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2022年2月10日木曜日

漢字「在」の存在感は無くなりつつあるのか。仮想の世界に存在することとリアルの世界に存在することは別?


漢字「在」の成立ち
 「在」という概念は実は非常に難しい。デカルトは「我思うに我あり」と悩み続けたし、「見えるからあるのか、あるから見えるのか」という詭弁的な論法によく登場する。
 また近年、バーチャル的な世界に存在するのと、リアルの世界にぞ存在するすることを一般人である我々ですら分けて考えなければならなくなった。


 
 神聖の地であること、神のあることを示す字である。士は鉞頭の形。鉞頭や斧は儀器として王、士、父などの身分を示す。在は鉞をもって聖器として才を守るものであり、才の繁文である。存は材と同じ意味に用いるが、存は時と所ではなく人に関する字である。

 コンピュータの世界で問題視されるがるが、Virtualな世界とRealの世界をどう定義づけるか問題となる。
在・楷書


 
  
才・在の初文
才は神聖を示す榜示の木で、神聖の地であること、神のあることを示す字である。
在・金文
在は鉞をもって聖器として才を守るものであり、才の繁文である。
在・小篆
小篆の「Zai」は「士」が変化し土に変えました。隷書の変化後、それは現代中国人の楷書の「在」になった
    


「在」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   ザイ
  • 訓読み   あ(る)

意味
     
  • 存在する ~にある ~が場所の場合は~に存在する(潜在する)という意味になる  居る 住む 例:滞在 
           ~が人、物などの場合は、所在を示す(例:責任の所在)
  •  
  • 制約を受けないで自由に動く  例:自在 
  •  

漢字「〇」を持つ熟語    存在、在任、在籍、駐在

引用文献  「汉字密码」(唐汉著,学林出版社)
漢字「在」の字統の解釈
 会意文字:才と士に従う。才は神聖を示す榜示の木で、在の初文。

 神聖の地であること、神のあることを示す字である。士は鉞頭の形。鉞頭や斧は儀器として王、士、父などの身分を示す。
 在は鉞をもって聖器として才を守るものであり、才の繁文である。存は材と同じ意味に用いるが、存は時と所ではなく人に関する字である。白川氏は「在」と土は関係ないと断定する。

 



漢字「在」の漢字源の解釈
 会意兼形声:「才」の原字は 川の流れを止める堰を画いた象形文字で、その全形は災などに含まれる。才はそのセキだけ取って描いた象形文字で切り止めるの意味を含む。在は「土+音符「才」で土でふさいで水流を切り止め、進行を止めることなど諸説紛々としています。

 その字の発生の謂れはどうであっても、この字の重みは消えることはありません。哲学の認識の中心問題であるからでしょう。デカルトの「我思うゆえに我あり」という認識と認識と存在とは別個に存在するという唯物論の立場によって、世界観が大きく異なってきます。


唐漢氏の解釈
 「在」は、甲骨ではの「在」という意味です。「才」は「在」の初文です。
甲骨文の「王オ亳」は、王が亳地方にいるということです。金文の時期には、旁の部分に男性の生殖器のシンボルである「士」を追加し、たった今という意味と「存在」の2つの意味の違いを顕示することになりました。


まとめ
 会意文字:才と士に従う。才は神聖を示す榜示の木で、在の初文。



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2012年5月7日月曜日

「才」はサイかはたまた衛生帯か:漢字の起源をさぐる


解釈の相違か世界観の相違か?

「才」のイメージ:木の標木に「サイ」を取り付けた
(「白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい」
小山鉄郎著 新潮文庫より転写)
  
 同じ漢字でも解釈でこうも違うのかと考えさせられるものの一つがこの「才」という字である。白川博士によると「才」は目印の木として立てた標木の上部に横木をつけた十字形の木の部分に、祝詞を入れる「サイ」と呼ばれる箱をつけた字というのである。(イメージは右の図の通り)
 因みにこの「サイ」というのは白川博士の漢字学の根幹をなすもので、多くの解釈では四角形「□」は口(くち)と考えられているが、先生の解釈では、これは口ではなく祝詞を入れる神聖な入れ物「サイ」というものだということである。確かに博士の言うように漢字とはそもそも王の占辞を記録するために作られたものであり、最初から神がかり的なもの、神聖なものであったと考えれば、うなづけるものである。

サイ

この説に基づけば、今から紹介しようとする唐漢氏の説など身震いが出るほどの卑猥な解釈と受け取られるのではなかろうか。



唐漢氏の説
甲骨文字の「才」
 「才」これは象形文字である。甲骨文字の「才」は女性の生殖器の符号である▽の上に一本の長い縦線を付け加え、女性が月経のときに使う衛生帯を表している。


  金文の「才」
 金文の「才」は甲骨文字に似ているが女性の生殖器の符号の「▽」の中が塗りつぶされている。これは金文が青銅器の鋳型を作ることから来る変化であった。小篆の「才」は既に現在の楷書に似ている。
 才の字形は女性の月経時の月経帯から来ている。この種のものは実用的で欠くことが出来ない。また拡大解釈で「有用物」も表わしている。有用物は「才」と表すが如く、役に立たないものは「不才」と称する。女性が「才」を使うと性の発育が成熟したことを言う。この為人の本質的能力にも拡大解釈して、才気、天才などと用いる。「才」は又「材」の字の初めの形である。木材或いは材料は皆ズボンの股の布のように縦長の形状をしている。且つ有用なものになる。よって木に旁の才を増やして木材の材を表す。 
結びにかえて
 いつも言うことであるが、このサイトの目的は学説の真偽を見極めることではない。このような考え方もありうるということを知ることである。
 今の世の中「あり得な~い」という言葉がはやっているが、この世の中60億の人間が住む世界に「あり得ない」という言葉は初めから存在しないのだ。「あり得ない」という言葉そのものに「発想の貧困」が垣間見えてくるのは私がおかしいのだろうか。




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