2011年11月2日水曜日

秋の実りの漢字「栗」の起源と由来:栗のイガまで表現された象形文字

甲骨文字の形は一株の木の上に育った棘のある果実そのものである

 秋は実りの季節。梨、栗、柿等が木々にたわわに実っている景色を見るのは、見ているだけでも楽しくなる。子供のころは道端の木に実った柿を失敬して、よく怒られたが、そんな思い出は日本人の男ならたいていは持っているのではないかと思われるが、今はそんなことは親が許してくれないのか、行儀がいいのかトンと聞かない。
 

「栗」は象形文字。古代人の
表現力の豊かさには恐れ入る
 さて、今日は栗にまつわる話をしよう。「栗の木」は俗称、板栗の木。甲骨文字の形は一株の木の上に育った棘のある果実そのものである。栗の木の果実は球状を呈し、上面は長いとげが密生している。まさに甲骨文字の形は栗の絵を見ているようだ。

 果実が成熟すると、棘のある外側の殻の中はまさに栗色の光沢のある果実でとなって、、これが我々が平常食べる板栗である。周の時代では、いわゆる栗の木は神木とされ、食用ばかりでなく澱粉を豊かに含む板栗として親しまれている。

 まさに字の中でも、3個の果実が簡略化され、一つになっている。楷書では今は栗と書く。

 中国の北方の城郭都市の大通りや裏道では、鉄鍋をかけた栗売りの声と栗の香ばしい香りが一体となって舞い人々の食欲をそそる。正に秋の風物詩である。

 栗の外殻ととがった棘があることから、常に人に恐れさせ戦慄のように言葉では恐れを表わすように使われている。


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2011年11月1日火曜日

妻にかかわる故事と「妻」という字の持つ重さ

「妻」の歴史的変遷

 妻は古代は単に名詞として用いられただけではなく、男子の配偶者の呼称であったし、また動詞として用いられ、女性が嫁いで妻になることを示した。この用法の中で、「妻」はQi(チー)と読まれた。論語の中で「以其子妻之。」の中の「子」は女性を指し、「妻」は動詞として用いられていて、人に嫁ぐことを指している。

   史記の中に「妻を殺して将を取る」という故事がある。呉起は有名な軍事家であった。出生は周辺の国だが、魯の国の官であった。ある時、斉の国が出兵し魯の国に攻め込んできた。魯の国の君主は呉起に領兵の攻撃の準備をさせた。しかし呉起の妻が斉国の人であったために躊躇っていた。

 呉起はそれを知るとただちに家に帰りすぐに自分の妻を殺し、自分に二心ないことを表明し、全心全意で魯国に忠誠することを示した。魯国の王はここにいたってやっと彼を統帥将領任命した。この故事は戦国時代のものである。まさに女性が男の家に嫁ぐ時は男の家のものになるという時代である。

 エンゲルスは「家族・私有財産と国家の起源」の中で、古人の婚姻制度は決して男女にとっていい形で出現したわけではない。ましてやこの形態の最高の形式であったわけではない。それに反しそれは女性にとっては男の奴隷にもなることを意味した。婚姻は全歴史を通じて両性の衝突の宣告と出現するものとなった。

 この論断は「妻」の歴史的形成をよく言い表している。
   

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