漢字「隻(只)」の起源と由来
現代中国は、隻の簡体字として「只」が使われている。しかし、これは「只」という本来の意味で使われたものではない。古文でも助詞として使われているが、「只」には、もともとの字の意味になるものが見つかっていない。
「字統」の解釈
「「□」と八に従う。□はサイでで祝いの言葉を収める器、八は神気に象るものであろう」としている。
説文では「「語已む時の詞なり」とあり、詩句の終助詞に用いられている。白川博士は、これは仮借であろうとしているが、原義と考えられる使い方がないが「神の楽しむさまを言う語であったろうと結論付けている。
「只」の繁体字「隻」
「只」の繁体字。「隻」の原義は、鳥一羽の意味。「二つで一組になったものの片割れ」をいい、「双」と対を成す言葉。
「隻」の甲骨文字は実によくできた文字で、見ていて面白くもあり、笑いを禁じえない。飛び立とうとする鳥一羽を手で捕まえている様がよくわかる。本当に、これで、「只一つ」という意味を表現したのであろうか。古代人の豊かな表現力に恐れ入る。
漢字文化の中で、単位量詞になりうる鳥類の文字に「只(隻)」と「双」がある。図に示す通り、甲骨文字、金文、小篆共にみな手を用いて一羽の鳥を捕まえている意味である。「只」の本義は説文では「鸟一枚也。」と解釈している。(説文の時代は鳥を「一枚。二枚」と数えていたのか)即ち一只の意味である。
後に拡張されて、単と双の相対する言葉になった。「孤身只影」の中の「只」(ここでは一つということか)の字である。
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