ここまで見てくると、漢字の蛇という字と干支の蛇を表す「巳」とが、古代においても似ても似つかぬ字であることが分かる。
引用 「汉字密码」(P100,唐汉,学林出版社)
「蛇」の古体字は「ウ冠にヒ」と書く。現代中国語では、この字と蛇では全く違う字になってる。両種の概念も同じではない。上古時代は、「ウ冠にヒ」は蛇の字であった。まさに甲骨文字が示すように、「它」は象形文字である。まざまざと展開しているのは、長い大きい三角の頭を持った毒蛇である。金文と小篆の「它」の字は文字の変化の過程の中で蛇の象形を失っている。ために「它」の字はずっと前から代詞として用いられ、後の人は虫という字を旁に加え、蛇と書き、もっぱら毒蛇の只一つの概念を表した。
とするとやはり唐漢氏の言うように、子丑寅という十二支と動物は全く別物という考え方も出てくる。今の段階では、唐漢氏の言うように干支という時間軸の指標には人間の出産までの過程を表したものであるという考え方に同調するものである。
「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。
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