2016年11月25日金曜日

漢字「鶏」の成立ちを「甲骨文字」に探る:卵ではない!やっぱり鶏だった。


漢字「鶏」の起源

引用:「汉字密码」(P65、唐汉著,学林出版社)

 図に示すごとく、甲骨文と金文の「鸡」は頭、冠、くちばし、眼、身、はね、尾、足全部備わった鶏の横から見た形状にそっくりだ。甲骨文字の2款目の「鸡」の字は一本の縄で住宅につながれた鳥と見えないこともない。このことは殷商時期の先民は既に鳥を縄で繋ぐ方法で鶏を慣らし飼いしていたことの証拠である。小篆の鶏の字は既に変わっていて、形声と会意の字になっていた。


 現在中国の農村では家の庭に鶏を放し飼いにしていて、数千年来順化飼育し、鶏は飛べないようにして、同じ種の「雄鶏」も一様に少ししか飛べないようになっている。紐で住宅につながなくても、放し飼いが出来るようになっている。
まさに甲骨文字、金文のデッサンで示しているように、図中の鶏は全て時をならす雄鶏として描かれている。かえって母鶏の形がない。このことは時計のない上古社会では、ただ時を知らせるだけの雄鶏が、毎年一匹で数十匹のますの鶏を産み落とす母鶏の何倍もの実用価値を持っていたかもしれない。個人が鶏を飼育するのは、鶏の時を知らせる功能を重視したかもしれない。

 古代社会では雄鶏は人々に時を報せる神として尊称され、ひいては人類の祭祀すら享受した。原因は鶏が「通天神霊」であることにある。
 はっきりしない真夜中の時刻を知り、太陽が何時昇るかを知ることは、もっとも聡明な人でも行う方法がない。古人が見るに鶏(雄鶏)を飼うのは時間を知るためであり、暗闇の中の鬼や妖怪を駆除するためであり、母鶏を飼う目的は、ただ雄鳥を絶やさないようにするためだけだ。これが古文中で「鳴」が元来雄鶏示すためだけの字である原因である。


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2016年11月24日木曜日

漢字「禽」と「獣」の成立ちを「甲骨文字」に探る:「二足で羽のあるのは禽で、4足で毛のあるのは獣という」


漢字「禽」の起源と本来の意味は

引用:「汉字密码」(P120、唐汉著,学林出版社)

 禽もまた会意文字である。金文の「禽」は上下が結びついた構造をしている。下部は畢(古代の狩に用いられた長柄のついた網)乃至長柄の捕捉網で、上部は記号「A」で、元々は男性の生殖器を表す符号である。この表示では一匹の色彩班と端の雄鳥を捕まえている。
小篆の「禽」の字は上部は「今」に変わっている。今の元の漢字は男子の射精であり、また現実の現在という意味である。
 別の角度からいうと、「今」はここではすでに発声記号であり、また一匹の美しい雄鳥を捕捉したことを表示したといえよう。
  「禽」は動詞を作って、鳥獣を捕まえることを指している。《逸周书・燕策》で、「武王狩りをし、虎22匹を捕まえた(禽)」。この意味は後に哺乳する「檎」を示す。「禽」は名詞を作り、すなわち鳥獣を捕獲することの意味になる。《孟子・滕文公下》の如く「終日一禽も捕まえず」。後にはまた狩りをする対象をいい、《説文》ではこれによって、禽は獣の総称としている。华佗は「五禽戦」を創立したとあるように、「虎、鹿、熊、猿、鳥」の5種類の禽獣の動作を模倣し、鍛錬する身体的方法である。(华佗は後漢の末期に活躍した医者)「禽はまた特に鳥類を指す。「飛ぶ禽、走る獣、家禽」等。《尔释》の注曰く、「二足で羽のあるのは禽で、4足で毛のあるのは獣という」


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