漢字「宗」の起源と成り立ち:宗教の「宗」と「教」の違いを「宗」から考えた
宗教における「宗と教」の違いは何だろう。同じ宗教でも、キリスト教とは言うが、キリスト宗とはいわない。これは漢字のルーツを探ってみると、「宗」というのは、教えではなく、大きな教えの中の一つの流れであることが分かる。キリスト教にしろ、仏教にしろ、イスラム教にしろ、大本の教えは一つにせよ、それを信じる人が増えるにつれ、いくつもの流れができてきたのだと理解できた。
引用:「汉字密码」(P822、唐汉著,学林出版社)
「宗」、「説文」は、「宗、祖先の寺院なり、内と示すからなる」と説明されています。つまり、「示」は「神主」を意味し、「内」は居室を意味します。これは、「先祖代々の寺院の建物」から作成された字です。《晋书•礼志》に記載された「古无墓祭之礼。」という言葉に基づいています。上古先民はおしなべて祖先を祭ったが、全て特別に建造した寺院や廟の中で行っています。このタイプの建物には長い歴史があります。故宮の東にある働く人々の文化宮殿は、清王朝の王族の祖先の廟です。
甲骨文にある「宗」という2つの書き方の字は同じ意味です。「宗」という言葉の上部は家です。家の下の「丁」は神主の位牌であり、上部と側面の小さな点は礼拝のお供え物を示しています。金文、小篆、楷書の「宗」の文字はすべてこれから来ており、形に変化はありません。
「宗」の本来の意味は、祖先と祖先の祖先廟で、祖先を奉る位牌の部屋です。同じ祖先を崇るのはすべて子孫なので、「宗族」の意味に拡張された。 同一の宗祖からしたの流派は、「宗派、禅宗」などといいます。
祖先を後の人が尊奉、尊崇し、帰依することを宗仰、朝宗といいます。祖宗は人身の基盤であることから、本源や主旨のことを宗旨といったり、よろず変わってもその宗からは離れないなどといいます。家長から受け継がれた学校を指すように拡張されました。
中国には、いまだに続く「宗族」という「制度」があるそうだ。これは殷や周の時代に盛んになって、封建制度が確立していく上でのある種の制度的保障になったものだという。しかしその後、生産力の発展の高まりとともに、隅に押しやられ廃れていったというが、1990年代ごろから再び力を持つようになったとのことである。一方韓国では未だに隠然たる力を持っているようで、その名前は「本貫」という。
字統の解釈
ウ冠と祭卓に従う。ウ冠は廟屋、「示」は神に奉じる時の祭卓の形。廟中の祭卓には 神位を奉じた。 それで宗は宗廟の意となる。卜辞には太宗・中宗・小宗の名前が見え祖霊への祭祀が盛んであった。
結び
難しいことはさておいて、要は寺院・宗廟などの建物を指す。このことから、本源的なものを示すようになった。酒の「菊正宗」もこの主旨に基く命名であろう。
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