漢字「川」の成り立ちの意味するもの:屹立した両岸の間に挟まれてできた「川」の中を流れるのが「水」だった
甲骨文字「川」と「水」に垣間見える古代人の驚くべき認識論。漢字「川」とは屹立した両岸の間に挟まれてできた「川」。その中を流れるのが「水」だった。こんな単純なことが、私には見えていなかった
漢字「川」と「水」を見ると、現代の字を見ていると全く両者には関連はないように思えます。 しかしこれらの甲骨文字を比べてみると古代人の驚くべき発想が浮かび上がってきます。字から見ると、「水」があって「川」が生まれたのではなく、まず川という字が生まれ、後で水ができたのではないかと想像されるのです。 古代人は水のような抽象的な概念が最初に頭に浮かんだのではなく、水をたたえた川を見て川という字を作ったに違いありません。 しかしこれは仮説です。ここでは、甲骨文字から古代人の豊かな発想を跡付けて見ましょう。 | ||
川・楷書 | 水・楷書 |
川・甲骨文字 「川」の中に「水」が見える (流れている) | 「川」・金文 文字としてより簡単に記号化されている 文字の発展過程が良く分かる | 川・小篆 金文を引き継ぎ、より美しく 洗練され整えられている。 | 水・甲骨文字 「川」の甲骨文字と比べれば、水は「川」の中に存在し、流れていることが明瞭 |
「川」の漢字データ
漢字の読み
意味
漢字の構成要素
熟語 川流、川原(かわら)、川端(かわばた)、川面(かわも)、四川(中国の省の名前)
- 音読み セン
- 訓読み かわ
意味
- かわ(陸上の屹立した部分に挟まれ流れ下る水の通り道) 例:河川
- 水流(水が流れること。また、その流れ。
- 原(はら) 水の流れで土砂などが堆積して出来た平らな部分
漢字の構成要素
- 馴、釧 (例)釧路、訓 (例)訓練 、順 (例)順序
熟語 川流、川原(かわら)、川端(かわばた)、川面(かわも)、四川(中国の省の名前)
引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
「川」の字は水の字形の音義と密接な関係がある。甲骨文字の川の字は川と「水」は同じ源であるが、但し川の字の造形は水とは相反している。流れははっきりしなくなり、両側に突出して、まるで両側が水を挟んだ状態・意味の様である。川の本義は水の道、河流と見える。
この唐漢氏の考え方には同意できない。つまりこの説は、氏が常々主張している発想と逆ではないかと考える。古代人はまず具体的なものから、次第に抽象化する概念を生み出してきたのであって、先に抽象的な、形を持たない「水」があったのではないと思えるからだ。
「川」の字は水の字形の音義と密接な関係がある。甲骨文字の川の字は川と「水」は同じ源であるが、但し川の字の造形は水とは相反している。流れははっきりしなくなり、両側に突出して、まるで両側が水を挟んだ状態・意味の様である。川の本義は水の道、河流と見える。
この唐漢氏の考え方には同意できない。つまりこの説は、氏が常々主張している発想と逆ではないかと考える。古代人はまず具体的なものから、次第に抽象化する概念を生み出してきたのであって、先に抽象的な、形を持たない「水」があったのではないと思えるからだ。
漢字「川」の字統の解釈
象形: 水の流れる形とし、実に単純明快である。
象形: 水の流れる形とし、実に単純明快である。
まとめ
甲骨文字「川」と「水」を比べて見て、初めてそこに認識の発展の具体的な道筋が見えたようで、私にとっては実に大きな発見であった。
甲骨文字「川」と「水」を比べて見て、初めてそこに認識の発展の具体的な道筋が見えたようで、私にとっては実に大きな発見であった。
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