ラベル の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年2月13日土曜日

漢字「櫻」の成り立ちと由来 なぜ女の子を意味する「嬰」と木偏なのかの謎に迫る

 この2、3年は桜で振り回された感じがする。元凶は「桜を見る会]である。国民の疑惑はいまだに払拭されていない。安倍首相のごまかし答弁は首相が代わってからでも、菅首相に引き継がれさらに深化しているような気がする。これは首相個人の問題ではなく、日本の政権与党の体質の問題のようだ。

 この記事は、2012年にアップした投稿をかなり全面的に書き換えたものである。

 桜を見る会とか、コロナ、コロナといっている内に、街路樹の桜の蕾は赤みをさし、確実に春が近づいていることを感じさせている。

  昔学生の頃、コンパで歌った歌の一説に「櫻という字はやっこらやのや、二階の女が気(木)にかかる気にかかる」というのがあった。桜の旧字は木偏と二つの貝を並べてその下に女と書くという綴りを謳ったものだが、この歌も最近では聞けなくなった。さて、桜の字はどこから来たのだろう. 桜の旧字体は「櫻」だ。そしてまたこの旧字体の「櫻」は甲骨文字は見出させなかった。初めからないのかもしれない。唐漢先生に尋ねてみることとしよう。


唐漢氏の解釈
 「櫻」は「木」と「嬰」からなる。この「嬰」は年端も行かない女の子を指す。上古先民は貝の首飾りで女の子を飾って喜んだという。因みに女の子は幼児期のころ小さな装飾品を集めるのが好きである。砂浜の上の美しい貝殻に穴をあけひもで結んで首にかけるのは非常にいい装飾品だ。上古の時代女の子たちは、この種の装飾品で身を飾るのに夢中になった。貝殻の装飾品で身を飾った女の子は「婴」(yingと発音する。桜の旧字の旁の部分)と云った。因みに男の子は儿子といった。(この男の子の話は、最近のものかもしれない)


  桜の種類には2種類がある。一つはサクランボの木だ。春には花が咲き、花は五弁で色は薄紅、清らかで優雅で美しい。果実は紫紅色で、甘い味がする。俗称桜桃といわれる。これは果実を収穫するための桃の木である。また別のサクラは即ち桜花の木である。この種類は花の鑑賞の為の植物で日本の国花でもある。
以上のことから櫻の原義は貝殻で出来た装飾品(桜貝?)で飾った女の子のような美しい花の木ということらしい。


字統の解釈
形声文字。旧字は「櫻」と書き、嬰声。
 《説文》に「果なりとあり、果樹のゆすらうめをいう。また含桃・桜桃で、わが国ではいわゆる櫻ではないが、わが国ではさくらの字とする。中国の詩文に見る桜花・桜樹は全てこのゆすらうめの事で、わが国には江戸初期に渡来し庭園などに植樹された。

字統の「嬰」の解釈
嬰はみどりごのこと。貝を綴った首飾りの呪具。これを新生の女の子の首飾りとして加えるので、また嬰児の意となる。
 







「漢字の起源と由来ホームページ」に戻ります。

2021年1月1日金曜日

賀正の「賀」の成り立ち:財を意味する貝と加えるが併わさったおめでたい漢字


賀正の「賀」の成り立ち:財を意味する「貝」と加えるを意味する「加」が合さったおめでたい漢字

「賀」の成り立ちと由来

 毎年この時期になると「賀正」とか「謹賀新年」という言葉が飛び交いる。普段何気なく使っている漢字「賀」にはどんなに意味が込められているのだろうか。

年賀の季節到来!! 年賀の「賀」の成り立ちと由来は?

 結論から先に言うと、賀正の「賀」の成り立ちは財を意味する「貝」と加えるを意味する「加」が合さったおめでたい漢字である。
 財を高め、祝いを言う、贈り物を贈り、祝いの意を表す。このことから、正月などの慶祝に「賀」という文字を使う。

 年賀状は下火になったといえ、今なお冬の風物詩であり、日本の文化でもある。正月を祝うという文化は、形を変えてでも残っていくような気がしてならない。


引用:「汉字密码」(P790、唐汉著,学林出版社)

唐漢氏の解釈
 「賀」は会意文字+形声文字である。金文の「賀」の字は貝と加からできている。「貝」はここでは財物を表す。「加」は「力+口」の会意文字で、上に何かを載せるという意味を含む。添加の意味である。
小篆の「賀」は上下の字が結び合わさって改まり楷書はこの関係から「賀」と書く。

説文では賀を解釈して、「礼」を以って喜びを相奉ることだ。即財宝・贈り物を送り慶祝の意を表す。


「字統」の解釈
 「字統」では、「加」+「貝」の会意文字で、「加」は鍬を清めその生産力を高める儀式を意味するという。いずれにせよ、生産力を高め財を増やすという意味だと解釈する。

漢字源の解釈
 会意兼形声。加は「力+口」の会意文字で、、上に何かを載せるという意味を含む。賀は「貝+音符加」で、もと、礼物をうず高く積み上げるの意。転じてものをおくってお祝いをすること。


結び
 賀正の「賀」の成り立ちは財を意味する「貝」と加えるを意味する「加」が合さったおめでたい漢字である。

 漢字「貝」という漢字が使われているのは、太古の昔にはお金の換わりに子安貝のような「貝」が使われていたことからきているもので、偏であろうと旁であろうと「貝」が使われている漢字は、殆ど財やお金に関係があると考えて間違いはない。
右の画像は南太平洋諸島で実際に使われていた貝の貨幣である。

「漢字の起源と由来ホームページ」に戻ります。

2019年1月8日火曜日

漢字「責」の成り立ち:甲骨の時代も責任は結局「金」の問題だったのか


漢字「責」の下部は「貝」(当時の金)だ。何を意味する?

引用:「汉字密码」(P790、唐汉著,学林出版社)

「責」の字の成り立ち」
 責は会意文字である。甲骨文字と金文の「責」はの構造はよく似ている。下部は両者とも「貝」であるし、上部は「刺す」の字である。原本はいばらの上のとげの描写である。ここでは針で突き通すことを表している。二つの形は串を用いて貝を朋となす。そして蓄積をあらわし、儲けるの意味もある。小篆の責は金文を受け継ぎ、楷書は隷書化の過程で上部の束が変形して責になった。

「責」の原義は貯蓄である
 責の本義は蓄積である。この言葉は後に作られた積の字に受け継がれている。責すなわちその意味が拡張され、すなわち蓄積、求めてとるという意味になった。


編集後記
 日本で責任の取り方として、「責任は俺がとる。腹を切ればいいだろう」というのがある。この責任の取り方は、どうも日本だけのようである。いかにも潔いようであるが、考えようによっては、責任は個人でとれるほど軽いものではない。たった一人の腹きりで何百人という将兵の命の責任をどうして取れるというのだろう。
 この言葉は昔から散々聞かされてきた。先の大戦の「インパール作戦」でも、こうして叫んだ将軍もいたようであるし、つい先の国会で、「責任は私がとります」といった首相がいたようであるが、私には、これらの言動は「責任逃れの最たるもの」のように思えてしまう。考え違いもいいところだ。
 トップの命など庶民にとっては何の役にも立たないことこの上ない。このことは漢字の「責」からも窺い知ることができる。



「漢字の起源と由来ホームページ」に戻ります。