近頃、新聞紙上で、騒がれている「改竄(かいざん)」の「竄」について、考えてみよう。
引用:「汉字密码」(P93、唐汉著,学林出版社)
「竄」の由来と成り立ち
[音読み]ザン [訓読み]のがれる かくれる
「竄」の字の漢字の成り立ちは、上部は洞穴の「穴」を表し、下部は「鼠」である。
このことから「竄」の原義は、「鼠」がこそこそ逃げ惑うことである。後世になってようやく「鼠」の他の動物や人間の行為を一般的に指すようになった。
「竄」の使われ方
- 「抱头鼠竄」は「ほうほうの体で逃げる。こそこそ逃げ失せる」とか、「流竄」(逃亡する、逃げ惑う)など等のごとくである。
- 現在の使われ方の、「改竄」は「こそこそ隠れて改める、変更する」という意味だが、確かに「竄」の本来の意味はよく引き継がれている。
因みに、ウィキペディアで「改竄」と引いてみると、
改竄(かいざん)は、文書、記録等の全部又は一部が、故意もしくは過失により、本来なされるべきでない時期に、本来なされるべきでない形式、内容に変更されることをいう。悪意の有無を問わない。となっており、文字の変遷が非常によくわかる。
簡体字化「竄」から「窜」への弊害
繁体字の「竄」は画数も多く、簡体字化後の「窜」書きやすく覚えやすい。しかし、ここに簡体字化の弊害が現れているといえる。「鼠」を「串」とあらわすことで、「漢字は単なる記号ではなく、文字の持つ意味をも表現するという長所が失われてしまっているように思うのだが・・・」
「鼠」という漢字は現在でもしっかりと使われているのに、「竄」の時になぜ「鼠」を「串」に変える必要があったのだろうか。
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