漢字の中にはいろいろの漢字要素を合わせて一つの漢字となっている。
偏と旁などは漢字作成の最も基本的な方策の一つである。ある漢字とある音の要素を組み合わせて作成された漢字もある。(形声文字)
中には全く同じ要素を重ねて用いて、一つの意味を表すものもある。最もポピュラーなものに「森」や「林」がある。
そこで、このような重ね合わせ漢字を集めてみた。
拼音 日本語
森 Sēn 樹木が多いさま.森
鑫 Jīng 富み栄える.(人名や屋号に用いることが多い これなどは正に簡体
字とすべきものの筆頭候補であろうが、名前に使われている為、簡体字にはなってない
赑 Bì 1.盛んに力を出すさま.
2.蟇[ひき] カメに似た伝説中の動物.石碑の土台に
磊 Lěi 石が積み重なっているさま
淼 Miǎo 〈書〉水面が広々として果てしがないさま
晶 Jīng 明るい;きらめく.水晶.結晶体
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焱 Yàn 火花;炎
矗 Chù そびえる.まっすぐに立つ
毳 Cuì にこ毛.柔らかい毛
姦 Jiān (繁)ずるい.悪賢い.不忠である.
品 Pǐn 品物.物品
垚 Yao 2(繁) 高い
轟 Hong1 (繁)大音響
蟲 Chong (繁)虫
众 Zhong3 大衆、たくさんの この時は現代中国語でも使われており、よく見かける。
森 Sen1 樹木が繁茂している様、薄暗い、陰気である
日本語で言う「森」を現すときは、「森林」という語を用いる。
これらの漢字の中には日本ではもう既に使われていないものもあり、また意味が全く異なってしまっているものもあるが、比較的直観的である為日本人には類推がつきやすいものとなっている。「こんなんのもあるんだ―」ぐらいで見て戴ければ十分である。
中国語では現在、姦は奸に包括されしまっており、「姦」の簡体字は「奸」である。
その意味は日本語では「姦しい」の方が先に頭にくるが、中国語ではどちらかと言うと「姦淫」の「姦」の使い方がポピュラーなようだ。
そこで「姦」の漢字の成り立ちに立ち戻ってみよう。
「姦」と「奸」の両字は漢字化の過程でまさに合併してひとつの字になった。姦は奸に包括され、奸の字は姦の字の簡体字となった。
甲骨文字の姦の字は三つの女と言う字が組み合わさった一つの複合字である。その意味は、彼らの間だけで、ただ互いに話するということだけだ。女子が一緒に集まって、わいわいがやがやと争うこともなく、時には自分のことを弄ぶのは、古代社会では公開の原則に逆らってしまう。だから「姦」の意味するものは一種の私的な行為・遊びである。
説文では姦は私なりと解釈している。
奸の本義は父権制社会では私的な遊びと言うことだ。後には女子が男と発生した性の関係を指すようになった。すなわち「通奸」である。 また偽善・ずるいことを指し、諸葛亮「出師表」の如く、「姦凶を払い除け、漢室を復興し、旧都に帰る」ここでの姦凶は儀義道徳を指し、密かに男盗女娼のずるい輩の事を指す。
古漢語中「姦」と「奸」の字は相通じるもので、奸淫は姦淫とも書く。但し奸臣と表示したときは「姦臣」とは書かない。ここでは「奸」の中の「干」が権力を弄ぶの意味で、姦は即ち「密かに」という意味を表す。