2012年8月18日土曜日

「宣」 漢字の起源と由来


 「家・居室」を現す漢字が、社会の仕組みが発展するにつれ、単なる居室ということではなく社会的機能を表すようになってくる。この「宣」という漢字などは、完全に「王の宣旨をする部屋」というある意味、殆ど単一の機能に用いられている。
引用 「汉字密码」(P719, 唐汉,学林出版社)


"xuan " は会意文字だ。甲骨文の "宣 " 字は、上部は家屋の外形"∩ "を表し、内里は回転を示す記号である。二つの形の会意で、これが人が屋内走り回れる一種の大きい部屋と認められる。

  金文の "宣 "は、外枠と甲文は似ていて、ただ中は回転の記号が美観上対称になっているにすぎない。大いに巻いている様子と、その下はまた一つの点が加わり、家室前の足場も示しているようだ。またここから入っていく意味を表している可能性もある。

 小篆の "宣"の文字はこれから来て、楷書それ故に"宣 "と書く 。


 "宣 " 、《説文》では "天子が宣旨をする部屋と解釈している。ウ冠と「亘」の読みから出来ている。"宣“の本義は大きな部屋である。そこから引き出されて、王の居住する宮室を指す。《淮南子・本経訓》に記載されている "武王は武装した兵士三千を率いて、纣王を野に破り、宣室でこれを殺した。"ここの "宣室"、は纣王が居住する宫室の意味である。

 宣の "大きい家"の意味から、また引き出されて "大げさである"の義も出てくる。例えば《詩・小雅・鸿雁》では:"维あの愚か者は、大げさなことを言う。"ここの "宣骄 "は、"驕慢で驕った"という意味である。

 高くて大きな家の室内は当然明るいし風通しもいい。だからそこから引き出されて、"順調だ" の意味も出てくる。晃错の《賢良対策を上げる》のように:"政で明らかにしなければ、民は安寧ではおれない。" またさらに引き出されて「拡大して、発表して、伝わり広まらせる」の意味にも用いる。 "宣揚、宣旨、宣誓"など。この意味はさらに拡張され公開、明らかにするの意味にもなる。例えば "心に照らして宣せず、洩らして広める" など。
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