漢字「字」の由来:子供が生まれた時に家の廟に出生の報告をし、名を子供に与える風習から生まれた字:人々が子供を如何に慈しんで来たかが分かる
導入
前書き
目次
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漢字「字」の今
「字」の楷書で、常用漢字です。
私たちが日常的に使っている最もポピュラーな漢字「字」です。今まで気にもかけずに使ってきたこの漢字の生まれ・由来について、考えた方は数少ないのではないでしょうか。そうです、あまりに身近すぎる字ですから。
見て直感的に分かる「ウ-カンムリ」と子供を表す記号から成り立っています。
漢字「字」の解体新書
字・金文 屋根+子供で子供が生まれたことを表現している。 | 字・小篆 基本的に金文を受け継いでいるが、書きやすいように簡略化されている 「字」は子供の養育をも表しており、成人したときに付ける字名(あざな)のことを表すようになった | 字・楷書 小篆からさらに隷書化の過程で簡単化され、且つ字として整理された | |
字・甲骨文字 |
字・金文 |
字・小篆 |
「字」の漢字データ
- 音読み ジ
- 訓読み あざ
意味 子供の出生から、養育をも表す
成り立ち 宀と子に従う。宀は家を表し、子は子供を表す。両形の会意で、家で子供を育てるという意。
使い方
- 「言葉を表す記号(文字)」・・漢字、文字
- 「アザ」 ・・源九郎義経
- 「音を表す 表音」 ・・特朗普
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漢字「字」成立ちと由来
引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)唐漢氏の解釈
漢字「字」は会意文字です。金文の「字」は上部は屋舎のデッサンで、その中は嬰児の素描です。両形の会意文字で、家の中に子供を追加して俗にいう「男の子が生まれ、口が増える」。小篆と楷書は、金文を継承し、脈絡は十分明らかです。「字」は説文では「乳」なりとしている。「すなわち子供を産み育てることをいう。」
現代では「字」は3つの意味を持っているといわれており、その一つは文字で漢字、常用字などです。その二は字音です(音を表現する「字」)。第三には「字」(あざ)です。人名の中の字義に基づいて別名をとります、「諸葛亮」字「孔明」のようなものです。
漢字「字」の字統の解釈
会意兼。宀と子に従う。宀は家廟。に子の出生を報告する儀礼で、これによって養育・字養のことが定まり、またその時「字」(あざな)を付ける。これを字乳という。
漢字「字」の漢字源の解釈
会意兼形声:屋根+子で、屋根の下で大切に子供を育てることを表す
漢字「字」の変遷の史観
文字学上の解釈
漢字の「字」の3つ目の意味に字(あざ)あります。
ただしこのあざなは子供が生まれた時に家の廟に出生の報告をし、同時に字名を子供に与えるという習慣が本来あったもののようです。
従って漢字「字」は氏姓制度の確立と共に生み出されたといえましょう。しかし、時代が下り、特に成人した後、親がつけた名前だけでなく、自分自身で名乗るようにもなった。
このようなしきたりが横行した背景は、中国では名前が一字の場合は多く混乱を招くことがあったことと、世の中は複雑になり、氏姓制度のみでは成り立たなくなったこともあるようです。
まとめ
漢字「字」には、古代人が子供の出生を喜び、子供を大切に育ててきたかが込められている。「漢字考古学の道」のホームページに戻ります。
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