漢字「陰」の成り立ちと由来の意味するもの:陰と陽の弁証法と世界観
漢字「陰」・「陽」の楷書で、常用漢字です。 これらの漢字は、中国文化のいわば神髄をなすともいえる漢字です。 中国人の世界観の一つとして、思想的、社会的のは遺骨をなすもので、生活上でも、「陰陽説」としていろいろの所で語られてきました。 ここでは漢字の成り立ちと由来から、中国人の思想が漢字の成立にどのような影響を及ぼしたか探りたいと思います。 | ||
陰・楷書 | 陽・楷書 |
この欄の記述は「字統」に負うところが大きい。コザト偏を神梯とする解釈が、ここでは最もそぐう説明であるように思う。 | |||
侌:陰の初文 今と云の会意とみるべき字で、今は蓋栓の形。云は雲の初文で、霊気を示すものであろう これに蓋をするのが「侌」という | 「陰」の小篆 神梯の前で行われる魂鎮の儀礼に関する字である | 「陰」の小篆第2款 説文では「雲、日を覆うなり」とし、日の陰りを表すとした |
「陰」の漢字データ
漢字の読み
意味
使い方
熟語 陰湿、陰部、日陰、陰険 陰徳、陰謀、陰気、陰性、光陰
- 音読み イン
- 訓読み かげ・かげ(る)
意味
- かげ
- おおう
- くらい
- ひそかに物事が行われる様・人目に立たず
- 男女の性器、特に女性の性器を指すことが多い
使い方
- 「陰」・・・日のあたらない暗い場所。(日陰) 人には見えない、その人のいない所(例:陰に隠れて悪口を言う、陰語
- 「影」・・・光がさえぎられてできた黒い部分、はっきりしない象形(例:人影)
熟語 陰湿、陰部、日陰、陰険 陰徳、陰謀、陰気、陰性、光陰
引用:「汉字密码」(P273、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
「陰」の左辺の記号は、丘の略記だ、もしくは高い大きな土の丘だ。右辺の上部は「今」の字でもとは男子の射精を示す。下部は「云」の簡略記号で、個々の陰の字は下に雨を降らせる雲だと表示できる。小篆の陰の字は二つの書き方に分離し、一款は「陰」の字で、説文では「陰、暗」と解釈する。もう1款は説文では雲が日を覆うなりとしている。
「陰陽」は一対の概念で、中国文化の中でも非常に深遠な意味を含む。地理の概念を含み山と水に対して中国式の区分をなしている。これは山の南面、水の北面は陽をなし、山の北、水の南は即ち陰となる。この観念の深い影響は地名の呼称に出ている。
中國人は山水には陰陽があるばかりではなく、人事万物全てに陰陽の共存しないところはない。互いに転化しかれこれ対立し統一する状態にある一陰一陽道と称する、陰があれば陽がある。陰陽は一つの範疇、古代哲学思想の中で最も早く芽生え、影響も深く、弁証法的色彩も濃く、最も広く使用されている。
「陰」の左辺の記号は、丘の略記だ、もしくは高い大きな土の丘だ。右辺の上部は「今」の字でもとは男子の射精を示す。下部は「云」の簡略記号で、個々の陰の字は下に雨を降らせる雲だと表示できる。小篆の陰の字は二つの書き方に分離し、一款は「陰」の字で、説文では「陰、暗」と解釈する。もう1款は説文では雲が日を覆うなりとしている。
「陰陽」は一対の概念で、中国文化の中でも非常に深遠な意味を含む。地理の概念を含み山と水に対して中国式の区分をなしている。これは山の南面、水の北面は陽をなし、山の北、水の南は即ち陰となる。この観念の深い影響は地名の呼称に出ている。
中國人は山水には陰陽があるばかりではなく、人事万物全てに陰陽の共存しないところはない。互いに転化しかれこれ対立し統一する状態にある一陰一陽道と称する、陰があれば陽がある。陰陽は一つの範疇、古代哲学思想の中で最も早く芽生え、影響も深く、弁証法的色彩も濃く、最も広く使用されている。
漢字「陰」の漢字源の解釈
会意兼形声文字 原字は侌で、「云(くも)+音符今(含む。とじこもる)」の会意兼形声文字。湿気がこもって鬱陶しいこと。陰は「阜+音符侌」で、陽(日のあたる丘の反対、つまり日の当たらないかげ地のこと。 中に閉じ込めてふさぐの意を含む。
まとめ
陰が「霊気に蓋をする儀式を神梯の前で行うこと」に対し、陽は「日(玉)による光を明らかにすることによって清め、霊威を高めることを示す」ことである。つまり陰と陽は神の梯の前で行われる、全く逆の儀礼である。そしてそのことに派生した概念は文字の上にだけではなく、考え方、世界観まで影響を及ぼすことになる。
現代社会では、この陰と陽を形而上学的にとらえるのではなく、弁証法的にとらえなければ、何も解決しないことが、明確になっている。
陰が「霊気に蓋をする儀式を神梯の前で行うこと」に対し、陽は「日(玉)による光を明らかにすることによって清め、霊威を高めることを示す」ことである。つまり陰と陽は神の梯の前で行われる、全く逆の儀礼である。そしてそのことに派生した概念は文字の上にだけではなく、考え方、世界観まで影響を及ぼすことになる。
現代社会では、この陰と陽を形而上学的にとらえるのではなく、弁証法的にとらえなければ、何も解決しないことが、明確になっている。
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