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2017年3月21日火曜日

漢字「忖度」の「忖」の成立ちを探る! 他人の心を思いやる?

漢字 忖度の「」の起源と由来
引用:字統(P557、白川静編,平凡社)

「忖度」、 少し聴きなれない言葉が、今年に入ってから、森友学園の小学校の建設に絡んで、この「忖度」という言葉が非常によく聞かれるようになった。毎日、毎日、テレビのどのチャンネルも、どの新聞も、官僚が政治家を慮って便宜を施したということで、「忖度!!!、忖度!!、忖度!」と聞かない日はない。間違いなく今年の「流行語大賞」である。
 しかも、 最近では、この忖度をめぐって、とんでもない議論が出てきている。「忖度」には、いい忖度と悪い忖度があるというものである。

この議論であれば、忖度という言葉そのものに、新たな価値観を持ち込むことになり、ますますもって、日本語の混乱を起こしかねないと心配する。この分では、いい原子力と悪い原子力があります皆さんどちらの原子力を選びますか?という議論に世間を誘導していくことにもつながり、非常に危惧を感じている次第だ。こんなことは誰が言い出したのか? こんなことを言い出す人の頭の中はやはり保守!。要は大衆受けする言葉を使って、世間を何も考えない方向に持っていこうとする魂胆が見え見えだ。

 「字統」によると、「忖度の「忖」は、「寸」は手の指4本を並べた長さの1本分で、長さを図る意がある」として、唐漢氏の説明とほぼ同様である。当BLOGの「寸」を参照願いたい。
 「詩経・小雅・巧言」には、「他人有心、予忖度之」とあり、既に2500年前に孔子の言葉として語られていることから、ずいぶん昔から人間は「忖度」し続けてきたものと見える。因みに「忖度」の「度」という字も、はかるという意味があり、現在でも度量衡で使われている。また「漢字源」では「指をそっと置いて長さや脈をはかるように、そっと気持ちを思いやること」とあり、この解釈が現在、マスコミで騒がれている使い方にぴったり来る。


大辞林


因みに、日本語では、「大辞林」によれば、「他人の気持ちをおしはかること」とある。

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2016年12月19日月曜日

漢字「歩」の成立ちを「甲骨文字」に探る:左右を併せて一歩としていた


漢字「歩」の起源と由来

歩くということ
 甲骨文字では、足跡が二つ前後に並んでいる状態を表している。つまり「歩く」ことを表している。この歩くという行為が、あって、これを長さの単位とするようになった。今でも計測器のないときには、実際に歩いて長さを測定することが日常的にもある。

 日本では、片方の足を踏み出すことを一歩としている。ところが中国では、片足を踏み出したぐらいでは、「歩く」つまり「一歩」とはいわなかったらしい。あくまで、右、左と両足で踏み出して初めて一歩とカウントしたということだ。そう言われればなるほどと思う。「歩く」という概念もなかなか奥が深い。


引用:「汉字密码」(P394、唐汉著,学林出版社)

 歩は象形文字である。甲骨文字と金文の歩は両足の足跡が一つは前に一つは後ろにあることを表して、足が交代で前に行くことを示している。歩の本義は歩行である。歩兵、徒歩、等。
 「步步为营」この成語は、言っているのは軍隊が前進する時、前進の一歩一歩陣地を固めながら前進することである。まるで人の一歩の足跡を「稳扎稳打」(着実に根をおろし、着実に戦う)の形容することで、注意深くあるという事である。
文字の変化の過程で小篆の歩は象形から抜け出て、符号化の方向に発展し、楷書を経て隷書にいたって「歩」と書くようになった。


「歩」は長さの単位
長さとしての「歩」は、古代中国の周代に制定された。右足を踏み出し、次に左足を踏み出した時の、起点から踏み出した左足までの長さ(現代日本語でいう「2歩」)を「1歩」とする身体尺で、約 1.35 m(面積は 1.822 m2)だった。

 実際の1歩の長さは時代によって異なる。秦・漢では6尺と定義された。当時の尺は約23cmであり、1歩は約1.38m(面積は 1.9 m2)となった。その後、尺の長さが伸びるのに比例し従い歩の長さも伸び、隋代には約 1.77 m(面積は 3.14 m2)となった。

 唐代には5尺、つまり約 1.56 m(面積は 2.42 m2)となった。ただしこれは、歩の長さ・面積が変わったというよりは、尺が伸びたことに対し歩を変えないようにした結果だとする説もある。唐の大尺は小尺の1.2倍なので、大尺5尺は小尺6尺に等しくなる。



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