しかし農業が発達し、生産力が向上し、氏族制社会になると人口も増え、種族も由来を明示的に示す必要がなくなってきた。より多くの生産力を求め、部族間の抗争を繰り返すようになり、貧富の差や階級の差が生じてきた。こうして社会が次第に父系制に移行するようになると女性の苦難の時代が始まる。
戦利品としての捕虜を確保するということには生産力を確保するという以外、もう一つ重要な意味があったろうと思う。それは氏族社会の中で血が濃くなることを防ぐということではなかったろうか。とりわけ女の捕虜は男の性的な満足だけではなく、外部の血を導入するという重要な役割を担っていたはずである。
漢字の中に女偏の漢字に当時の女の社会的地位を示すものが多いのも、こうした社会的背景があったろうと思う。
さて今日はその最たる漢字「奴」について触れてみよう。
奴の原義は奴隷。部族間の戦争で 女性は戦利品として扱われた |
「奴」の字の本義は奴僕、奴婢である。古代奴隷制の時代は従順でない男性捕虜や犯罪者は常々脳みそを削られたり、女性は柔弱に飼いならされたり、生殖器の価値もって、奴隷に落ちぶれたものが多くいた。だから「奴」は女偏で作られている。しかし、階級分化が進むにつれ、一部の人は奴隷労役ともう一部の人に分かれる現象が普遍的となった。「奴」はまた労働をする奴隷を指すことが当たり前になった。
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