる宿がある。又転じて夜を指すようにもなった。 贾思艇の《齐民要术・水稻》の様に「種を洗い、三宿漬けておく。」ここでは「稲は洗った後三夜漬けておく」と言っている。又さらに拡張され、隔夜、隔年のようにも使われる。さらに古いの意味で「宿麦、宿願、宿志」の様にも使う。

 また年長を讃えて、経験者の様にも使う。「宿将、宿者」の如く、宿将は経験豊かな老将の意味である。   
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2012年9月1日土曜日

寝: 漢字の起源と由来

  寝室は中国語では「卧房」という。さて、ここで「寝」と同じような意味を表す漢字に「卧、寝、寐、眠、睡」がある。意味は似ているが具体的な使用方法には、少し違いがある。「卧」は腹ばいになって寝ることを指す、但し必ずしも眠っているわけではない、その姿形に重点がある言葉である。「寝」は睡眠を指す。眠っている部屋に重点がある。「寐」は一般的に寝ることを指す。睡眠に重点がある言葉だ。「眠」は目を合わせて閉じているのが本義で、そこから拡張され、「睡」を表す。「睡」は座って首を垂れうたた寝をしている意味である。
 




引用 「汉字密码」(唐汉,学林出版社)

「寝」の本義は病臥することとしている

「寝」の本義は睡眠である。また寝室を表している。甲骨文字では、「令多尹作王寝」とある。これは多数の執事や大工に命じて王の居住の寝室を作らせたということである。





「寝」は居室に寝るために清掃することを示している。 

甲骨文字の「寝」の字は会意文字である。外側は部屋を表す形で、内部は箒の象形である。両形の会意で居室を寝るために清掃することを示している。金文の「寝」の字は甲骨文字の基礎の上に一個の手を加え、清掃することを明確にしている。小篆は金文の形に人を加え、楷書では「寝」と書く。また造字の方法で人を変化させ、寝台の意味を持たせ、これを簡単化した旁で、「寝」とした。

 「寝」は説文では「臥」なり。

「寝」は説文では「臥」なりとある。「体を横たえて寝る、休息の意味である。論語の衛霊公では「我味わいて、終日食わず、終夜寝ず」とあるのは俗に言う、「夜食が不安なら寝るのも安定しない」の意味である。 「寝」は名詞を作り、寝る場所を指す。「入寝、寝室」など。又特に帝王の陵墓を「陵寝」などという。

 
漢字「寝」の字統の解釈
 病気で臥せることを「寝」という。「説文」に 病みて臥するなり」と注釈を引いている。


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