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2021年5月27日木曜日

漢字の成り立ちの意味するもの:漢字「暑」は漢字「熱」との比較でその違いが際立ってくる



漢字 暑の成り立ちの意味するもの:古くから気候で、寒暑をいうのに暑を使ったようである。
 漢字の成り立ちの意味するもの:漢字「暑」は漢字「熱」との比較でその違いが際立ってくる

 文字は一つの文字を取り出して、それだけを論じても、真実にたどり着くのは難しい。
 その漢字の類語、使われ方、音、歴史的背景などあらゆる面から調べて初めてその文字の本質が見えてくる。これは、漢字の新しいジャンルになるのかも知れない。漢字考古学とで名づけられるだろうか。

 これから日本は、梅雨も明けると本格的な夏に突入する。暑い暑いと連発することになるが、同じ「暑い」でも、「熱い」というアツさがあるが、この区別はご存じだろうか。

 古代人はこれらを実に巧みに使い分けていた。漢字の成り立ちを調べると、その使い分けが見事になされていることに今更ながら感服する。

 ここで違いはあくまで、古代での話であって、現代ではこのような話ではないことは当然である。


漢字「暑」の楷書で、常用漢字です。訓読みでは「あつい」と読みますが、おなじ読みをする漢字には、「熱い」があります。

 この意味の違いは、古代文字を見ると一目瞭然であり、文字から、三千数百年前の人々の考え方にまで迫れるというのは、漢字以外の世界中のどの文字にもないだろう。漢字はすごいの一言に尽きる。

 参考ページ:
熱はトーチを持つとき熱く感じるさまをいう 


 
古代人の考え:暑と熱さは一つのことを言っている。暑さと熱の違いはほかでもなく湿っているか乾燥しているかだ。従って南は暑い、北は 「熱い」となる。其れから言うと日本の夏は「熱い」ということになり、砂漠のあつさは「熱い」ということになる。

「暑」・金文
「日」と「者」の組み合わせの表意文字だ。 「者」という言葉の本来の意味は、もともとは漆が付着したために、湿を帯び中に封じ込めるの意味を含む。
「暑」・楷書
金文を引き継いだ。
  甲骨文字の「熱」という言葉は、まるで人が燃盛るトーチを手に持っているよう見えます。

 「熱」の本来の意味は、「火を持つ、トーチ」です。手持ち型の松明は火であぶり焼けるように感じることをいいます。したがって、「熱い」はあぶり焼けるの意味です。

 この文字は、今盛んにおこなわれている、オリンピックの聖火リレーそのもので、、この字を見ていると、古代中国でもオリンピックが行われていたのではないかと錯覚を覚えるほどです。
「熱」・甲骨
まるで人が燃盛るトーチを手に持っているよう見えます。
「熱」・小篆
小篆の「熱」の言葉は、火と執るの音からなり、会文字と形声文字になっています。
 小篆の「熱」の言葉は、火と執るの音からなり、会文字と形声文字になっています。楷書はこの関係から、「熱」と書かれており、簡略化されて「热」になっています。


    


「暑」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   ショ
  • 訓読み   あつ(い)

意味
  • (天候の)暑い  ・・・(例)蒸し暑い、
  • (物の温度が高い)熱い  ・・・例:鉄が熱い、熱く燃える

漢字「暑」を持つ熟語    炎暑、酷暑
漢字「熱」を持つ熟語    加熱、過熱、蓄熱、解熱、高熱、熱中症、熱量




引用:「汉字密码」(P415、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「暑」日と者の声音からなる。 古代人の考え:暑と熱さは一つのこと、「暑の義、主曰く湿、熱の意味、主曰く燥」、暑さと熱の違いはほかでもなく湿っているか乾燥しているかの違いだ。南は暑い、北は 乾いた熱さ。

 「暑」という言葉は、「日」と「者」の組み合わせです。 ここでの「者」はここでは声符でありまた表意文字だ。 「者」という言葉の本来の意味は、もともとは漆が付着したために、湿を帯び中に封じ込めるの意味を含む。 したがって、暑の本来の意味は中にも含める、「じめっとした暑さがへばりつく」の意味も含まれています。

 私たちの感覚でいうと、日本のじめじめとした暑さは「暑い」で表現され、砂漠の熱さは、「熱い」ということでしょうか。


「暑」の字統の解釈
 形声文字:声符は者(シャ)。説文に「熱きなり」とあって暑熱をいう。


まとめ
 個人的には、「熱」の古代字が実に面白い。特に甲骨文字に至ってはまるで漫画である。古代人の巧みな表現力に敬意を表したい



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

2019年10月9日水曜日

漢字の成り立ちから見えて来るもの:熱とはあぶり焼けるように感じるのは熱という


漢字・熱 の成り立ちは現代に何と伝えるのか:トーチを持つとき感じるのは「熱」、気温の高いのを感じるのは「暑」
 古代中国でオリンピックはなかっただろうが、何かの儀式でトーチの受け渡しや神への捧げものとして、聖なる火が受け継がれただろうし、奉納もされただろう。それは古代文字・甲骨文字の中に埋め込まれていた。古代の人々はトーチに掲げる聖火から受ける熱を「熱い」と感じ、漢字「熱」の中に記録していた。

 甲骨文字では、熱の意味は一目瞭然
熱 の本来の意味は、「火を持つ、トーチ」です。

 トーチを手にするという意味です。手持ち型の松明は火であぶり焼けるように感じることをいいます。したがって、「熱い」はあぶり焼けるの意味です。

 一方これに対し「暑」について、字統では、説文を引用し、『形声文字:声符は者(シャ)。説文に「熱きなり」とあって暑熱をいう。』としている。
熱・甲骨文字


 


引用:「汉字密码」(P451、唐汉著,学林出版社)

   「热」は「熱」の簡略化された言葉です。 甲骨文字の「熱」という言葉は、まるで人が燃盛るトーチを手に持っているよう見えます。小篆の「熱」の言葉は、火と執るの音からなり、会文字と形声文字になっています。楷書はこの関係から、「熱」と書かれており、簡略化されて「热」になっています。

 「熱」の本来の意味は、「火を持つ、トーチ」です。

 《诗•大雅•桑柔》:"谁能执热,逝不以理?"にあるように、ここでの执热の意味はトーチを手にするという意味です。手持ち型の松明は火であぶり焼けるように感じることをいいます。したがって、「熱い」はあぶり焼けるの意味です。焙煎と発熱の意味があります。

 説文はこれを解釈し熱は温なりとしています。殷商人の甲骨文字に"杞侯热,弗其祸风有病の記載の、「杞侯热」は即ち発熱を言います。即ち体温が高いことを意味し、「祸风有病」とは、即ち傷風は疾病を重くすることをいいます。この記録は、人間の風邪の最も古い記録かもしれません。


漢字源の解釈
  形声文字。園芸の古字(人が座って植物を上育てる意味)から音を借りてきて作ったのが「熱」の字で、「火が燃えて熱いこと」をいう。唐漢氏とほぼ同様の解釈を取る。



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