現在中国語では「葉」を「叶」と書く
以前からいくら簡略化と言え、このように似ても似つかない漢字を当てはめたのだろうと不思議に思っていた。調べてみてようやく納得がいった次第だ。
繁体字の「葉」に簡体字「叶」が当てられた理由
「叶」という字の繁体字は「葉」という字である。つまり以前は「葉」という漢字を使っていたということである。しかし、出来るだけ書く数を減らすという漢字の簡単化の作業を進める中で、「叶」と定めたものである。
ではどのようにしてこの似ても似つかない漢字が当てられたのかというと、古代の音のグループの中で、「葉」という漢字と同じ音を持つグループに「協」という字が属していた。この「協」という字の異体字(古体字)に「叶」という漢字があったことから、「葉」の簡体字は「叶」と定められたようである。
「葉」の変遷
「叶」は「葉」の簡体字と同時に古代においては「協」 の異体字で全く同じ意味 |
甲骨文字の「葉(叶)」の字は象形文字である。上部の三つの点は枝の上の葉の形をしている。金文の葉の字の上部は横が短く変形し、小篆の「葉」の字はこの変化により、「世」と「木」の会意文字になっている。「世」は即ち草木の葉の生え替わり繁衍していくことであり。繋がり断たれることがないことである。
楷書(繁体字)では「草かんむり」が加わり、葉の本来備えている性質を表明している。現在の簡単化された「叶」の字は同音の近い「協」の字の借用である。(「叶」は元々「協」の字の異体字・古体である。)中国語で葉を意味する時は「叶」とかいて、Yeとよむ。
「叶」は「協」の異体字、では協という字の起源は
「協」は力が三つあり、それを合わせることの意味 しっくりいっているという意味にも用いられる |
「协」は「協」の簡体字である。甲骨文字の「協」の字は三個の「力」が並列に並んだ合体会意文字で、共同協力を表す。一緒に種を播くの意味である。金文の「協」の字は甲骨文字を引き継いでいるが下に口が加わって、多くの人の声を合わせ力を合わせることを強調している。小篆では下部の口が簡略化され、逆に十の字が加えられ人数が多いことを表示している。
説文にも「協の本義は協力、協作、協商等の様に共同して力を出し合うことと知るべし。」とあるようだ。
協は古文の中では睦まじく打ちとけ合う、調和がとれているの意味も表わす。中国語で「叶」と書いて、Yeと読むときは「葉」、Xieと読むときは、協力するの意味に使うようである。勿論「协」と書いても何ら問題はない。
何かと不協和音の多いこの世、皆力を合わせてしっくりと行きたいものだ。
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