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2024年5月31日金曜日

漢字『集』の成立ち:「隹」(鳥)+「木」からなり、鳥が木に集まることを意味します!!


漢字『集』の成立ち:「隹」(鳥)+「木」からなり、鳥が木に集まることを意味します!!

漢字「集」の古代文字を見ると、古代人も私たちと全く同じように考えていたことが分かります

導入

このページから分かること:
「漢字『集』の意味、使い方、語源、関連熟語について詳しい解説。」
  漢字の意味と成り立ち: 「集」という漢字の基本的な意味、
  象形文字としての成り立ち、古代中国での使用例など。
  使い方と例文: 現代日本語での使用例、典型的な文脈での使い方、例文。
  関連熟語: 「集合」「集積」「参集」など、関連する熟語とその意味を解説。
  文化的・歴史的背景: 漢字の歴史的な背景や文化的な意味について

前書き

目次




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漢字「集」の今

象形文字としての成り立ち、古代中国での使用例など

漢字「集」の楷書で、常用漢字
 左に集の楷書を示す。そして右に「集」の古代文字を掲げる。これは古代人の見たそのままを字にしたものだ。
 これは今、夕暮れ時にスズメや椋鳥がねぐらを求め、街路樹などに多く集まり、時にはやかましい程さえずっているのを我々が見るのとまったく同じではないか。

 3500年前の古代人が見たと全く同じ光景を見ていることをに、感慨を覚えるのは私だけだろうか?
集・楷書 集・小篆


  
集・甲骨文字

集・金文

集・小篆



 

使い方と例文: 現代日本語での使用例、典型的な文脈での使い方、例文。

漢字の読み
  • 音読み  シュウ
  • 訓読み  つど(う)

意味
  • 一か所にあつまる、あつめる、つどう、群がる。
  •  
  • あつまり。つどい。
  • 写真・作品などをあつめた出版物。
  •  
  • なる。なす。成し遂げる。

同じ部首を持つ漢字     集、焦、樵
漢字「集」を持つ熟語    集
 集合:一か所に集まること、統計上のデータの集まり
 集積:ICチップや回路などを一まとめにしたもの
 参集:ある目的のために各地から集まる
 集落:一定の家屋の集まり、部落、村
  集中:注意などを一点に集めること


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漢字「集」の漢字の由来

象形文字としての成り立ち、古代中国での使用例など。

引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
漢字「集」古文
甲骨にしろ金文にしろいくつかの款が存在

漢字「集」の中に埋められていた「漢字の暗号」は何?

古代文字では、「集」と「焦」は、物体に止まっている 1 羽または 3 羽の鳥の形を表す。ただし、「焦」は火で鳥を焼く様子を表し、「集」は鳥が群れで木に止まる様子を表し、集まることを意味する。図のように「集合」の形と意味がつながっており、実際には「鳥が枝に集まる」という意味になる。 「詩・周南・格草」:「黄色い鳥が飛んで藪に集まっている。」 「集」という言葉は本来の意味を使用している。 現代中国語には「収集、集合、集合、集中」などの言葉がある。

漢字「集」の字統の解釈

 会意 正字は、群鳥が木に集まって、その枝に止まる形。〔説文〕「群鳥木上に在るなり」とあり、集の字を用いる。ト文・金文もみなその形である。


漢字「集」の漢字源の解釈

 三つの「隹」+木の会意文字でたくさんの鳥が木の上に集まることを表す。



漢字「集」の歴史的変遷

「集」の変遷

文字学上の解釈

集の原字である「隹」。字の変遷を見る限り、隹がべースになっているようだ。右の漢字「隹」はフルトリと読むが、「隹」は短尾系のものを表すといわれる。  尚漢字源によると「隹」はずんぐりとした鳥のことをいうとしている。  


「鳥」の変遷

右の漢字「鳥」は長尾系の鳥を表すといわれる。

鳥に関する詳しい記述は『漢字・鳥の由来と成立ち:文字に見る鳥と人類の濃密な関係』を参照ください。


こちらは鷹や鷲などの猛禽類

同じ鳥でも猛禽類を表す「禽」とは成立ちも由来も全く異なるのが面白い。「禽」は網でとらえて飼う鳥のことをいうとのこと







まとめ

我々は、「集」という漢字の古代文字を通して、3500年前の光景を目の当たりにすることができた。いわば、3500年前の写真を見ることができた感激はひとしおである。

 逆に、これから3500年後、我々は後世の人々に何を残すことができるのか。鳥は3億年前の恐竜が変化して、現在にある。そして数万年前に現れた「人」は数千年かけて地球を征服?した。それも産業革命以降わずか200年ほどで、地球を破壊しつくすところにまで至っている。これから先、人類が地球を道連れに滅びるとすれば、残された時間はあまりない。何光年あるいは遠く離れた地球外生物は今の我々をどう見るのだろう・・?

  

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2024年5月1日水曜日

漢字 進にちなんで 進学おめでとう!進学・進級は人間の本源的な喜びからくるもの!

漢字 進の成立ちから人間の本質が見えてくる・・進め!進め!前進は人間の性(本質)

 漢字 進の成立ちは「隹+辵」だ。古代人は、客観的に周りを観察して、「隹」(とり)の行動に「進む」という行為を見出したように思う。

 人間には、そもそも目は前だけにしかついていない。二足歩行のため、四足動物のように後ずさりすることができない。また逆に四つ足動物と違って体を回転させて後ろ向きに進むことが容易である。などの理由により、漢字「進」という字には、本源的なものを感じてしまう。
 人間も基本的に前にしか進まない点は鳥と同じである。しかし古代人には、自らの行動は把握しにくかっただろうから、進の行為を「隹」の専属的なものと見たのではないだろう。

導入

ここで言いたいこと

  漢字「進」の成立ちから人間はどのように進んできたかに迫りたい。
 漢字の世界で、進という字は「「辵(しんにょう)」+隹という部首から構成されている。「隹」はしっぽの短い鳥を表示している。なぜ隹(鳥)でなければならなかったのか。
 進という行為を鳥の象徴的なものととらえたのではないだろうか。

 鳥を筆頭としてあらゆる生物は基本的に前にしか進めない生き物である。そしてその字の通り地球上の生物はひたすら前に進んできた。
 その進歩はあまり大きく、今や生物、特に人間はその進歩ばかりか、存在さえも否定しかねない存在になっている。
では、退くのか? それはあり得ない。やはり前進だ。後ろ向きに前進するしかない。それが人間の『性』なのだ。

前書き

目次




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漢字「進」の今

漢字「進」の解体新書

ProgressChar.Panel
漢字「進」の楷書で、常用漢字。
 この世に生きる動物はほとんど全て前に進むようにできているが、後ろに退くようにできていない。少し視点を変えてみると植物でも光のあるほうに”前進”するようになっている。但し根だけは光から遠ざかるようになっている。
 漢字の世界で、進という字は「「辵(しんにょう)」+隹という部首から構成されいる。「辵」は、歩くことや進むことを表している。そして「隹」はしっぽの短い鳥を表示している。なぜ進に隹が使われたのか。それは鳥は前にしか進まないからである。鳥が後ろに進むのを見た人はコメントに残していただきたい。鳥が後ろに進むことは日常では見ることはまずない。古代人も周りの観察から鳥は前に進むものだということからこの字を創作したのではないだろうか。 
進・楷書退・楷書


  
進・甲骨文字
進・金文
進・小篆


 

「進」の漢字データ

漢字の読み
  • 音読み   シン
  • 訓読み   すす(む・める)

意味
  • 進む
  • 前へ出る
  • 出世する
  •  
  • 贈り物

同じ部首を持つ漢字     唯、観、勧、
漢字「進」を持つ熟語    進、前進、後進、進行、邁進


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漢字「進」成立ちと由来

引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)

唐漢氏の解釈

 「进( 進 ) 」、これは会意文字。
甲骨文の「進」という字は、上に「隹」、下に足跡を意味する「止」がある。 両形の会意は二つの形は、スズメなどの小鳥が地上を進むことを表している。 鳥について少し知識がある人なら誰でも、スズメのような小さな鳥は前進することはできず、ましてや後退することもできないことを知っている。 この文字の形と意味から、古代人が地上の鳥の動きをどれほど注意深く観察していたかを知るのは難しくはない。

漢字「進」の字統の解釈

 声符は隹、隹に隼の音がある。隹を声符とするが、隹を声符としてえらぶ背景に、出行の際に おける鳥占いの俗がはたらいていると思われる。


漢字「進」の漢字源の解釈

 「辵(しんにょう)」+隹で鳥が飛ぶように前に進むことを表している。


漢字「進」の変遷の史観

文字学上の解釈

 

今まで見てきたように、漢字「進」は甲骨文字から存在し、「辵」+隹から構成されていた。つまり古代人は鳥の動きを見て前に進むことを理解した。

進と真逆の行動である「退」という漢字には甲骨文字や金文は存在していない。これは何を意味してるのだろうか。古代人(現代人でもそうだが)は後ろに退くという行動はめったに目にかからなかったからではないだろうか。人でも動物でも敵に出くわしたとき最初にとる行動は後ずさりすることであり、ある程度見極めてから体を翻して逃げ出すことが次に出る行動である。

 このような理由から、後ろに退くことを表現するという概念もしばらく生まれなかったのではないだろうか。
 そして随分後になって初めて人間が軍隊や他と一緒に行動するようになって初めて、「退却」、「退く」という概念が生まれたと考える。この「退く」という行動にしろ、決して後ずさりすることではなく、後ろ向けに前進するという行動である。
 字統では神にささげた祭器を下げる意味・成立ちという。

 尚、漢字「退」のページを参照いただきたい。


まとめ

 「進」は成立ちから考えても、日常生活に密着した出来事から出てきたものであろうのに対し、「退」は後世になって、抽象的であまり生活に密着したものではない事柄から生れている。

 しかし、人間はそもそも進むしかできない動物ではないのかとも感じる。なぜなら、目は前だけにしかついていない。二足歩行のため、四足動物のように後ずさりすることができない。また逆に四つ足動物と違って体を回転させて後ろ向きに進むことが容易である。漢字「進」という字には、本源的なものを感じてしまう。

  


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2024年1月26日金曜日

漢字・鳥の由来と成立ち:太古の人々は甲骨文字の時代から身近にいた鳥には個別に名前を付けて親しんでいた


漢字・鳥の由来と成立ち:文字に見る鳥と人類の濃密な関係


このページは「漢字「鳥」の成立ちを「甲骨文字」に探る:甲骨文字の「鳥」はどこから見てもやっぱり鳥だった!」を全面的に加筆修正したものである

導入

押しかけ推薦・一度は読みたい名著  阿辻哲次著『漢字學

漢字學の原点である許慎の「説文解字」の世界に立ち返り、今日の漢字學を再構築した名著

前書き

目次    




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漢字「鳥」の今

漢字「鳥」の解体新書


漢字「鳥」の楷書で、常用漢字。
右の漢字「隹」は同じくトリと読むが、鳥が長尾系の鳥を表すのに対し、「隹」は短尾系のものを表すといわれる。
 尚漢字源によると「隹」はずんぐりとした鳥のことをいうとしている。
 また「禽」は網でとらえて飼う鳥のことをいう。
 「鳥」の仲間には「 鳩 はと 」や「 鶴 つる 」、「隹」の仲間には「 雀 すずめ 」や「雉 きじ」がある。

鳥・楷書隹・楷書


 
鳩・楷書
雉・楷書
鷄・楷書
酉・楷書
  


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「鳥」の漢字データ

漢字の読み
  • 音読み   チョウ
  • 訓読み   とり

意味
  • 左右の翼と2足を持つ動物の総称
  •  
  • 約3億年前に生息していた小型の爬虫類から恐竜がうまれ、さらに鳥類が枝分かれしたと考えられている

同じ部首を持つ漢字     鳥、蔦、梟、鳩、鳶
漢字「鳥」を持つ熟語    鳥肌、鳥獣、野鳥、禽鳥、駝鳥


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漢字「鳥」成立ちと由来

引用:「汉字密码」(P63、唐汉著,学林出版社)

民俗学的な解釈

  基本を失ってしまった象形の特徴は、鳥の足跡が4個の小さな点に変ったことだ。簡体字になってその四個の点は横一線に変ってしまった。これでもう鳥の足跡とははるかに離れてしまった。
  鳥の本義は大よそ全ての飛ぶ鳥を指す。また今日言うところの鳥類である。唐詩の中にある「云开孤鸟飞」「鸟鸣山更幽」などの詩句の「鳥」は大よそ全て飛ぶ鳥を指している。「鳥瞰」の言葉は、鳥が高いところから地面の景色や物を見たときの俯瞰したと同じ像を表示している。
 鳥の字は部首字で漢字の中では、「鳥」で以て偏でも旁でもなる。全て禽類とその行為は関係がある。例えば「鳴」は鳥と口の字の合成で、鳥が鳴き叫ぶことを表している。また「島」の字は鳥と山の造字の構造部材が組み合わせ、海上で鳥が休息する山を表示している。

漢字「鳥」の字統の解釈

 象形 鳥の全形。〔説文〕四上に「長尾の禽の總名 なり。象形。鳥の足はヒに似たり。ヒに従ふ」という。短尾の隹に対していう。ト文・金文に、鳥を象形的にしるすものは多く神聖鳥で、風神とされる鳳 の初形は羽毛の眼文をもしるしており、また鳥星の鳥も具象的な形に描かれている。隹形のものと、尾の長短にはかかわりなく、その示しかたの上に異なる意識があるものとみられる。


漢字「鳥」の漢字源の解釈

象形。尾のぶらさがったとりを描いたもの。北京語の niǎoは、ぶらりとたれた男性性器(屌=吊。diau)と同音であるのをさけた忌みことば。 



漢字「鳥」の変遷の史観

文字学上の解釈

 「鳥」はいろいろの種類の漢字が早く甲骨文字の時代から創り出され使われてきた。
 鳥と人類の関係はずいぶん早くから築かれてきて、それに対応した漢字が作り出されている。しかもそれらの漢字は基本的には象形文字で、各々の鳥の特徴を見事に把握して表現している。鳥に限らず家畜などの描写は芸術的ともいえる完成度を持っている。
 しかしながら、記号から文字化の過程では、象形という特性は次第に失われ、抽象化と文字化の過程を経ながら、万人がたやすく理解できるように変化している。アジアのこの地で生命を育んだ我々の祖先の思考であるし文化である。
 この漢字の文化が、なぜここに生まれたのかまだ明らかにされなければならない研究分野である。



まとめ

 太古の祖先は数多くの種類の漢字を作り出してきた。鳥についても、雉、鳩、鶏などは一字の漢字である。しかし、白鳥、椋鳥などは複数の文字から成り立っている。
 なぜだろうか。一字からなる鳥は人間との付き合いが古く、鳥の識別、区別を一字で可能であったぐらいの狭い範囲の中にいた鳥であったのではないだろうか。
 これは、妄想なのかもしれない。しかしこうした妄想は決して悪いものではないと信じている。
  


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2021年2月20日土曜日

漢字の成り立ちと由来:漢字「離」は何から離れることを示しているの?


漢字の成り立ちと由来:漢字「離」は何から離れることを示しているの? 鳥の巣立ちのこと?
 3月は人々が離れ行く季節です。卒業で学校を離れ、人事異動で職場を離れます。

 甲骨文字や金文などの古代文字が何とも面白い。漢字の元となるこういった文字は、直感的に、見たまま、感じたまま捉え表現している。人間の認識というものは、本来こういうものではなかったろうか。なぜ漢字以外文字が発展しなかったのか考えて見る価値はありそうだ。



引用:「汉字密码」(P121、唐漢著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「離」は会意文字です。甲骨文の離の字はまさに長い柄のついた捕獲用の網にまさに一匹の鳥を入れた状態を示している。金文の離の文字は捕獲用の長い網の下に一つの手を加え、上部には、「森」のシンボルが使用して鳥が隠れている草むらを示しています。
 小篆は甲骨と金文に基づき組み合わせを整合して、鳥が草の中の巣から離れることを明確に示しています。楷書はこの関係から「離」と書きます。簡体化の時に半分を取り除き「离」と書きます。

 離の字は一匹の鳥が網にかかり、永遠に自分の巣に別れを告げる様を示しており、この為「離」の本義は災難が降りかかり、災難にあうという意味を示している。


字統の解釈
 「離」とは、鳥もちにかかった隹(鳥)の意味で、之を離去することを「離」という



漢字源の解釈
 会意文字。 「隹」と「离(大蛇)」で、もと蛇と鳥が組みつ離れつ争うことを示す。
 甲骨文字を見る限り、この解釈は少し違うように思えるのだが…。

 

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2016年12月2日金曜日

漢字「雉」の成立ちを「甲骨文字」に探る:矢と隹とから「雉」の字が出来た


漢字「雉」の起源と由来
引用:「汉字密码」(P66、唐汉著,学林出版社)

 昔松山に住んでいた、母が関東大震災の時に、裏山で雉がけたたましく鳴くのを聞き、何か起こったのではないかと不安に思ったが、後で震災の話を聞き「やっぱり」と思ったのだそうだ。動物には人間の感じない何かを持っている。そんなことを思い出しながら、この記事で雉のことを書いている。キジで辞書で出て来る漢字は「雉、記事、生地、木地」だ。これ頭の体操。
 「雉」人々は又これを「野鶏」と称する。古文の中の「ウサギは犬の穴に入り、雉は梁の上を飛ぶ」。ここでの雉は野鶏のことを指している。雉は矢と隹の会意文字である。矢は即ち俗に言う箭のことで、箭は射出後直線飛行をする。但しどのように飛ぼうとも、地に落ちてしまう。さらに一般的にはそれほど遠くへ飛べないものだ。雉も矢と同様で、脅かされると直線飛行をするが、数十メートル飛ぶと落下してしまう。雉は矢の類のように短い尾の鳥であるために、野鶏はいつも弓矢で捕獲されてしまう。このため古くから今日に至るまで、漢字の中では矢と隹の組み合わせで出来ている。
しかし金文と小篆の間の字形の差は大きい。古代雉は城郭の体積の計算の単位に用いられた。長さ3尺で高さ1丈を「一雉」とし、おおよそ雉が一家に飛ぶのが、三尺の距離で一丈の高さであることによる。《左傳・隠公元年》のごとく、「都城过百雉 , 国之害也。」これは、春秋時代、諸侯の住む城は全て300雉を超えることは出来なかったし、諸侯が封じる人の住む城は100雉を超えることは出来なかった。もし超えるならば、国家の災いとなった。

 因みに、鶏も分類では「雉科」に入るそうだ。


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2016年11月28日月曜日

漢字「旧」の成立ちを「甲骨文字」に探る:ある種の大型の鳥が他の鳥の巣に侵入し荒らされ打ち捨てられた巣のこと

漢字「雀」の成立ちを「甲骨文字」に探る:小さく尾っぽが短い鳥を示す「隹」の頭に多いことと小さいことを示す修飾図が付いたもの


漢字「雀」の起源と由来
引用:「汉字密码」(P64、唐汉著,学林出版社)


 「雀」の字は会意文字である。古文中の雀の字は、均しく隹の頭の上に三つの小さい点がついていて、数が多いこと(古人は3は多いことを言う)と小さいこと(又古文の小さく見える)を表している。通常集まってきた雀や山雀を示すのに好んで用いられる。この種の鳥の体形は多くは太っていて小さい。群れを成して飛んできて飛び去るのが好ましい。人々はこの種の鳥を小雀と呼ぶ。《诗.召南 .行露》の中のように、「誰が言うのか雀には角がないと。何を以ってわが家をうがつ」
 以後小型の鳥を大雑把に雀と称する。楚国の詩人宋玉の《高唐赋》では「多くの雀ががやがや騒がしく、雄雌がしゃべっているワイ」
 漢字が長く使用され、変化していく中で、少し法則性のない混乱も発生する。例えば鶏は古文中では「旁を隹」と書いていた。
又常には「鶏」とかく。右辺の部分が鶏や隹になるがどちらでもいい。大概は現実には長い尾の雄鳥であったり、また太った尾の短い母鳥であったりする。古人は実在では鳥が長い尾の鳥か、短い尾の鳥かは区別しがたいので「鳥」と「隹」の中はみな一つの区分しかない。
 因みに日本では焼き鳥は現在では、鶏を焼いた料理を言う。筆者が思うに昔は焼き鳥といえば雀ではなかったろうか。今は雀は余り見かけないが、私の子供のころはそれこそ喧しいぐらい周りにはいたものだ。値段も鶏に比べ格段に安かったろう。4つ足を嫌っていた日本人も鳥は二本足だから重要な蛋白源ではなかったろうか。
 もう一つ本文中では雀は小さくて太っている。と書いているが、実際雀は毛をむしると太っているどころか、骨と皮ばかりで肉は殆どない。それがコリコリして美味しいわけだが、どうして太っているという風に考えたのだろうか。毛があると確かに少し丸々とはしているように見えるのだが・・。ああいうのを「毛太り」というのかな?


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2016年11月26日土曜日

漢字「隹」(フルトリと読む)の起源・由来を「甲骨文字」に探る


漢字「隹」の起源と由来

引用:「汉字密码」(P63、唐汉著,学林出版社)

 来年の干支は「酉」。鳥の語源を調べてみた。鳥を現すものには色々ある。「酉、鶏、鳥、禽、隹」など等

 「鳥」の字を除き、字の中で鳥の種類を現す象形文字は隹(「佳」ではない)。隹も又頭、羽、身、足の鳥の形の全体を具えている。この字はフルトリと読む。

 早期の甲骨文字中鳥と隹は元々同一の字である。
 即ち、鳥は隹で、隹は鳥である。鳥と隹は同じでないところから始まった。鳥は尾っぽの長い鳥を称し、"隹"は尾の短い小鳥を称している。

 「説文解字」の許慎の記述を細かく調べると、鳥は尾の長い鳥の総称であり、隹は尾の短い鳥の総称である。



 隹は現今の漢字の中では既に独立してない字になっており、編や旁になっている。およそ全ての「隹」を含む字は鳥類を現している。すべてずんぐりした隹の形態を有し、集合的な集まりの意味を持っている。これだから隹は小さい小鳥の群れを意味している。例えば高く盛られた土は「堆」と書き、いわゆる堆積である。即ち次第に集まって一箇所に集まり一団となったものである。農家の春の米の臼、即ち「碓」(石編に堆)を用いて細かい穀物を集めることを現す。
そのほか准、維などの字のごとく、全て細かいもの(水、糸)を集める意味をもっている。 鳥類の内、雁、雛、雀などは寄り集まるのを好み、群れなして暮らす鳥である。これによって、それらの名前もまた隹が造字の用件となっている。



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