漢字・囚の成立ちと起源は甲骨文字にある。象形文字というより、状態を表す
導入
前書き
いま世界を揺るがしている中東や民族宗教問題の起源は古く「バビロン捕囚」に遡るといっても過言ではないだろう。
中東はヨーロッパとアジア、アフリカの交差する地点に位置し昔から多くの民族が入り乱れて覇を争ってきた。この事件が起こったのも、中国でいえば春秋戦国時代のころである。
「バビロン捕囚」とは、ヴィキペディアによると概ね下記のように説明されている。
新バビロニアの王ネブカドネザル2世により、ユダ王国のユダヤ人たちがバビロンを初めとしたバビロニア地方へ捕虜として連行され、移住させられた事件を指す。 バビロン幽囚、バビロンの幽囚ともいう。
ユダ王国: c.930 BC-586 BC
イスラエル王国: c.1020 BC-722 BC
アッシリア捕囚: c.740 BC-538 BC
バビロン捕囚: 586 BC-538 BC
目次
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漢字「囚」の今
漢字「囚」の楷書で、常用漢字です。 囲いの中に人がいる様 □は囲いであったり、地中の穴であったりする。 | |
囚・楷書 |
漢字「囚」の解体新書
囚・甲骨文字 囲いの中に人がいる様 □は囲いであったり、地中の穴であったりする。 |
囚・金文 甲骨の文字の構造を一貫して受け継いでいる |
囚・小篆 甲骨の文字の構造を一貫して受け継いでいるが 文字として洗練はされている |
「囚」の漢字データ
漢字の読み
意味
同じ部首を持つ漢字 囲・・原字は圍であり、同じ□でも囚のものとは成り立ちが異なる
漢字「囚」を持つ熟語 囚人、幽囚、虜囚、捕囚、囚禁
- 音読み シュウ
- 訓読み とらわれ
意味
- とらえて、収容所などに入れること(罪人などをとらえて牢などに入れる 例:囚人
- 束縛する
縛りとらえる、囲いや檻に入れる
制限を加えて行動の自由を奪うこと - 囚われる・・ 何かに拘泥し、抜け出せない状態
- 捕獲した野獣、生け捕りにした敵(捕虜)
同じ部首を持つ漢字 囲・・原字は圍であり、同じ□でも囚のものとは成り立ちが異なる
漢字「囚」を持つ熟語 囚人、幽囚、虜囚、捕囚、囚禁
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漢字「囚」成立ちと由来
漢字「囚」の字統の解釈
▢(イ)と人に従う。人が□の中にある形で、拘囚の人をいう。説文に繫ぐなりとあり、虜囚の意。卜文の字形に、井中に人を記すものがあって、字形は囚に近いが、その文例から考えると、棺中に死者のある形で死の初文と思われる字である。死体のまま棺中に収めるものが囚の形で、即ちのちの死の初文である。
漢字「囚」の漢字源の解釈
会意文字:「□+人」で、枠の中に人を閉じ込めること。
まとめ
象形文字であるが、特に説明の必要性は感じない。ありのままである。身体が実際に拘束されていることを表すが、精神的に拘泥され、抜け出せない状態を示すのにも使う。
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