漢字「盃」の成り立ちの意味するもの。日本では「盃を交わす」という言葉があるが、実は相和すということであった
漢字「盃」は古代は「盉」と書いた。「禾」+「皿」の会意文字である。五穀を表す「禾」を「皿に入れる」というのが、素直な文字の解釈である。
五穀で作った羹ものであろうという解釈が大方のものであるが、羹は同時に酒であったかもしれないという想像力は働く。盃は早くからあったのではないだろうか。
聖徳太子の言ったといわれる「和を以て貴しとなす」という言葉の真意は、「盃を交わして親しくなろう」と同じことだったのかも知れない。
今日は自民党の総裁選の出陣式が行われていたようだ。従来なら盃を掲げて、気勢を上げるという風景もこのコロナ禍で様変わりをしたようだ。
しかし、おそらく2000年以上続いたこの文化的風習も形式こそ変わりつつあるものの、その精神的構造は変わっていない。そろそろ、変わる境目にいるのかも知れない。
左は漢字「盃」の楷書で、常用漢字です。 右側は古代青銅製の酒燗器で、中国語では(he)と発音します。 日本語ではさかずきとして「杯」がもっぱら使われる。 | |||
盃・楷書 | 盉 古代青銅製の酒燗器 |
古代文字「禾」 | 古代文字「皿」 | 古代文字「盉」・「盃」とも書く |
「盃」の漢字データ
漢字の読み
意味
熟語 金盃・銀盃、乾盃、玉盃、献盃
- 音読み ハイ パイ
- 訓読み さかずき
意味
- さかずき。酒を飲むためのうつわ。
- 容器に入れた液体などを数える語
- たこ・いか・あわびの数詞
熟語 金盃・銀盃、乾盃、玉盃、献盃
引用:「汉字密码」(P668、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
盉これは会意形声文字である。金文の「盉」の字は禾と皿から出来ている。皿はここでは代表的な食器である。禾は代表的な農作物の穀実である。両形の会意で、五穀は肉の羹の味を中和するか或いは程度を表す。小篆の字は金文を受け継ぎ、楷書はこの関係で盉と書く。
「盉」と「和」は同じ音を持って意味も近い。(金文の形態は十分似かよっている、両者は本義は同じ語源でありうる)この為に人々は「和」を仮借して「盉」の調味の意味を表示した。
「和」の字は均しく調味を示している。調味はまた混ぜ合わせる意味が出てくる。液体中に粉や個体を混ぜ合わせることを表示している。混ぜて面状にする、あるいはどろどろにする。糖を加えて和える。
盉これは会意形声文字である。金文の「盉」の字は禾と皿から出来ている。皿はここでは代表的な食器である。禾は代表的な農作物の穀実である。両形の会意で、五穀は肉の羹の味を中和するか或いは程度を表す。小篆の字は金文を受け継ぎ、楷書はこの関係で盉と書く。
「盉」と「和」は同じ音を持って意味も近い。(金文の形態は十分似かよっている、両者は本義は同じ語源でありうる)この為に人々は「和」を仮借して「盉」の調味の意味を表示した。
「和」の字は均しく調味を示している。調味はまた混ぜ合わせる意味が出てくる。液体中に粉や個体を混ぜ合わせることを表示している。混ぜて面状にする、あるいはどろどろにする。糖を加えて和える。
「盃」と「和」は、中国語での読みは近い。調味という意味から 和えるという意味も出てきて、使い方も同じようなものである。 |
漢字「盃」の漢字源の解釈
会意兼形声。「不」は花の下の丸く膨らんだガク。または蕾を描いた象形字。杯は「木」+「不」でふっくらと膨らんだ形の噐。
会意兼形声。「不」は花の下の丸く膨らんだガク。または蕾を描いた象形字。杯は「木」+「不」でふっくらと膨らんだ形の噐。
漢字「和」の漢字源の解釈
会意兼形声。「禾」は粟の穂の丸くしなやかに垂れた様を描いた象形文字。窩とも縁が近く、角が立たない意を含む。
会意兼形声。「禾」は粟の穂の丸くしなやかに垂れた様を描いた象形文字。窩とも縁が近く、角が立たない意を含む。
まとめ
古代の人々が実に闊達に想いを巡らせ、認識を発達させたかの後付けができて実に楽しい。
古代の人々が実に闊達に想いを巡らせ、認識を発達させたかの後付けができて実に楽しい。
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