2021年9月17日金曜日

漢字の成り立ちと由来:漢字「盃、和」の成り立ちはほぼ同じ。「盃と和」が同じ意味であったとは新たな発見であった


漢字「盃」の成り立ちの意味するもの。日本では「盃を交わす」という言葉があるが、実は相和すということであった
 漢字「盃」は古代は「盉」と書いた。「禾」+「皿」の会意文字である。五穀を表す「禾」を「皿に入れる」というのが、素直な文字の解釈である。

 五穀で作った羹ものであろうという解釈が大方のものであるが、羹は同時に酒であったかもしれないという想像力は働く。盃は早くからあったのではないだろうか。

 聖徳太子の言ったといわれる「和を以て貴しとなす」という言葉の真意は、「盃を交わして親しくなろう」と同じことだったのかも知れない。

 今日は自民党の総裁選の出陣式が行われていたようだ。従来なら盃を掲げて、気勢を上げるという風景もこのコロナ禍で様変わりをしたようだ。
 しかし、おそらく2000年以上続いたこの文化的風習も形式こそ変わりつつあるものの、その精神的構造は変わっていない。そろそろ、変わる境目にいるのかも知れない。


左は漢字「盃」の楷書で、常用漢字です。
 右側は古代青銅製の酒燗器で、中国語では(he)と発音します。
日本語ではさかずきとして「杯」がもっぱら使われる。
盃・楷書
古代青銅製の酒燗器




  
古代文字「禾」古代文字「皿」
古代文字「盉」・「盃」とも書く


    


「盃」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   ハイ パイ
  • 訓読み   さかずき

意味
  • さかずき。酒を飲むためのうつわ。
  • 容器に入れた液体などを数える語
  • たこ・いか・あわびの数詞

熟語   金盃・銀盃、乾盃、玉盃、献盃




引用:「汉字密码」(P668、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 盉これは会意形声文字である。金文の「盉」の字は禾と皿から出来ている。皿はここでは代表的な食器である。禾は代表的な農作物の穀実である。両形の会意で、五穀は肉の羹の味を中和するか或いは程度を表す。小篆の字は金文を受け継ぎ、楷書はこの関係で盉と書く。 

 「盉」と「和」は同じ音を持って意味も近い。(金文の形態は十分似かよっている、両者は本義は同じ語源でありうる)この為に人々は「和」を仮借して「盉」の調味の意味を表示した。

 「和」の字は均しく調味を示している。調味はまた混ぜ合わせる意味が出てくる。液体中に粉や個体を混ぜ合わせることを表示している。混ぜて面状にする、あるいはどろどろにする。糖を加えて和える。


「盃」と「和」は、中国語での読みは近い。調味という意味から
和えるという意味も出てきて、使い方も同じようなものである。

漢字「盃」の漢字源の解釈
 会意兼形声。「不」は花の下の丸く膨らんだガク。または蕾を描いた象形字。杯は「木」+「不」でふっくらと膨らんだ形の噐。



漢字「和」の漢字源の解釈
 会意兼形声。「禾」は粟の穂の丸くしなやかに垂れた様を描いた象形文字。窩とも縁が近く、角が立たない意を含む。



まとめ
 古代の人々が実に闊達に想いを巡らせ、認識を発達させたかの後付けができて実に楽しい。



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

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