2020年2月24日月曜日

「鵲」は「カササギ」と呼ぶ。


「鵲」は「カササギ」と呼ぶ。

カササギ雑感
 ヴィキペディアによれば、「現代では「鵲」は鳥類のカササギを指す文字として使用されているが、古代における「鵲」の意味と読みは特定されていない」とあるが、このページは漢字「鵲」が甲骨文字の時代から、現代までの漢字の変遷を津給するページであって、まさにこの漢字がヴィキペディアの記述通りであるか跡付けることになる。
古代の日本には、もともとカササギは生息しなかったと考えられる。聖徳太子の使者が持ち帰ったとか、秀吉の朝鮮出兵のときに持ち帰ったという説があるがいずれも確証はなく、朝鮮と日本の間を行きかう渡り鳥の中に混じって日本に来て、定住したというのが実態に近いのではなかろうかといわれている。


引用:「汉字密码」(P74、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「鹊que」は、鳥と昔から成り立つ。形声文字です。 甲骨文字では、鳥の頭の上に鳥の巣を頂いた姿です。鵲の字源は、木の上の天辺に千本(多く)の枝で巣を作る鳥。
 この説明は多分に跡付けである印象が深い。

 小篆の異体字は(左側の図は鳥の巣から進化した図形)、隷書で変換された後、現代の中国語では「鹊」という漢字になった。

 「昔」には長期的な意味があるので、人々はカササギの到来は遠くからの良いたよりを伝えることであると考えられ、喜びのしるしと考えた。 カササギは鳴き声の他、飛び跳ねたりジャンプしたりすることが多く、人々を陽気な気分にさせる。正直なところ、カササギの鳴き声は非常に耳障りですが、それは喜びの象徴であるため、人々はその高いオクターブ音を喜びごとの表れと見ている。

 このように中国朝鮮では、この鳥は幸せを告げる鳥として親しまれていますが、西洋では烏の仲間として、どちらかというと嫌われているようで、文化の違いといえましょう。



字統の解釈
 象形文字で、縫い靴の形でする。礼装用のもので、飾りのある履の形としている。注釈で「説文にはカササギであるという説明となっているが、その字形は鳥に見えない」とある。

 確かにそういわれると、甲骨文字はとても鳥には見えない。説文の時代には甲骨文字は発見されておらず、せいぜい小篆か、金文を参照にしたものであることから白川氏の解釈がもっともであるかもしれない。しかし、甲骨文字の字形が「履」であると、私にはとても思えない。



漢字源の解釈
 カササギ、野鳥の名。

 形声文字であるとする。チャチャと鳴く声を真似た擬声語とする



結び
 カササギは鳥類のなかでも高い知能の持ち主で、哺乳類以外では初めて、ミラーテストをクリアしたという。鏡に映った像が自分であることを認識したことが確認されている。

 新古今和歌集の中に大伴家持の詩として「鵲の 渡せる橋に おく霜の しろきを見れば 夜ぞ更けにける」という和歌が取り入れられているが、これは天の川に架かる伝説の橋を歌ったもので実在のカササギを歌ったものでないといわれている。




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2019年12月21日土曜日

「君」は笏丈を手にし、詔を発する権力者? 古代文字に見る真意は如何に


君の意味するものは、「恋人」「あなた」か、はてまた「天皇」か、古代文字に見る社会の姿は如何に
 君という字は、[恋人]とか、「君主」を表すとか、「天皇」を表すとか俗説が巷に溢れている。そこから、「国歌」の「君が代」は天皇を崇め奉る歌だとか諸説紛々としている。
 しかし、日本という国家がまだ存在しない時代に作られた漢字の「君」という字はいったい何を表すだろうか?


引用:「汉字密码」(P643、唐汉著,学林出版社)
甲骨、金文、小篆および楷書は、すべて「尹」の下に「口」加えたもの。
  「説文」は「号令を発する尹と、口からなる」と解釈されます。
 「尹」は統治に使う「笏」を手に持っている形であり、口は命令を発する口を意味する。(「字統」によれば、サイを表すとしている)。この両者の会意文字で、「笏」を手にもつ。つまり、「君」は統治の意味を持つ笏を持つだけでなく、命令を出すことができる「口」も持っています。笏を握って号令を出すものを意味します。


人間社会の現実の姿を字に映し出した「君」
 古代の書物「儀礼•喪服」では「君は尊ぶなり」と解釈されています。君の本来の意味は号を発する指令者として、すでに帝王に昇格している。人と人の間の階級、つまり動物集団の生活から生まれた階層は、本来個体間の肉体的と知能の間の先天的な不均衡から来ています。しかし、富と武力によって具現化された抑圧と搾取は、即ち人間社会の不平等の現実です。

 [君]という寺が生まれた当初は、それは、笏丈を持つものとして権力者を表していたが、封建社会には、君は世界のあらゆるものの主人となり、権力構造の頂点に立つものを表す字として解釈されるようになったのではなかろうか。



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