人間はいつから怒り始めたのか?そしていつまで起こり続けるのか?
喜怒哀楽は人間の基本的な感情だという。では人間は太古の昔から「現代人」のように怒ったり泣いたり笑ったり喚いたりしていたのだろうか。
ここでは「怒」の感情に特化して太古の昔にタイムスリップしてみよう。
導入
- 人間の基本的な感情に喜怒哀楽がある。
- この中で「怒」だけが他の3つと異なる理由が明らかになる。
- 漢字「怒」の生成した時期とその歴史的背景が明らかになる。
- 漢字「怒」の成り立ち。人間の社会は急激に変化しつつある。
- その中で「怒」の感情も変化を余儀なくさせる。怒りの感情を失う社会は来るのか。すなわち人間が人間でなくなる社会
目次
漢字「怒」の仲間たち
- 「怒」:怒りの感情
構成:「奴」+「心」
「奴」は「女」+「又(手)」で、古代では「捕らえられた女性=奴隷」を意味することがありました。
これに「心」が加わることで、「抑圧された心の叫び」とも解釈されます。
俗説か?:「怒は奴隷の心」という解釈は一部の東洋古典研究者によるもので、字統などの辞典にも記載があります。ただし、これは比喩的・象徴的な解釈であり、学術的には俗説とされることもあります。 - 「怨」:うらみの感情
構成:「心」+「宛(あてる)」で、心が何かに向けられている状態。
意味:怨恨・怨念など、強い恨みの感情を表す。
発生時期:戦国〜秦漢期には既に使用されており、感情語としての「怨」は古代中国の文学や法典にも登場します。 - 「恕」:思いやり・許す心
構成:「如」+「心」
「如」は「女性が神意を伺う祈祷の姿」とされ、「恕」はその心の状態を表す。
意味:他者の心を推し量り、自分の心に置き換えて理解し、許すこと。
発生時期:儒教の四書五経(特に『大学』)に登場し、孔子の思想に深く関わる概念です。 - 「怨」「怒」「恕」はいずれも「心」を含む漢字であり、感情の深さを表しています。
- これらの漢字は、古代中国の社会構造や思想の変化とともに生まれ、発展しました。
- 「怒=奴隷の心」という説は、字形の構成から導かれた象徴的な解釈であり、俗説と学説の間に位置するものです。
怒=奴隷の心説はどう捉えるべきか?
この説は、字形の構成から「怒=奴+心」と解釈し、「抑圧された者の心情」とするものです。以下のように考えられます:
観点 | 内容 |
---|---|
字形分析 | 「奴」は捕らえられた女性を意味し、「怒」はその心の叫びと解釈される |
学術的評価 | 一部の辞典や研究者が紹介するが、広く受け入れられているわけではない |
哲学的意義 | 抑圧と怒りの関係を象徴的に示す説として、思想的には興味深い |
この節のまとめと考察
漢字「怒」の構成と意味
成り立ち• 「怒」は「奴」+「心」で構成されます。
• 「奴」は「女」+「又(手)」から成り、古代では捕らえられた女性=奴隷を象徴する文字でした。
• 「心」は感情や精神を表す部首。
• よって「怒」は、抑圧された者の心の叫び、あるいは支配される立場から湧き上がる感情を象徴するとも解釈できます。
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