現代は「育」という字は、育てるという意味がまず頭にくるが、古代の字からの実推察するとまずは生むことが先決であったようだ。確かに古代は人間の寿命というのは恐ろしく短った。したがって、まずは生むことは何よりも優先されたのであろう。、
漢字の面白さを再認識させられるような「目から鱗」の漢字にぶつかった。
古代の「育」と「毓」の由来と起源:
分娩の様子がそのまま字になった。古代人の発想はなんともすごい!
難しく考えないで、字を単純にひっくり返してみると歴然としている。これぞ「180度の発想の転換」だ
描写のリアルな点はなんともすごい 現在では氏名、地名にしか使われない |
さて、その漢字は今ではほとんど使われないが、古代中国では「育」の異体字として使われていた「毓」という字である。これは中国よみではYu(4)と読むが日本語の音読みでは「イク」である。この甲骨文字たるや自分にとってはある種の衝撃を受けたといってもいいような文字である。
というのは感覚的に言えば、あまりに露骨、そのまんま。本当に古代人はこのような受け止め方をしていたのだろうか?
漢字・「毓」の字:
「毓」は「育」の字の異体字となっている。甲骨文字、金文の「毓」(訓:いく、音:ユウ)の字は皆一人の婦人が今まさに出産している状況を描写している。 女の人の下には下を向いた子供の形があり、今まさに嬰児が母体から分娩して来ている様子である。逆さの子供の下の方の小さな点は、分娩時の羊水の流出を表している。
小篆は金文を受け継ぎ字形構造はほぼ同じであるが、図形の持ち味は消失して、「毎」と「寛」の会意字になっている。ここで何で「寛」なのかは理解できない。毎は母の髪飾りを指していたことから拡張され年配の女性、盛んなることを表す。
「毓」の本義は生育である。また出産をも表している。又毓と育は両形とも異型同義語である。此方の字「育」は、子供視点に立っているとも云えないだろうか。
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