漢字「御」の成立ちと由来:「御室」を「みむろ」と読むルーツをは中国にあった??
且て、江蘇省・揚州を旅した時、清の乾隆帝が建立し、舟遊びを楽しんだという船着き場に立ち寄ったことがある。その船着き場に碑が建てられており、「御馬頭」と書かれてあった。現地の人にこれは何と読むのだと聞いたところ、「みまとう」だと聞こえた。自分の耳を疑った。百人一首の「御室の山のもみじ葉は・・」という歌が頭に浮かんだ。全く同じ読みをする漢字に出会おうとは夢にも浮かばなかった。非常に感激をしたことを思い出した。よく聞くと、「みまとう」ではなく「うぃまとう」と発音したようだが、はるか昔鑑真和尚が日本に来た頃、この地で「御馬頭」の発音を聞いて、「みまとう」と聞き、それから「御室の山」を「みむろのやま」と読むようになったのではないかと密かに考えたものだ。
この記事は「漢字『御』に込められた祖先の切なる想いとは何? 漢字の成り立ちと由来を見れば謎が解ける!」を加筆Reviseしたものである。
導入
前書き
目次
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漢字「御」の今
漢字「御」の解体新書
漢字「御」の楷書で、常用漢字である。 | |
御・楷書 |
御・甲骨文字 |
御・金文 |
御・小篆 |
「御」の漢字データ
- 訓読み おん 例)御中 お 例)御前 み 例)お御籤
- 音読み ぎょ 例)御意 ご 例)御飯
- 使い方 ①敬意やていねいさを表す語。「御挨拶」「御覧」
②皇室に対する敬語 「御物」
③あやつる。「御者(馭者)」「制御」
④おさめる。支配する。つかさどる。 「統御」
⑤ふせぐ。まもる。 「防御」
同じ部首を持つ漢字 御、禦
漢字「御」を持つ熟語 御、御中、御前、御者
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漢字「御」成立ちと由来
引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)唐漢氏の解釈
"御"の本の字は"禦"である。これは会意文字だ。甲骨文字の「禦」の字は右側には跪いている男の人が見える。左辺は「示」の献卓がある。真ん中には臍の緒を示す記号があります。会意文字で子供を授かることを願う祭祀を指している。金文の「禦」の字の形象は特にはっきりしている。小篆は禦の字の形態は整合がとれていて、併せてギョウニンベンの旁が滑らかに表示されている。楷書はこの縁で禦とかく。簡体化で御の字が禦の簡体字となった。
"禦"は《説文》では「祀なり」としている。上古時代は高出生率、高死亡率で、極端に低い生育率が基本的特性であった。統計に基づけば有史以前は、嬰児の死亡率は高く、0.5以上にも達した。旧石器時代の世界人口の増加率は100年で1.5%を超えなかった。新石器時代でも4%を超えなかった。この為氏族と部落の生存は出生率と成活率にかかっていた。その意義はことのほか尋常ではなかった。人類の有史以前の生殖崇拝と育産祭祀は非常に旺盛であった。
漢字「御」の由来と成り立ち:子宝を願う神へ強いの祈りを体現
"御"はこの歴史の産物である。春秋以降は人口の数量は大きく増加し、血族群団は地域社会に取って代わられ、人口の多寡は、再び氏族の存否の主要な要件になることはなかった。このために人口の繁衍を希求する禦祭は消滅することになった。
漢字「御」の字統(P185)の解釈
声符は卸。形声文字。卸は御の初文。
氏は御は祖先の霊を払うときの祭祀であったという。漢字「御」は「禦」の初文という。
ここで字統から少し離れて考えてみると唐漢氏とは全く逆の解釈となる。たしかに「禦」をよく見てみると、金文までは字形の下に祭卓を表す「示」が出ていない。ということは金文までは「御」も「禦」も全く同じ字形であったとなるか、そもそも禦という語は金文の時代までは存在せず、「御」という言葉しかなかったといえるのかも知れない。
漢字「御」の漢字源の解釈
会意兼形声。原字は「午(きね)+卩(ひと)」の会意文字で、堅いものを杵でついて柔らかくするさま。御は「馬を穏やかにならして行かせることを示す。
漢字「御」の変遷の史観
文字学上の解釈
「御」の文字の変遷 左民安《細説漢字》(漢典より) |
「禦」の文字の変遷 左民安《細説漢字》(漢典より) |
まとめ
字統では「御」は形声文字と説明をしているが、会意文字ではないかという説もある。唐漢氏も視点は異なるが、やはり「祭祀」であるとしている。
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