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2021年5月4日火曜日

漢字「取」の成り立ちは「耳」と「又(手)」である。「取」に人間の恐ろしい一面が垣間見える


漢字「取」の成り立ちの意味するもの:漢字「取」は「耳」と「又(手)」からなる。漢字「取」に人間の残虐な一面が垣間見える
漢字「取」の楷書で、常用漢字です。漢字「取」は、二つの部分で構成されています。「耳」+「又」(手を意味する)の二つの部分からなる。
昔狩猟時に射止めた獲物は、耳を切り取って、自分の獲物であることを明示したことに始まり、その後、戦争の時、やはりこれにより自分の手柄を主張したといわれています。
取・楷書




  
取・甲骨文字
「取」・金文
取・小篆


    


「取」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   シュ
  • 訓読み   と(る)

意味
  • とる・・・自分のものにする、手に入れる、手にとる
  • めとる(嫁を迎える)・・・嫁をとる
  • とる・・・盗む、奪う

同義語
  • 執・・・政権を執る、権力をとる
  • 採・・・昆虫をとる、キノコを採る
  • 撮・・・写真を撮る
  • 捕・・・泥棒を捕る
  • 盗・・・金をとる、盗みとる
  • 獲・・・クジラをとる

熟語   取材、取得、受取、奪取、買取、採取、取扱、取柄、取組、取消、聴取、取締、取調、取次、取引、取分




引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「取」は会意文字である。甲骨文、金文共に耳と又(取る)からなっている。まるで手で耳たぶを握りしめているようだ。構造的には十分簡潔です。

《説文》では「取る」は耳と手から捕取すること也としており、元々野獣を狩猟したとき、住居地に持ち帰ったとき、便宜的に野獣の耳をとっておき、又氏族の居住地に帰ったとき自分が確実に捕獲したものだと主張すること、また別の一面では、他人が死んだ獣を見たとき耳がないのをみて、この獣の持ち主がいることが分かれば、再度動かすことができない。
 この種の習俗は戦場で敵の耳をとって功を主張することに使われた。耳の数が多ければ多いほど、倒した敵が多いことの証明になる。《周礼·夏官》では、得た獣の左耳で以て功を計ることも行われました。


 

まとめ
 漢字は平和的なものだけではない。人間の歴史は素晴らしい進歩の歴史がある反面、残虐でおぞましい反面も持っている。漢字はその全てを包み込んで今にある。



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

2019年1月17日木曜日

漢字「執」:人の名前に最適の漢字では?


漢字「執」の起源と由来
 この漢字は珍しく、漢字源、字統、唐漢氏の解釈が一致した。また説文では、「罪人を捉えるなり」としている。

引用:「汉字密码」(P628、唐汉著,学林出版社)
「執」の字の成り立ち」
 甲骨字の「執」という言葉は、人の両手が手枷でロックされているような形状です。 金文の「執」という言葉は、手を伸ばした「人間」と「幸運な」という言葉に分解され、象形の意味を失われています。 小篆は真っ直ぐ伸ばした両手の人間の形が " "という字に変わっています。そして楷書は"執"と書きます。 

 また、唐漢氏は同義語として「持」を上げて、両方共に「掌握」を意味することができるとしているが、その違いは 「執」の本来の意味は逮捕することであり、その意味が強く堅固である時、いわゆる「坚持、固执、执掌」のように「執」が使用されています。一方、「持」は保持に焦点が当てられ、持ったあとも変わらず変更されないようなときに、「持久、持续、相持」等「持」が用いられていると説明しています。


漢字源
 会意文字。手枷と(人が跪いた形)」、座った人の両手に手枷をはめ、しっかりと捕まえたさま。

字統
 会意文字。「幸」と「ゲキ」とに従う。「幸」は手枷。手に手枷を加える形で、罪人を拘執するをいう。


あとがき
 「幸」は元々手枷のこと。なぜ手枷が「幸せ」なのかは、関連記事を読んでください。
これこそ、ものは考え様の手本みたいなもの。物事を前向きに考える大切さを教えてくれる漢字です。
 そして、「執」とは、この「幸い」に捉われる人を表しています。物事の考え方は時代と共に変わっていきます。死刑執行の「執」などとんでもない。今をときめく音楽家の蓮沼執太さんなどはそのことを身をもって私たちに示してくれているのかも知れません。



 関連記事:この記事は以下のページを参照にしています。
 「漢字「幸」の由来:古代中国では「手枷」のこと。手枷が何故「幸せ」になるのか」  


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