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2010年5月11日火曜日

「羔」と書いてなんと読む

 先日「徹子の部屋」に宮崎美子さんが招待されて、彼女の漢字一級の知識を披露されていた。

    彼女がクイズ番組などで活躍して知るのを見て、その明るいキャラクターもさることながら地道な努力が垣間見え、好感度の高いタレントだなと常々感心している。

 さて今日は彼女がその番組の中で披露していた、「羔」という字について少し補充してみたい。

 「羔」と書いてなんと読む? 実に難しい。「こひつじ」と読むらしい。これは当て字ではないかと思うほどである。しかし、「漢字の暗号」によると、どうもそうではないらしい。

子羊_甲骨

 これは甲骨文字、金文文字、小篆、楷書体をしめしたものであるが、唐漢氏の説明によると、羊を火に掛けてあぶっている状態を表しているということで、実に今から3500年前にすでにこの字は発明されている。しかしこれだけで子羊のことを言うようになったのはもう少し後世になってからの話だそうである。

  

子羊_金文
 羔は羊、すなわち子羊のことである。甲骨文字も小篆も少し違った形はしているが、いずれも下部には火の記号が付け加えられている。甲骨文字の下部は象形の形をしているが、楷書になると火の形は変わって4つの点に変化している。

 楚辞の中にもこの食べ方を体現した記述がある。子羊をあぶり焼きにするのは古代人にとって独特の方法であっただけでなく十分重要な位置を占めていたために、古代人は羊の下に火を加えて「子羊」という字にしたのであろう。

子羊_小篆
もっとも、字が作られた最初のころは、古代人も決して「羔」をすべて子羊をさしていたわけではなく、この表示は羊を火の上であぶったことだけに用いたのだろう。しかし実際上焼肉をするのに子羊を食材として用いたことは容易に考えられる。そして次第に「羔」が子羊のことをさすようになったものと考えられる。

 これは中国での食文化の上での話である。羊を丸焼きにする習慣などない日本で、この漢字をそのまま「こひつじ」と読ませるのはいささか難があるような気がするのだが・・。日本では「こひつじ」という読みは辞書にはないらしい。どの辞書(私の持っている)を引いても出てこない。




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