漢字『経』の由来と育ち:中国の夏の時代にすでに使われていた織機。
日本の基準の子午線は東経135°と定められている。この「経」はどこから来たのか?それは実に今から3500年前に中国で使われた織機の縦糸に由来する。
小学校で習うことだがとっくに忘れている。改めて思い出してほしい。
導入
「漢字『経』の意味、使い方、語源、関連熟語について詳しい解説。」
漢字の意味と成り立ち: 「経」という漢字の基本的な意味、
象形文字としての成り立ち、古代中国での使用例など。
使い方と例文: 現代日本語での使用例、典型的な文脈での使い方、例文。
関連熟語: 「経済」「経緯」「経験」「経度」など、関連する熟語とその意味を解説。
文化的・歴史的背景: 漢字の歴史的な背景や文化的な意味について
前書き
目次
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漢字「経」の今昔
「経」という漢字の基本的な意味
漢字「経」の楷書で、常用漢字 右に「経」の原字を示した。金文ではあるが、ある意味原始的な文字であるといえるだろう。これは象形文字であり、最も原始的な織機を表している。下部の横棒を足で突っ張り持ち、上部にたて糸をつけ、そのたていとを縫うようにして横糸で編み上げていく。 |
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経・楷書 |
経・金文 |
経・小篆 |
使い方と例文: 現代日本語での使用例、典型的な文脈での使い方、例文。
- 音読み ケイ、キョウ
- 訓読み へ(る)
意味
- たて糸
- 南北の方向
日本は東経135度にあると言われる。これは地球一周は360°であり、24時間で一回転するから、1時間当たり15°回転することになる。イギリスのグリニッチを基準とすると日本は135°線上に明石が位置する。 - 筋道(物事がそうなった理由)、または道路
- 法律、規範、おきて
- 時間の流れ:〇〇時間を経て・・のように使われる。
- 境界(さかい)、境を定める
- 治める、統治する:経世済民の精神で政治を行う、経理
- かかる、ぶら下がる、かける
- めぐり(周期)(例:月経)
- 文書、特に儒教や仏教の教えを記したもの(例:経書、経文)仏教の経典を学び、悟りを目指す
同じ部首を持つ漢字 経、径、軽、茎
漢字「経」を持つ熟語
- 経: 経典のこと、宗教の教えを収めた書物
- 経緯:たて糸と横糸、いきさつ、天下・国家をおさめととのえる
- 経過:通り過ぎること、物事のなりゆき、これまで経てきた途中の状態
- 経験:実際に自分でやってみる、実際にしたり見たりして得た知識や技術
- 経営:事業をはかり営むこと、土地を測って、たて線と外枠の線とを引く。土台を据えて建設すること
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漢字「経」の漢字の由来
象形文字としての成り立ち、古代中国での使用例など。
参考書紹介:「落合淳氏の『漢字の成立ち図解』」
漢字の暗号の解釈
「経」は「經」の簡体字。 甲骨の "経"は象形文字。これは古代のベルト織機の絵文字である。 このタイプの織機は通常、二つの平行なロッドによって縦糸を支持し、一方は織機のベルトに固定され、もう一方は縦糸を締め付けるために織機の足によって支持され、中央は縦糸と横糸を分離する。
引用:「漢字の暗号」唐漢著 |
「経」の本来の意味は古代の単純な織機であり、「説文では「経、織り方」と解釈される。
漢字「経」の字統の解釈
形声 旧字は経にに作り、巠声。巠は織機にたて糸を張り、その一端を工形の横木に巻きつけた形で、經の初文。
先王の典籍を経とし、これを補翼するものとして作られた漢代の識(予言)を主とする書を、緯書という。建物の造営に、まず測量して南北を正すことを経という。
漢字「経」の漢字源の解釈
会意兼形声。「巠」は上の枠から下ノ台へたて糸をまっすぐに張り通した様を描いた象形文字。
経は「糸+音符・巠」で糸へんを添えて、たて糸を明示した字。
「巠」の由来と意味
「巠」は「巠」の原字である。 「圣」という単語が一般的に使用されるグループ構成要素になったので、人々は「糸」偏を追加し、小篆、金文の第2款を引き継ぎ楷書では「経」と書いた。
漢字「緯」 小篆 |
「緯」の由来と意味
緯は経の対句の様に用いられるので、補強する意味でここに説明を加える。
形声文字 声符は韋。韋は城邑の上下を左右に巡ることで、その左行右行を織物に移して、横糸を緯という。たて糸は経(經)。 経をたどって緯を加えるので、ことの過程・経過を 経緯という。儒家の経典とするものは経、これに附託して行なわれた漢代の予言や占トの書を緯書とい う。予言を識というので、その学を讖緯という。
まとめ
漢字「巠」は太古の昔、使われていた織機の象形文字であり、「経」の原字である。そしてそのたて糸を明示する為に糸へんを付加され。「経」は織機から切り離され、もっぱらたて糸そのものを表すようになった。
このたて糸が「経」の基本的な意味であり、現在では色々の使い方をされるが、すべて、この「たて糸」から派生、拡張されたものである。
またたて糸と対句的に表現される横糸を「緯」という。
今我々が北緯、東経などで使っている「経」と「緯」は案指しくここから出たものである。
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3 件のコメント:
経の字の意味がこんなに多様にあるとは 知らなかった。というより、無意識に使用していたのだろう。
歴史から読み解いてもらい、その奥深さに感銘を受けています。
挿絵、地図、手作りの篆書などの文字など、説明の丁寧さには、頭が下がります。
子供でも中学生なら理解できるでしょう。
頑張りに敬意を抱いています。
夕暮れ源氏
経の字にこんなに多くの意味があったとは、驚きである。
丁寧に歴史から読み解いてもらい、その奥深さに感銘を受けている。
挿絵も理解するのにとても重宝する。
いつもながら、白扇さんのその丁寧さ作業に感心しています。
あけぼの源氏
ありがとうございます。一層頑張ります!
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