2012年1月9日月曜日

女の漢字シリーズ:妾

  「妾」 これは今風にいえば差別用語かもしれない。確かに漢字の起源をひも解いてみるとこの漢字の発生そのものが女性にとっておよそ面白くない歴史過程を経ている。しかし、あえて言えば、このような歴史過程をきちんと検証せず、現在の価値判断の基準だけで物事を見ることは、歴史の背後のすざましい闘いを無視することになり、甚だしい歴史の誤認を生ずることになるだろう。
「妾」は部族間の争いで捕獲された女性や
金で買われた女性を押し並べて「妾」と呼んだ。
  「妾」この字は会意文字である。甲骨文字と金文の「妾」の字は、下の部分は皆ひざまずいた女人の形をしている。女性の頭の上には「辛」 の字がある。上古社会では部族間では常に戦いがあった。領土の争い以外は皆多くは略奪であった。相手方の氏族の女性を捕獲するのは、常に戦争の目的の一つであった。
 「辛」は捕虜を取り押さえておく刑具であった。「女」の上に「辛」を加えて、略奪してきた捕虜の女であることを示している。 
  例えば殷商の民族の先王と呼ばれる人の母親は「妾」であった。この上古社会では「母は子供で貴し」という鮮明な実例である。当然この類の女性もまた男子の性欲のはけ口の対象となった。文明が発展するにつれ女性の社会的地位が逐次低くなった。捕虜で連れて来られ、身分が低くなった女性を、正妻のある男が娶った女子や或いはお金を出して買ってきた女性や罪や罰で没収された女性たちを押し並べて「妾」と称した。 

「漢字の起源と由来ホームページ」に戻ります。

2011年12月28日水曜日

面白漢字

 漢字の中にはいろいろの漢字要素を合わせて一つの漢字となっている。  偏と旁などは漢字作成の最も基本的な方策の一つである。ある漢字とある音の要素を組み合わせて作成された漢字もある。(形声文字)  中には全く同じ要素を重ねて用いて、一つの意味を表すものもある。最もポピュラーなものに「森」や「林」がある。

  そこで、このような重ね合わせ漢字を集めてみた。

拼音     日本語

森 Sēn    樹木が多いさま.森

鑫 Jīng   富み栄える.(人名や屋号に用いることが多い これなどは正に簡体

         字とすべきものの筆頭候補であろうが、名前に使われている為、簡体字にはなってない

赑 Bì     1.盛んに力を出すさま.

2.蟇[ひき] カメに似た伝説中の動物.石碑の土台に

磊 Lěi       石が積み重なっているさま

淼 Miǎo   〈書〉水面が広々として果てしがないさま

晶 Jīng    明るい;きらめく.水晶.結晶体

. 焱 Yàn  火花;炎

矗 Chù    そびえる.まっすぐに立つ

毳 Cuì    にこ毛.柔らかい毛

姦 Jiān (繁)ずるい.悪賢い.不忠である.

品 Pǐn      品物.物品

垚 Yao 2(繁) 高い

轟 Hong1 (繁)大音響

蟲 Chong (繁)虫

众 Zhong3 大衆、たくさんの この時は現代中国語でも使われており、よく見かける。

森 Sen1   樹木が繁茂している様、薄暗い、陰気である
         日本語で言う「森」を現すときは、「森林」という語を用いる。

 これらの漢字の中には日本ではもう既に使われていないものもあり、また意味が全く異なってしまっているものもあるが、比較的直観的である為日本人には類推がつきやすいものとなっている。「こんなんのもあるんだ―」ぐらいで見て戴ければ十分である。


「漢字の起源と由来ホームページ」に戻ります。