2011年12月24日土曜日

漢字「姦」の語源と成立ち:彼らの間だけで、ただ互いに話するということ

 中国語では現在、姦は奸に包括されしまっており、「姦」の簡体字は「奸」である。  

 その意味は日本語では「姦しい」の方が先に頭にくるが、中国語ではどちらかと言うと「姦淫」の「姦」の使い方がポピュラーなようだ。

 そこで「姦」の漢字の成り立ちに立ち戻ってみよう。

「姦」と「奸」の両字は漢字化の過程でまさに合併してひとつの字になった。姦は奸に包括され、奸の字は姦の字の簡体字となった。

 甲骨文字の姦の字は三つの女と言う字が組み合わさった一つの複合字である。その意味は、彼らの間だけで、ただ互いに話するということだけだ。女子が一緒に集まって、わいわいがやがやと争うこともなく、時には自分のことを弄ぶのは、古代社会では公開の原則に逆らってしまう。だから「姦」の意味するものは一種の私的な行為・遊びである。

 説文では姦は私なりと解釈している。

 奸の本義は父権制社会では私的な遊びと言うことだ。後には女子が男と発生した性の関係を指すようになった。すなわち「通奸」である。 また偽善・ずるいことを指し、諸葛亮「出師表」の如く、「姦凶を払い除け、漢室を復興し、旧都に帰る」ここでの姦凶は儀義道徳を指し、密かに男盗女娼のずるい輩の事を指す。

 古漢語中「姦」と「奸」の字は相通じるもので、奸淫は姦淫とも書く。但し奸臣と表示したときは「姦臣」とは書かない。ここでは「奸」の中の「干」が権力を弄ぶの意味で、姦は即ち「密かに」という意味を表す。



「漢字の起源と由来ホームページ」に戻ります。

2011年12月21日水曜日

漢字「龍」の起源の由来:皇帝の権力を象徴する、力強く気勢のある調和の取れた美観を体現

「龍」は中国文化の真髄をなし、神聖な神の架空の体現である
「龍」と言う字が漢民族の心中に深く根ざした架空の動物神であることは前報で説明をした。それでは、字が生まれた時代的背景について少し掘り下げてみよう。

金文の「龍」
当時の生産方式の変化は漢民族の
意識の変化を生み、その変化は「龍」
という漢字を生んだ?
この文字が生まれた時期は、まさに天に依存した飯を食べる型(つまり穀物の栽培)の農業生産方式が急速に発展する段階である。また華夏民族の諸侯国は残忍な戦争を通じて、統一していく段階に入っていた。ゆえに人間を超越したした力を持つ龍、天候を操ることができる龍神信仰が生まれたのではないだろうか。
 そして、この字は金文から発展するにつれ、次第に皇帝の権力を象徴する存在へと変化を遂げていく。

 龍の字の大篆から小篆の発展は力強く気勢のある調和の取れた美観を体現している。この種の龍の字の右半分の躯体はさらに長く変わり、湾曲する必要にいたるまでになっている。左半分の形態もさらに奇異な形状になって、字形は対象になり、一種の落ち着きとしっかりした感じさえ出ている。庶民性は少なくなり、次第に皇帝の権力、帝王の専用のシンボルに変化していった。

 龍の字は原始民の間に恐れおののく意識の中で、古代民衆の現実生活の中で作り出されたものである。龍が一種の偶像になった時、それは自然界の動物の複合体と異なるものを持っていた。

 牛の耳、トラの手、鷹のつめ、蛇の体、魚の鱗。龍の形の龍の字は同じで、完全に一種の仮想で、しかしながらそれは非凡にして突出して、空に掛かる人間界を超越した気勢、奇異にして言語を超える、奥深く計りしれない威力、漢民族に対して語り告げる、子々孫々までの無限の吸引力をもち、為にこのような龍は中華民族の象徴になりえたのである。


 「龍」の入った成語や故事は下記のサイトに詳説されていますので、ご参照ください
   四文字熟語は故事と成語の尽きない泉
「漢字の起源と由来ホームページ」に戻ります。