2019年2月20日水曜日

漢字の成り立ちから探ると「病」と「疾」の違いは明確になる


漢字の成り立ちを見れば、「病」と「疾」はどう違うのか明らかだ
 つい先日、オリンピックのメダリストの池江璃花子さんが白血病に罹患していることを公表し、また堀ちえみさんが「舌がん」公表し、世間を驚かせました。お二人の一日も早い回復を祈るばかりですが、人間の歴史でも病気との闘いは、有史以来長く続けられてきています。そのことは漢字の世界でもはっきりと記録に残っています。

 今日私たちは病気のことを疾病と呼びますが、漢字の「疾」と「病」はどう違うのでしょう。漢字の成り立ちを見れば、この疾と病の違いが極めてはっきりと見えてきます。

 「疒」の中の「丙」と「矢」の違いはどこから来たのか。漢字が分かれば世界が分かる。

引用:「汉字密码」(P444、唐汉著,学林出版社)
「病」の字の成り立ち」
 「病」、これは会意文字です。甲骨文字の「病」という言葉は、ベッドの象形のデッサンで、右側は発汗して横になっている人です。漢字の縦と横の幅の特性に合わせるために、甲骨文字の形状は縦になっています。 小篆の「病」という言葉は、右側の「人間」の形を簡略にして一とし、構成組字の「疒」の右上に水平線が入り、もう一つは声符「丙」が追加されています、そしてそれは「疒と丙」で形声文字になります。 

「病」と「疾」のはざ間で
 説文では「病」とは、「病気、疾を加えるなり」と解釈されます。つまり、この意味は、重いのは「病」であり、軽度のは「疾」です。事実、古代において、「病」は人々が寝たきりで起き上がれないことを示し、全身汗を出し、内科の病気であったといいます。一方「疾」は、人体が刀剣などの外傷を受けることを表し、そして外科的な病気であることを意味するとしています。
 例えば、3000年以上前の甲骨辞中では、「女性はよく病にかかる、みんな病気に罹っている」などという表現で「病」の字はよく見られます。 「病気」という言葉は、ある種の「内なる病気」を持つという意味でしばしば使われていたようです。後に、「疾病」という2文字の言葉が通用し、どちらも病気を意味するようになりました。一方、「病気」は深刻な病気を指し、「疾」は小病・軽い病気を意味していたようです。

現代中国語での「病」の使い方
 例えば、 "論語"では: "子疾病 , 子路使门人 为臣。"これは:孔子の病が重くなった後、子路は門人達を臣下とした。
 現代中国語では、「病」は広く「病気」を指します。病気になる、心臓病、心臓病」などの病気を指します。 人体の不快感や不健康さを表現することに加えて、「病」は病気の意味から拡張して、事物の弊害、錯誤などを表します。「悪弊、語弊」などのように。


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2019年1月28日月曜日

「編隊少女」は「変態」少女ではない! 漢字「編」を考え直そう!


漢字「編」の起源と由来
 ウエブで「編隊」というキーワードで検索してみたら、「編隊少女」というサイトにぶっつかった。「基本的に無料」という甘言につられて、ついログインしてしまった。世の中こんな世界もあるのかとある意味衝撃。こんなサイトに入った自分が「変態」ではないかと思われるくらい全く異なる世界である。
 はっきり言って、使われている言葉も全く理解できない。「4コマ」漫画も全然面白くない。なんでこんなのが漫画になるのか不思議でしょうがない。
 こうして毒づいても、「嫌なら見るな」「早く出て行け」と言われそうそうなので、早々に退散した。
 このサイトの収穫としては、自分に全くの異次元の世界が広がっているということを自覚させてくれたことだ。これからも、偶には異次元の世界を訪れるのもいいのかも知れない。自分の孫が成長するときには、こんな世界になっているのかも知れない。

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 ところで、ドローンによる編隊飛行の実験が、中国で行われたと報道されていました。その実際の映像を見ましたが、すごい迫力のあるものでした。ドローン自体は小さなものでしたが、おびただしい数の飛行体の編隊が、飛び回る光景は、以前にアメリカ映画にあった、「インデペンスデイ」(記憶がはっきりしていないが、無数の小型飛行編隊が母船から襲来してくるものだったように思う)そのものでした。
 今どの国でも、このドローンやアンドロイドによる代理戦争が研究されていると聞きます。

 以前映画を見たときには、映画の中だけのこととして感じていましたが、この紙飛行機のようなドローンの映像を見た時、これが現実の戦争だったら、どんなに恐ろしいか恐怖さえ感じました。数体ならばどうって言うことないのかも知れないが、何百という編隊だったらどうでしょう。

 ここで漢字「編」の持つ意味の恐ろしさを一度考えてみましょう。 


引用:「汉字密码」(P184、唐汉著,学林出版社)
「編」の字の成り立ち」
 「編bian」、これは語彙の一種です。甲骨文の「編」という言葉は左側は「」という字乃至編み物や柵の象形である。右側は編むためのロープを表す「糸(mi)」です。したがって、「編」の本来の意味は配列状のフェンスです。これは編みを編んだりネットの縁取りすることも指します。小篆の「編」という言葉は、「家」を追加している。これは、一枚扉の象形です。そのため、阻止する、隔てるの意味にも使用されます。したがって、「編」の本来の意味は交錯して作ることです。


「編」を使った成語・言葉
 蔡倫が漢の時代に紙の発明する以前は、古代中国では筆記用具として竹簡が使用されていました。竹簡を一条一条革の紐で編んで連ねていくと、それは巻の本になります。

「編」を使った成語
"史記"によると、孔子は彼の晩年に本 《易经》を研究し、何度も何度も読み返し竹簡の皮が擦り切れて切れてしまったといいます。 「韦编三绝」のイディオムの起源となり、後世の一般的な本を編で表すように成りました。

「編」がどのように使われているか
 「長編」、「上編」などに表現されます。歴史的な本では、歴史的文書は年代順に書かれた文献を、「編年体」と呼ばれます。軍隊では、「編隊」、出版上では、「編纂」演劇の制作では「編導」など、皆一定の順序・格式を持って制作する意味を持っています。古代の編織は縦織と横織の2種に別れており、経糸または緯糸の空間往復構造を使用して、メッシュまたは縞模様の布地をパターンで織リ物でした。「编钟」は古代中国のユニークな楽器(打楽器)であり、この楽器の特徴は、鐘がサイズ順に連続して長方形の木枠の中に吊り下げられていますす。それは鐘の音の高さ順に音が放出されるので「编钟」と呼ばれます。
 

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