白川博士は「氏」は先祖の祭りに用いる 肉を切る為の氏族の象徴的な小刀の 象形文字と云われる |
唐漢説
ここで唐漢氏の論拠となっている甲骨文字の「氏」の上部の原義は「水」であるという点について、もう少し触れてみたい。 甲骨文字の「水」は下記の様になっている。
甲骨文字の「水」唐漢氏のいう文字とは少し異なり、川の流れを示す湾曲した筋の周りに6点が付されている。金文では唐漢氏の云う通り川の流れと4点が付されている。多少の誤謬は良しとするも、金文の氏の文字の上部は川の湾曲とは異なっていて、端の部分で「人為的」な曲がり方をしている。
この曲がり方から見ると白川博士の云うように、「氏」は肉切り用のナイフから取った象形会意文字ではないかと思われる。白川博士の説も非常に説得力のある説と思う。 唐漢氏の説は、氏と姓と云う連関で考えるとなるほどと思うが、文字の形からだけ見ると少し論理の飛躍がある様にも思う。
しかしここではいずれの説も退け合うというのではなしに補完し合うように思えるのだが妥協しすぎだろうか。
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