2017年1月5日木曜日

漢字「局」の成立ち:古代に死者を葬る時、屈肢葬のデザインだという説もある。

漢字「局」の起源と由来
引用:「汉字密码」(P390、唐汉著,学林出版社)


  「局 Ju」は会意文字である。古文中の「局」の字は「尺」の下に「口」がある。「尺」の原本は手腕の肱の上の曲がる部分を言う。このことから手肱をさす。口は手肱の回りの曲がる小さい範囲の空間をしめす。よって小篆から隷書までの変化の過程で、上部の尺は肱の折れ曲がった形状はその形の類似性とニュアンスは失って、楷書では局と書く。
 説文では「口と尺の下にあり、局これに帰すことを示す。」玉編は「局は曲なり」とする。即ち手腕の湾曲した小さな丸い空間である。このことから拡張されて、将に全体を部分に分割することをいう。「局部、小局服从大局、局势」などの如し。又さらに拡張して、事務所、官庁の機関をさす。(全体の機構の中の、一部署という意味か)
 「局踏、局缩」などの言葉の中の「局」という字は全て萎縮を表す。
 局は将棋の盤。(これも、限定の意味から分割された区画を表す。ということか)局面の言葉は元々は将棋の一局面の形勢を指していた。それが実地の及び勢力の所在の比喩になった。又将棋の局から「結局」という言葉が出てきて、将棋の勝負の結果を表示する。


此れに対し、白川博士の説は、「字統jによると、

尺は身を屈している形でいわゆる屈肢葬。肢体をまげて埋葬する形。 口はサイ、祝禱の器で祝詞を示す。屈肢葬のものに祝禱を加えるのは、その死霊 に何らか祈るところがあるのであろう。 説文に「促なり」というのは局と重韻の訓。その字形について、「口の尺下に在るに従ひ、またこれを局す」 とあり、〔段注〕にロを織する意とするが、口形は祝祷の器の形である。古代の葬法としては仰身伸展葬が普通であるが、ときには府身葬や屈肢葬があり、それぞれ何らかの意味が与えられているのであろう。 句は曲身、局はその一層甚だしく屈曲した形で、それに祝禱を加えるのは、呪的な意味をもつ行為と思われる。 局跨の意より、局限・局部・局所・局面 ・局勢のように用いる。
とあり、尺は身を屈している形でいわゆる屈肢葬。肢体をまげて埋葬する形とし、「サイ」という白川博士の説の基本思想とも言うべき「祈り」の言葉を入れる箱を付け加え、死者に対する畏怖を表したものとしている。
そこで。同じく「字統」の中の「尺」の説明の中には、この屈肢葬という記述は全く見られなかった。


「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

菅原道真が寝殿造りの居室の一角=局で勉学に励む話を本で知って、人が出入りして邪魔されてイラつくという箇所、局の広さのイメージがつきました。ありがとうございます。「読書と日本人:津野海太郎」

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