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2022年4月10日日曜日

旅という漢字の成立ちは「旗と人々」から成る。その意味は?


漢字・旅の生まれは現実的で厳しいものだった

旗の下で行軍するもようを表した象形文字だった
目次
  1. 前書き
  2. 漢字旅のつくり
  3. 「旅」の漢字データ
  4. 唐漢氏の解釈
  5. 漢字「旅」の漢字源の解釈
  6. 漢字「旅」の字統の解釈
  7. まとめ
前書き
  「旅」は昔から人々にある種の郷愁を醸し出してきた。その意味で、「旅」は広い意味での旅行や移動だけでなく、人生の旅や経験の積み重ねといった精神的な旅を指すこともあります。人々が新しい場所や文化に触れ、成長や学びを得る過程を表す言葉としても使われます。
 しかし、旅という漢の成立ちは、その様なロマンティックなものではなく、隊列を組んで更新する軍隊の行軍そのものを表す象形・会意文字でした。



漢字旅のつくり
漢字旅のつくりは㫃と从からなる。意味は旗印のもと大勢の人が行進するという意味で、ここから旅団という語が生まれた。
 漢字を構成する「方」は単独の意味を持つというより、施や旋等と同じように旁と一体と考えるべきものである。ここでは旗や吹き流しの下にあることを表している


漢字「旅」の楷書で、常用漢字です。
 吹き流しと従に従う。 吹き流しは旗を掲げて多くの人が他に出行をする意。それで軍行の集団の意となり、旅行の意となる。説文に「軍の500人となす。軍旅の意となる。」軍事用語で旅団はここからできた言葉。

 現代では、旅団とは1,500名から6,000名程度の兵員によって構成される部隊をいい、師団より少し下の単位を指す。
旅・楷書


  
旅・甲骨文字
これは古代の旗の下には2人がいて、兵士たちが軍旗に従って行進していることを示しています。
旅・金文
金文は戦車に大きな旗を掲げており、兵士たちは大きな旗の周りに集まっています。
旅・小篆
小篆は甲骨文字に似ており、大旗の下に2人の人(兵士)がいます。


    


「旅」の漢字データ
 
漢字の読み
  • 音読み   リョ
  • 訓読み   たび

意味
     
  • よその土地へ行く、旅行する。  旅・旅客・旅行 
      たび    旅人・長旅・船旅」
  •  
  • 軍勢。隊を組んだ軍。戦争。戦。 旅団・軍旅・師旅
  •  

同じ部首を持つ漢字     方、於、施、旋
漢字「旅」を持つ熟語    旅行、旅団




引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「旅」、これは会意文字です。甲骨文字の「旅」の上部は古代の旗の象形文字です。
 右下には2人がいて、兵士たちが軍旗に従って行進していることを示しています。金文は戦車に大きな旗を掲げており、兵士たちは大きな旗の周りに集まっています。 小篆は甲骨文字に似ており、大旗の下に2人の人(兵士)がいます。楷書の「旅」が改変され、下部の2人が上下を繋ぐ民の字に変化しています。

 


漢字「旅」の漢字源の解釈
 会意。「旗+人二人」で人々が旗のもとに隊列を組むことを示す。人々が旗のもとに隊列を組むことを示す丸幾つも並んで連なる意も含む。軍旅がその原義にに近い


漢字「旅」の字統の解釈
 会意文字。㫃と从に従う。 㫃は吹き流しをいう。意味は旗を掲げて多くの人が他に出行をする意。それで軍行の集団の意となり、旅行の意となる。説文に「軍の500人となす。軍旅の意となる。」

まとめ
 漢字「旅」は現代の漢字からだけではその意味を推し量ることはできない。甲骨文字や金文に戻って初めて,その秦の意味に辿り着くことができる。



「漢字考古学の道」のホームページに戻ります。   

2019年8月29日木曜日

漢字「旅」は道連れ:まさに「旅」の字そのものが大勢の人間が出行することを表していた。


漢字「旅」の起源と由来
旅という言葉
 昔から、「旅」という言葉には、日本に留まらず世界でも、日常から切り離されたものとして、特別の響きが醸し出されているように感じます。

 紀行文で有名なのは、マルコポーロの「東方見聞録」でしょう。この紀行文に触発され、ヨーロッパの人々に具体的な姿として、目に映るようになったことは確かでしょう。日本でも有名な紀行文は、紀貫之の「土佐日記」、松尾芭蕉の「奥の細道」などがすぐにでも頭に浮かびます。
 
 太古の昔の人々にとっても旅は特別なものだったようです。「旅」と言う漢字がどのように生まれ、発展してきたかを跡付けて見ましょう。
 「旅」という字は、会意文字ですが、旅がいかなるものであったか、甲骨文字や、金文では実に良く表されています。それは大きな旗の下に行進する兵士を良く現しています。金文になると、それに戦車が加わり、いっそう組織的になった模様がよく表現されています。


引用:「汉字密码」(P610、唐汉著,学林出版社)
形象や概念を表す古代の民が実に生き生きと活写しているのには驚かされます
「旅」、これは会意文字です。甲骨文字の「旅」の上部は古代の旗の象形記号です。 右下には2人がいて、兵士たちが軍旗に従って行進していることを示しています。金文は戦車に大きな旗を掲げており、兵士たちは大きな旗の周りに集まっています。 小篆は甲骨文字に似ており、大旗の下に2人の人(兵士)がいます。楷書の「旅」が改変され、下部の2人が上下をつなぐ民の字に変化しています。



「旅」の本義は、軍隊の出征
 「旅」の本来の意味は、一定数の兵士の武装した兵士の旅であり、軍隊の開始、つまり軍隊の旅行、軍隊の意味とみなすこともできます。軍隊出征から拡張され、古代軍隊の編成、つまり、軍事部隊旅団の「旅」を表している。「説文」曰く、「旅」は、軍500(人?)の遠征。『左传•哀公元年』にあるように、軍隊の一団は軍隊の一旅団をあらわしています。また軍隊の旅行は、
海外旅行にまで拡張されましたが、「旅」は通常多くの人がかたまっていくことを表しています。



字統
 旗を掲げて、多くの人が他に出行する意味。それで軍行の集団の意となり、旅行の意となる。
 旅は多数の人が従う意味であるが、必ずしも軍旅のことに限らず、外祭のために旅することも「旅」という字で表した。


漢字源
 人々が旗の下に隊列を組むことを示す。いくつも並んで連なる意味も含む。軍旅の旅がその原義に近い。


「漢字の起源と由来ホームページ」に戻ります。